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お出かけ発望まぬ再会行き
「サフィラス魔国ジルベール魔王陛下ですわ!」
胸を張って自分を紹介した妹に、お兄様はニコニコと笑顔を浮かべて背中を撫でてくれました。
最近は頭を撫でると、せっかくエセルが可愛くしてくれた髪型が崩れて私がむくれるので、お兄様も背中を撫でるようになったのですわ。
目の前の美形が魔王陛下ということに驚いた様子の警備員でしたが、幼い美少女の胸を張った様子に、微笑ましそうな表情を浮かべました。
「ご尊顔を拝見できて、誠に恐悦至極に存じます。本来なら、紹介状のない方のご入店はお断りするところですが・・・どうぞご入店下さい」
まぁ!
さすが、最高級店ですわ。
店前の護衛であっても、迅速で適切な判断ができ、お兄様に対する挨拶もキチンとしています。
この店は、信じるに値するお店ですわね。
「そうか。助かる」
お兄様が軽く頷き、護衛が扉を開けた店内へと足を踏み入れます。
白を基調とした店内は、数人の貴族の方がいますが、ゆったりとしていて品があります。
決して派手なわけではないのですが、灯りに反射した宝飾品の輝きが眩いですわ。
「いらっしゃいませ」
「真珠を見せて欲しい。最高級品だ」
「最高級品でございますか」
「ああ。ペリウィンクルとボトルゴードの二国の魔王の婚姻祝いに贈る品だ。我が愛しき妹が、この店が良いと言うからな」
魔王陛下の結婚祝いと聞いて、一瞬目を見開いた従業員の方ですが、すぐに表情を改め、深々と頭を下げました。
「我が店を選んでいただき、ありがとうございます。ご期待に添えるお品を準備いたしますので、どうぞこちらへ」
「ああ。あと、この妹に似合うものもいくつか揃えてくれ」
「かしこまりました」
どうやら奥の、お得意様用の部屋に案内されるようです。
というか、お兄様?
私用のってどういうことですか?
私は基本、居住区から出ないので宝飾品は必要ありません。
それなのに、大量の魔石加工の宝飾品があるのです。
今回ようやく、使っていない宝飾品の出番だと思っていましたのに!
「お、お兄様・・・」
「ローズに似合う宝飾品、何を持って来るだろうな?」
お兄様が楽しそうにおっしゃいます。
あら、何か意図があってああおっしゃったのかしら。
ならば、購入される意図はないのかもしれませんね。
もしかしたらちゃんと最高級品を持って来るのかの、目安になさるおつもりなのかも。
真珠は魔国では普及していませんから、それなりの品を持って来られたら判別つかないかもしれません。
一応、ヴァイオレットだった頃に、王妃様がつけてらっしゃるのを見たことはあるのですが。
目利きができるかと問われたら不安ですわ。
胸を張って自分を紹介した妹に、お兄様はニコニコと笑顔を浮かべて背中を撫でてくれました。
最近は頭を撫でると、せっかくエセルが可愛くしてくれた髪型が崩れて私がむくれるので、お兄様も背中を撫でるようになったのですわ。
目の前の美形が魔王陛下ということに驚いた様子の警備員でしたが、幼い美少女の胸を張った様子に、微笑ましそうな表情を浮かべました。
「ご尊顔を拝見できて、誠に恐悦至極に存じます。本来なら、紹介状のない方のご入店はお断りするところですが・・・どうぞご入店下さい」
まぁ!
さすが、最高級店ですわ。
店前の護衛であっても、迅速で適切な判断ができ、お兄様に対する挨拶もキチンとしています。
この店は、信じるに値するお店ですわね。
「そうか。助かる」
お兄様が軽く頷き、護衛が扉を開けた店内へと足を踏み入れます。
白を基調とした店内は、数人の貴族の方がいますが、ゆったりとしていて品があります。
決して派手なわけではないのですが、灯りに反射した宝飾品の輝きが眩いですわ。
「いらっしゃいませ」
「真珠を見せて欲しい。最高級品だ」
「最高級品でございますか」
「ああ。ペリウィンクルとボトルゴードの二国の魔王の婚姻祝いに贈る品だ。我が愛しき妹が、この店が良いと言うからな」
魔王陛下の結婚祝いと聞いて、一瞬目を見開いた従業員の方ですが、すぐに表情を改め、深々と頭を下げました。
「我が店を選んでいただき、ありがとうございます。ご期待に添えるお品を準備いたしますので、どうぞこちらへ」
「ああ。あと、この妹に似合うものもいくつか揃えてくれ」
「かしこまりました」
どうやら奥の、お得意様用の部屋に案内されるようです。
というか、お兄様?
私用のってどういうことですか?
私は基本、居住区から出ないので宝飾品は必要ありません。
それなのに、大量の魔石加工の宝飾品があるのです。
今回ようやく、使っていない宝飾品の出番だと思っていましたのに!
「お、お兄様・・・」
「ローズに似合う宝飾品、何を持って来るだろうな?」
お兄様が楽しそうにおっしゃいます。
あら、何か意図があってああおっしゃったのかしら。
ならば、購入される意図はないのかもしれませんね。
もしかしたらちゃんと最高級品を持って来るのかの、目安になさるおつもりなのかも。
真珠は魔国では普及していませんから、それなりの品を持って来られたら判別つかないかもしれません。
一応、ヴァイオレットだった頃に、王妃様がつけてらっしゃるのを見たことはあるのですが。
目利きができるかと問われたら不安ですわ。
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