「ちょっと待った」コールをしたのはヒロインでした

みおな

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本当に馬鹿なのですね

 ジュリさんが我がアルベーヌ公爵家に住み込み、侍女の教育を初めて1週間後ー

 やはりやってきましたわ、お馬鹿さんが。

 来るとは思っていたのです。ジョエル様のお付きの方がジュリさんをお迎えに来たと、ラスから聞いていましたから。

 対応したのは執事長のようで、国王陛下とお父様の許可なくはお会いできませんと門前払いしたのだとか。

 もちろん、お父様と陛下が許可を出されるわけがありませんわ。わたくしがそうお願いしてありますもの。

 ですから、その報告を受けたジョエル様が、王宮を抜け出してやって来られるだろうとは思っておりましたのよ。

「あら?ジョエル様、ごきげんよう」

「誰がごきげんなものかっ!ジュリを返せっ!!」

 お馬鹿さんはご挨拶もろくに出来ませんのね。はぁ。国王陛下と王妃様が、おかわいそうですわ。血を分けた子供だからと、せめて廃籍は避けたかったでしょうに。

 ですが、ジョエル様が王族の籍にある限り、王家の評価は地に落ちますわ。

「返せとは?ジュリさんはジョエル様のものではありませんわよ?」

「ふざけるなっ!ジュリは僕の婚約者だっ!」

「国王陛下の許可も頂けていないのに?それに、ジュリさん本人からも拒否されていましたわよね?」

「うるさいっ!!どけっ!!?」

 わたくしを突き飛ばして、公爵邸に入ろうとしていたジョエル様の肩を掴んだ腕がありました。

 その方は、そのままジョエル様を後ろへと引っ張り、ジョエル様はその勢いのまま尻餅をつかれます。

「なっ・・・?」

「お前は何をしている?」

 そこに立っていたのは、第2王子殿下。つまりジョエル様のお兄様です。

 ジョエル様より3歳年上の王子殿下は、騎士団に所属されておりますの。

 そろそろジョエル様がおいでになるだろうと、お父様から王家には連絡していただいておりましたのよ。
 まさか、第2王子殿下自らおいでになるとは思いませんでしたけど。

「あ、兄上・・・」

「父上に謹慎を申しつけられていたはずだな?なのに、なぜ、ここにいる?」

 多分、ジョエル様が抜け出せる隙を作った上でつけてこられたのでしょうね。

「しかも、アルベーヌ公爵令嬢に暴力をふるおうとしたな?」

「そっ、それは、その女が僕のジュリを攫っているからで・・・」

「お前の言うそのジュリというのは、アルベーヌ公爵家の侍女だ。それを攫ったとはどういう意味だ?」

「なっ?侍女などではありませんっ!ジュリは僕の婚約者で・・・」

「相手に拒否されているのにか?お前は、どこまで愚かなんだ」

 第2王子殿下が大きくため息を吐かれます。分かりますわ。ジョエル様は全くお話が通じませんもの。

 ですが、そろそろお話も終わりにしましょう。我がアルベーヌ公爵家の門前で、迷惑ですわ。
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