「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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聖女覚醒編

探索《カイ視点》

「よう!カイじゃないか」

 裏通りの小さな酒場に顔を出せば、目的の人間をすぐに見つけた。

「セリオ。頼みがある」

「珍しいな、何でも自分でやろうとするお前が俺に頼ろうなんて。いいぜ、お前の頼みだ。何でも聞いてやるぜ」

「人を探している。しかも至急見つけ出したい。この界隈に顔の効くお前なら、すぐに情報が集まるだろう?」

 セリオはこの界隈の顔役みたいな者だ。
私・・・いや俺はアニエス様に救っていただく前には、セリオたちと一緒に暮らしていた。

 アニエス様に救っていただくことになった俺を、セリオは喜んで送り出してくれた。

 このハイドランジア王国には、貧民街はない。だが、どうしても孤児や貧民がいない世界を作るのは難しい。

 それでも、この国は貧民や孤児に手を差し伸べる仕組みが作られ始めている。
 いつか、そう、あの王太子とアニエス様が国王と王妃になる頃には、この国にかつての俺たちのような人間はいなくなるだろう。

 セリオも小さな商会を営んでいる。
かつての俺たちのように、路地裏で座り込むような子供はいない。

「人?どんなやつだ?」

「ピンクブロンドの髪に、ピンクの瞳の少女だ。昨日、学校に行っていない」

「ピンクブロンド?ああ。お前のお嬢様のご友人の、聖女様か。家出・・・なわけはないわな。お前が探すと言うんだから」

 さすがはセリオだ。
髪色だけで相手が誰かすぐに察する。
 しかも、紹介したわけでも説明したわけでもないのに、アニエス様のご友人の聖女様だとわかるのだから。

「王太子殿下たちが捜索をしているが、街のことならセリオに勝る人間はいないだろう?手を貸してくれ」

「もちろんだ。お前の頼みだからな。それに、お前のお嬢様のおかげで、この国は前よりもっと住みやすくなった。その礼を尽くさせて貰おう」

 アニエス様は、俺を拾って以降、浮浪児をなくすべく色々と働いてくれた。

 リリウム公爵にお願いして施設に入れるようにお金を工面し、いずれ働けるように、計算や文字を教えさせる仕組みを作った。

 新たな仕事口を紹介したり、セリオのように能力のある人間が商会を立ち上げる手助けや口利きもしてくれた。

 お嬢様は、俺だけでなく、俺のかつての仲間たちも救ってくれたのだ。

「おい!ジグル!」

「はいっ!お呼びですか?セリオさん・・・って、カイさんじゃないですか!お久しぶりっすね」

「元気そうだな」

 ジグルも俺の昔馴染みだ。
ちょっとお調子者だが、気のいいヤツでセリオが特に可愛がっていた。

「昨日妙な動きをしているヤツを見てないか、周囲に当たれ。聖女様が行方知れずらしい」

「了解っス!少し待ってて下さいっス」

 ジグルは軽快な足取りで、すぐに部屋を出て行った。



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