聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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結界石を取りに行こう

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「結界石、シンクレア王国がどこから手に入れてたのかはわからないんですが、成分は分かります。あれは魔物の核です」

 分解して分かった。
あれは魔物の核、つまり人間で言うと心臓みたいなものだ。

 魔物を倒すと、基本的に大なり小なり核が取れる。

 そして皮膚やツノ、爪などは武器や防具の材料になるのだ。

 だから、例のドラゴンの核とかは私もまだ保持している。
 だって、あんなのギルドで買取りしてもらえないし。

 金額的なものもだけど、どこで手に入れたって話になるもの。

 で、魔核の話に戻ると、結界石に必要な魔核は冒険者ランクがBランク。できればA推奨ってとこの魔物。

 もしくは、Dランク以下の魔物を十体融合させたモノになる。

 多分シンクレア王国は、この魔物融合の核を使ってたんだと思う。

 あの国にはそんな強い魔物なんて現れない。現れてたら辺境とか崩壊してるわ。
 そんな強い騎士なんていないもの。

「魔物の核か。種類は問うのか?」

「種類というかランクですね。オーガクラスなら一体で一個というところでしょうか」

「ギルドからの買取りになるな。一個でどの程度の結界が張れる?」

「うーん、ここの帝都は広いですから、八個くらい必要そうですね。普通の街なら、四方に置くのがベストかと」

 シンクレア王国ではそんな余裕がなかったから、一つの街に一個くらいだったと思う。

「帝都はともかく、帝都から遠い街には設置したいが。ギルドで買うにしてもすぐには間に合わないな」

「あ。私が狩って来ましょうか」

「は?」

 私がそう言うと、陛下が目を丸くする。

 陛下は、十六歳のわりに大人びた言動だけど、こんな表情は年齢相応に見える。

 結構レアかな。アルヴァン様も驚いた顔してるし。

 でも、あれ?そんなおかしなこと言ったかな?

「オーガを、ティアが・・・か?」

「え?そんな驚くことですか?陛下も狩れますよね?」

 皇帝陛下はその魔法の才能で、齢十五歳にしてカルディア帝国を統一したのだから。

 魔法の才だけを見れば、私より数倍上のはずだ。

「・・・普通はオーガを狩るなら、Bランク冒険者が五人ほどのパーティーを組むのは知っているだろう?」

「知ってますけど、いまさら陛下に出来ないふりをしても仕方ありませんし、それに結界・・・張りたいんでしょう?」

 私だって、陛下が自分の利のためとかで結界石を作れと言っているのなら、協力なんてしない。

 でも、シンクレア王国と違って、カルディア帝国は魔物を騎士や魔法使い、冒険者たちが倒している。

 きっと、命を落とす騎士や魔法使いもいるのだろう。

 彼らが間にあわなくて、怪我をしたり死んでしまう帝国民もいるのだろう。

 クロの父親がいるこの国を、守りたい。そう思った。

 
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