はい!喜んで!

みおな

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リエルとシリル姉妹の場合

イグリットの名を持つ者

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 この世界には、ガーデンプレイス王国やスティングレイ王国、ファーゼンバーグ王国のある大陸とは別に、大きな大陸が存在する。

 その大陸の覇者である大国の皇帝の名は、ウィラード・イグリット。

 銀色の髪に燃えるような深紅の瞳を持つ美丈夫である。

 ウィラードは、十五歳で父親である皇帝と母である皇帝妃を暗殺で亡くした。

 そして二年のうちに、暗殺に関わった者や腐敗している貴族全てを粛清した。

 顔色ひとつも変えずに、次々と処罰して行く幼い皇帝に付いたあだ名は『氷血の紅月』だ。

 月の光のような銀髪が、血塗られていると比喩されたものだった。

 そんなウィラードを支えたのは三人。

 まずは当時騎士団長で、前皇帝の友人だった侯爵家当主のジェームズ・エッシェンバッハである。

 騎士団長の座を副団長に譲り、ジェームズは宰相となってウィラードの補佐に回った。

 二人目は幼い時からのウィラードの婚約者で、ジェームズの息女のフレデリカ。

 空色の髪に青い瞳のフレデリカは、父親に良く似た豪胆な性格で、それでいて明るくいつも笑顔を絶やさない令嬢だ。

 周囲に恐れられるウィラードのことを、常に気遣う優しい女性であった。

 三人目は、ウィラードの護衛騎士で、ウォルト・バルバトス。

 伯爵家の四男だが、その剣の腕をジェームズに引き立てられ、ウィラードに紹介された。

 イグリット帝国をまとめ上げた時、ウィラードは十九歳となっていた。

 その年にフレデリカと婚姻し、二年後嫡男を、その二年後に再び男児を授かる。

 嫡男の名は、ルアン・イグリット。

 次男の名は、ルイン・イグリット。

 どちらも空色の髪に深紅の瞳で、髪色以外はウィラードに良く似ていた。

 ルイン誕生から七年後、双子の女児が生まれる。

 シリル・イグリット。

 リエル・イグリット。

 銀色の長い髪に澄んだ青い瞳。
ウィラードの髪色にフレデリカの瞳の色を継いでいた。

 歳の離れた妹たちを、ルアンもルインも溺愛し、冷血と周囲には恐れられているものの、家族を大切にしているウィラードもルアンたちと同じように娘たちを可愛がった。

 だがイグリット王家には、大陸の覇者となった時にがあった。

 それは、ルアンもルインも行って来たことで、イグリットの名を持つ限り、シリルもリエルも同じように行わなければならないことだった。

 その交わされた約束とは、とある大陸の貴族や王族の腐敗を正すこと。

 それをすることで、ウィラードが行った血の粛清によるイグリット家にかけられた呪いが浄化されるというものだった。
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