はい!喜んで!

みおな

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シリル・イグリットの場合②

スティングレイ王妃殿下のため息

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 スティングレイ王国には、国王陛下所属の諜報部隊、影がいる。

 その影からの報告書に、スティングレイ王国王妃であるシャナルアはため息を吐いた。

 たった一人の息子、エドワードは阿呆だった。

 だった一人の息子で、父親である国王陛下に兄も弟もいない。

 だから、自分の王太子の座は安泰、とでも考えたのだろう。

 こともあろうに、女遊びを始めた。

 シャナルアも、国王であるスティーブンもエドワードを叱ったりしない。

 それは、エドワードの婚約の際に言われたであった。

 エドワードという人間の、本質を明らかにすること。

 もちろん、注意することは許された。

 注意を受けて、それを正すことのできる人間かということも明らかにすることのひとつだった。

 結果として、エドワードは愚か者という烙印が押された。

 学園生の間は自由に過ごしたいから、干渉するな?

 馬鹿にも程がある。

 さすがにまだ妊娠はさせていないようだが、それも時間の問題な気がする。

 妊娠させた場合、エドワードの有責での婚約破棄だと、婚約者であるシリル・イグリット伯爵令嬢側からは言われている。

 エドワードがそのようなことを言った時点で、スティーブンはキングレイ侯爵家に連絡を入れた。

 キングレイ侯爵家のアランとロランは、スティーブンの血を引いた王家の後継者である。

 シャナルアとの血のつながりはないが、シャナルアは大切な息子たちだと思っていた。

 子を産めなくなったシャナルアは、本当ならば廃妃とされ、スティーブンは新たな王妃を迎えるはずだった。

 だがスティーブンは自身の母親に尋ね、廃妃ではない道を選んでくれた。

 別の女性に、後継を二人産んでもらうという道を。

 もちろん、王家の簒奪を狙うような相手では駄目だ。

 スティーブンは、義母の離宮にて二人の子供を女性に産んでもらった。

 その女性はその後、平民となり子供とは離れて生きる決断をしたそうだ。

 シャナルアは、その女性と会うことは許されなかったが、その女性には感謝の気持ちを抱いている。

 初めて会った男と体を重なるのは、辛かったことだろう。

 お腹を痛めて産んだ子供と、二度と会えなくなるのは身が引き裂かれるような気持ちだろう。

 そんな思いをしながら、王家に・・・シャナルアに子供を与えてくれた。

 シャナルアは、スティーブンを心から愛していた。

 スティーブンが廃妃の道を選ばなかったことも本当に嬉しかったし、エドワードしか産めなかったことが本当に申し訳ないと思っていた。

 だからこそ、シャナルアはエドワードの愚行を許せなかった。
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