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元凶
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魔獣と変化したマリアベルを倒すべく向き合った時、こちらに向かって来る足音に気付いた。
(誰か来る)
シキを目配せし合い、マリアベルから距離をおいた。
再度、隠蔽魔法をかける。
私たちの姿が消えたと同時に、扉が開いた。
「結界が揺らいだ気配が・・・なっ?魔獣化したのか。なら、そのせいで結界が揺らいだのか?まぁ、いい。すぐに放逐する準備をしなくては」
私が部屋に入った時に感じた抵抗は、どうやら教皇が張った結界だったらしい。
おそらく、マリアベルが魔獣化しても部屋から出れないようにしていたんだろう。
そうか。
こんなふうに異常種を造っていたんだ。
自分たちは、聖女の結界の中という安全圏にいて。
「ふむ。しかしやはり、元の聖女としての資質が悪いと魔獣化しても貧相だな。あの、平民の聖女はドラゴンと化したというのに」
教皇の嘲るような言葉に、思わず反応した。
今、なんて言った?
平民の聖女・・・ドラゴン・・・
私が初めて倒した異常種は、ドラゴンだった。
だけど、アレは人のことを見下してた。人間としての答えじゃなかった。
だから、違う。
きっと、違う。
違うと思いたいのに、今目の前で魔獣になったマリアベルを見て、あのドラゴンが彼女だったのだろうと思ってしまう。
クロと出会う前。
私の唯一の友人だった、平民の聖女。
私が結界を張ったりポーションを作ったり、いわゆる教会の言いなりになっていたのは、従わないと彼女が責められたからだ。
彼女は、私をいつも他の聖女、特に高位貴族の聖女から守ってくれた。
幼い頃から自分が、他の聖女より力があることは理解っていたし、魔力があることもそしてそれを人に知られてはいけないこともわかっていた。
だから、彼女に守ってもらいながら、聖女の力も微調整して過ごしていた。
なのにある日突然、彼女はいなくなった。
他の聖女が田舎に帰ったと言っていたけど・・・
彼女は平民の聖女だけど、ちゃんと聖女としての務めもしていて、私を除けばトップクラスの聖女だった。
その彼女が教会から離れることをよく教皇が許したな、と疑問に思った。
でも、まさか・・・
ギュッと握られた手に、ハッとする。
シキが優しい瞳で私を見ていた。
シキは私が、ドラゴンの異常種を狩っていることを知らない。
だけど、なんとなく察しているのだろう。
そして、教皇の呟きと私の反応から、その聖女が私の知り合いだと判断したのだと思う。
教皇の前に姿を現したくはない。
この人のことだ。どんな手を使ってでも私を捕らえようとするだろう。
だけど、アレが彼女だったのか、問い詰めたい。彼女だったのなら、何故そんなことをしたのか・・・
この男が全ての元凶。
(誰か来る)
シキを目配せし合い、マリアベルから距離をおいた。
再度、隠蔽魔法をかける。
私たちの姿が消えたと同時に、扉が開いた。
「結界が揺らいだ気配が・・・なっ?魔獣化したのか。なら、そのせいで結界が揺らいだのか?まぁ、いい。すぐに放逐する準備をしなくては」
私が部屋に入った時に感じた抵抗は、どうやら教皇が張った結界だったらしい。
おそらく、マリアベルが魔獣化しても部屋から出れないようにしていたんだろう。
そうか。
こんなふうに異常種を造っていたんだ。
自分たちは、聖女の結界の中という安全圏にいて。
「ふむ。しかしやはり、元の聖女としての資質が悪いと魔獣化しても貧相だな。あの、平民の聖女はドラゴンと化したというのに」
教皇の嘲るような言葉に、思わず反応した。
今、なんて言った?
平民の聖女・・・ドラゴン・・・
私が初めて倒した異常種は、ドラゴンだった。
だけど、アレは人のことを見下してた。人間としての答えじゃなかった。
だから、違う。
きっと、違う。
違うと思いたいのに、今目の前で魔獣になったマリアベルを見て、あのドラゴンが彼女だったのだろうと思ってしまう。
クロと出会う前。
私の唯一の友人だった、平民の聖女。
私が結界を張ったりポーションを作ったり、いわゆる教会の言いなりになっていたのは、従わないと彼女が責められたからだ。
彼女は、私をいつも他の聖女、特に高位貴族の聖女から守ってくれた。
幼い頃から自分が、他の聖女より力があることは理解っていたし、魔力があることもそしてそれを人に知られてはいけないこともわかっていた。
だから、彼女に守ってもらいながら、聖女の力も微調整して過ごしていた。
なのにある日突然、彼女はいなくなった。
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彼女は平民の聖女だけど、ちゃんと聖女としての務めもしていて、私を除けばトップクラスの聖女だった。
その彼女が教会から離れることをよく教皇が許したな、と疑問に思った。
でも、まさか・・・
ギュッと握られた手に、ハッとする。
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シキは私が、ドラゴンの異常種を狩っていることを知らない。
だけど、なんとなく察しているのだろう。
そして、教皇の呟きと私の反応から、その聖女が私の知り合いだと判断したのだと思う。
教皇の前に姿を現したくはない。
この人のことだ。どんな手を使ってでも私を捕らえようとするだろう。
だけど、アレが彼女だったのか、問い詰めたい。彼女だったのなら、何故そんなことをしたのか・・・
この男が全ての元凶。
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