聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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どっちが悪者なんだか

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 全員がおずおずと馬車から降りる。

 降りる瞬間に、それぞれに防御結界を張ったら、フードの男性が私を振り返った。

 あ。
これ、魔法を使ったの、バレた?

 帝国には聖女いないはずだから、バレないと思ったんだけど。

 しばらくフードの下の、紅い瞳が私を見ていたけど、隣の護衛騎士の方へ向き返った。

 うーん。
お偉いお貴族様だったら、面倒だな、

「おいっ!目当てのヤツはどいつだ?」

 襲撃者・・・破落戸でいいか、は全員で十人。
 その中に、でっぷり太った中年のおっちゃんがいた。

 そのおっちゃんに、破落戸のリーダーらしき男が問いかけている。

 このおっちゃんが依頼したってとこ?
いかにも貴族の・・・私の嫌いなタイプって感じだけど。

「男だ。若い・・・そこの男、フードを取れ」

 指示を受けた破落戸の手下がフードの男性に近づこうとした時点で、護衛らしき男性が動いていた。

「ゔぁぁぁぁぁあ!」

 綺麗に弧を描いた剣が、破落戸の腕を斬っていた。

 叫び声をあげてうずくまる仲間に、男たちは懐からナイフを取り出す。

 あれで騎士の剣に勝てると?
あれで勝つには・・・

「おいっ!女かガキを人質にしろっ」

 だよね。
抵抗できないように、人質を取るしかないよね。

 まぁ、流れとしてそうなることは想像出来たから、私は他のみんなより少し前に出ていた。

「ガキ!こっちに来い!」

 リーダーの男が私の左腕を引っ張って、首にナイフを当てる。

「きゃあああああ!」

「やめろっ!そんな子供にっ」

「うるせぇ!お前らを順番に殺してもいいんだぞ!」

 防御結界は張ってあるから、彼らに危害を加えようとしてもナイフは通らないと思うけど、まぁ怖い思いは別にさせなくても良いわけで、おとなしくしていてくれるとありがたい。

 私を人質にした男たちは、自分たちの優勢を確信したらしい。

 ニヤニヤと笑いながら、騎士とフードの男性に向き直った。

「おい!このガキを殺されたくなければ剣を捨てろ」

「・・・」

「聞こえねぇのかっ!早くしろっ!」

「助けられるのが好みか?」

 フードの男性が、私を捕まえている男を無視して私に問いかけてきた。

 えー。こういう場合、黙って助けてくれるものじゃないの?

 ジト目で紅い目を見つめ返すと、男はクックっと笑った。

 何がそんなに楽しいかなぁ。
子供が人質にされてんのに、動じないというのはどういうこと?

「馬鹿にしやがって!ガキの指がなくなるのは、貴様のせいだからなっ!」

「指がなくなるそうだぞ?」

 いや。嬉しそうに言わないでくれる?

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