聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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人に心配されるって

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 シキとの連携で、異常種の亀は倒せた。

 しばらくすればわいた魔物も落ち着くだろう。
 倒すのを手伝ってもいいけど、みんなギルドからの依頼で来ているので、報酬の横取りはしたくない。

 というわけで、私の転移魔法でシキと帝都に戻ることにした。

 グレン様たちに会うか迷ったけど、私は一応ここに来てないことになってるので、会わずに帰ることにした。

 シキも問題ないって言うし。

 これで異常種の魔石は二つ目。
帝都だけでなく、カルディア帝国全部を覆うとなると、少なくともあと四個くらいは欲しい。

 帝都だけなら、二個あれば足りるかな?

 などと考えながら転移してシキの執務室に戻ると・・・

 鬼の形相のアルヴァン様が仁王立ちしてきた。

「陛下、ティア様。どちらに行かれていたのですか?」

「あ、え、えと・・・」

「へ・い・か・?」

「・・・ちょっと、魔獣が発生したので、魔石回収のために国境まで」

 アルヴァン様の圧に負けたシキが、素直に吐露すると、部屋の空気がビシッと音を立てた気がした。

 わー。怒ってるぅ。

「ちょっとそこにお座りください」

 アルヴァン様にソファーを指差され、私とシキは黙ってそこに並んで座った。

 行く前に、帰って来たらアルヴァン様のお叱りは甘んじて受けようとか思ってたけど!

 私たちの前に座ったアルヴァン様は、とても厳しい表情をしている。

 これ、無茶苦茶怒ってない?

 私はシンクレア王国にいた頃から、無理難題を言われたり、嫌味を言われたり、粗雑に扱われたりはしたけど、怒られた記憶はない。

「まず、陛下。何度、護衛なしに出かけるなと言えばご理解くださるのですか?貴方は皇帝陛下なのですよ?もっと、ご自分の立場というものをよくお考え下さい」

「護衛がいなくても別に・・・」

「はいっ?陛下がお強いことは、私が一番理解しております。ですが、それを理解した上で、護衛である私をお連れくださいと申し上げているのです!」

「・・・すまない」

 確かにシキは強い。
護衛騎士であるアルヴァン様がいなくても、多分なんの問題もない気もする。

 でも、そういうことではないんだと思う。

 親しいアルヴァン様が一緒なことで、シキに足枷になることもあるかもしれない。
 でも、シキの抑制剤にもなる気がする。

 無茶しそうだもんなぁ、シキ。

「それから、ティア様」

「はぃぃ?」

 え?私も?

「ティア様がお強いことは、私もなんとなくですがわかります。ですが、無茶はおやめください。今回は陛下が付いて行かれたのもありお怪我はなかったようですが、クロが心配しますよ?もちろん、私たちも。我々のことを思って下さるなら、くれぐれも無茶だけはおやめください」

 人に心配されるって、こういうことなんだ。

「ごめんなさい」



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