拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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対価。

 カルドラン王国のガラス製品は、レシピエンス王国を筆頭に多くの国に受け入れられた。

 まだ若く愛らしい王女殿下が、率先してお茶会などで披露してくれた成果だ。

 王族や高位貴族が、パーティーなどで豪華な宝石を身に纏うのは当たり前のことで、安物の宝石を身につけていると馬鹿にされてしまう。

 その程度の宝石しか買えない、また審美眼がない、と見られるのだ。

 そんな中、王女殿下がガラスのカケラを散りばめたドレスに、本物の宝石のネックレスにイヤリング、ガラス細工の髪飾りを付けてパーティーに現れた。

 さすがは宝石の国の王女殿下。
魅せ方が上手ね。

 審美眼もあり、買えないわけでもない王女殿下が、ガラス細工の製品を使用した。

 そのおかげで、レシピエンス王国ではカルドラン産のガラス細工が流行し始めた。

 その対価が・・・

「お姉様!ここはどうすれば?」

「ああ、ここはこう訳すのよ」

 何故か、私がリルラ様に語学を教えるということだった。

 意味が分からないわ。
何故、他国の私がリルラ様に語学を教えるの?

 そりゃ、メルキオール帝国語は自国語だから教えては差し上げられるけど。

 それに『お姉様』呼び。

 私はお姉様はいらっしゃるけど弟妹はいないから・・・

 ちょっと嬉しいけど。

 でもが対価で良いのかしら?

 私が贈ったガラスペンを指で弄びながら、リルラ様は小首を傾げられる。

「何かわからないところが?」

「え、あ、いえ。ここは理解出来ましたわ。そうではなくて・・・お姉様とマキシミリオン王国の王太子殿下は本当にずっとお会いしていませんの?」

「え?ええ。もうすぐ三年になりますわね」

 そう。
あの約束の日から、あと一ヶ月で三年になる。

 私たちは約束を守って、この三年間一度も会っていない。

 手紙のやり取りはしているけど。

 シリルは自分の魔力の多さを利用して、新たな魔道具を開発。

 それで、メルキオール帝国の農産業や畜産業の発展に繋げた。

 逆に私は、メルキオール帝国の農産業や畜産業をマキシミリオン王国に伝授し、あの国の自給率を上げることが出来た。

 マキシミリオン王国は、魔法が発展しているせいで、農業や畜産業は他国よりも劣っているのよね。

 輸入しても賄えるものだから、どうしても優先順位が下がってしまう。

 私がマキシミリオン王国のためにできることって本当に限られてるから、これで認めてもらえるのか不安だわ。

 もちろん、外交の面で役に立つように多くの国を訪問して顔繋ぎはしているのだけど。
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