はい!喜んで!

みおな

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シリル・イグリットの場合②

王立学園校長の役目

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 フミナは、超絶ご機嫌だった。

 それもそのはずで、最近は王太子であるエドワードが常に側にいてくれる。

 ステラ・カナーバ公爵令嬢に絡まれた時も庇ってくれるし、私の味方をして公爵令嬢を叱ってくれる。

「やっぱり、私って愛される存在なのよ!早く婚約破棄して私と婚約してくれればいいのに!」

 スティングレイ王国では、王族に嫁げるのは伯爵家以上なのだが、そんなことはフミナは

 学園が成績ではなく、身分でクラス分けしてあるのも、婚約者との仲を良好に保つため、少しでも友好が深められるようにという配慮である。

 学園側も、まさか王太子殿下ともあろう者が女遊びに興じ、婚約者を放置して下位の子爵令嬢と婚約者のように付き合うなど、考えもしなかった。

「国王陛下は何を考えられているのか。はああー」

 学園の校長室で、王立学園の校長は大きなため息を吐いた。

 校長も、プライベートなことに口出しするつもりはない。

 学園生は全員貴族であり、その身分にかかってくる義務も責任も理解しているはずだからである。

 校長の役目は、彼らが良い交友関係を築き、成人して社会に出た時に、より良い人生を歩めるように手助けすることである。

 下位貴族だからといって、高位貴族との縁を全く持たないわけにはいかないし、逆も然り。

 だから、三ヶ月に一度は交流のために何かしらの会を設けていた。

 それは、高位貴族を知ることで、その振る舞いを見本とし、またどのような態度が不敬とされるのかを知るためでもある。

 だから、会の時だけは不敬には問わず、そのような言動はよくないということを注意するだけになっていた。

 そして、高位貴族も下位の貴族だからと見下すようなことではいけない。

 彼らの考えや価値観を知り、上手に引き立てられるようにするのが高位貴族の役目である。

 そのための会なのだが・・・

 こともあろうに王族である王太子殿下が、婚約者がいながら下位貴族の子爵令嬢と恋仲になった。

 さすがに王太子殿下に注意も出来ず、学園長へと知らせの手紙を出した。

 学園長が王宮に連絡をし、その返答が「放置」であった。

 高位貴族には、下位貴族の見本となる行動をするようにと教えている。

 なのに、王族である王太子殿下の放蕩を放置しろというのか。

 それでは、他の生徒に指導がしにくいではないか。

 ため息が出るのも仕方のないことである。

「とにかく、王太子殿下への罰は王家が責任を持つとおっしゃられている。校長は、他の生徒が便乗して羽目を外さないように注意するように」

「はい、分かりました」

 学園長に念を押すように言われ、校長は頷くしかなかった。
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