104 / 128
学園卒業編
僕のお嫁さん《マリウス視点》
母上とローラを部屋から追い出し、抱きしめていたアニエスを抱き上げる。
「きゃっ・・・ま、マリ様」
「アニエスは僕のお嫁さんなのに。本当に君はみんなに愛されている。僕は嫉妬でどうにかなりそうだよ」
そのまま扉を開け、ベッドの上にアニエスを下ろす。
目を見開いたアニエスが、戸惑ったように僕を見ていた。
「マリ・・・ウス様?」
「誰にも奪われないように、このまま君を僕のものにしたい」
「・・・」
「だけど僕は、君を誰よりも幸せで、みんなに自慢できる王太子妃にしたい。だから、あと半年、我慢する」
王家に嫁ぐものは、結婚式まで清らかな乙女であるべき。
それは通例だけど、絶対ではない。
さすがに子を授かっていたり、他の男の手付きだと問題だが、結婚する相手との交渉はやむ得なしとされている。
元々は、初夜に王太子妃が生娘であった証拠を確認されていたが、僕の曾祖父が、その制度を撤廃した。
曾祖父の婚約者であった曾祖母は、とても美しく、近隣の王国からの求婚がものすごかったらしい。
婚約者を奪われたくない曾祖父は、婚前交渉に及んだのだそうだ。
その気持ちは、痛いほど分かる。
僕だって、アニエスを今すぐにでも僕のものにしたい。
だけど、制度は撤廃されたが、貴族たちの中にそういう考えの者が多いのも事実だ。
アニエスがそういう奴らに、悪く言われるのは許せない。
「たった半年です。マリ様」
「アニエス?」
「生まれた時から婚約していて、4歳の時に顔合わせをしましたよね。あれから11年です。わたくしがマリ様を好きだって告白してから2年たちました。指輪を贈って貰ったのは、1年前です。時間なんて、本当にあっという間に経ってしまいます」
アニエスは、僕のこんな醜い欲を、嫌だと思わないのだろうか。
僕のことを、嫌いになってしまわないだろうか。
「わたくしは、その・・・そういうことには疎いので、マリ様のお気持ちを理解できていないかもしれません。でも、ご自分の中に抱え込まないで、わたくしにお話下さい。わたくしたちは、夫婦になるのでしょう?」
「アニエス・・・」
僕の婚約者は、本当に賢い。
美しくて、聡明で、そして優しくて、僕にちゃんと向き合ってくれている。
それが嬉しくて、そっとアニエスの頬を撫でると、彼女はその頬を赤らめながら、わずかに目を伏せた。
「ただ・・・」
「どうしたの?アニエス」
「ただ、わたくしはその・・・未熟ですので、出来る限りでいいのですけれど・・・手加減してくださいませ」
目を伏せたアニエスが、あまりに可愛らしくて愛しくて、そのままその柔らかな唇に自分のソレを重ねてしまったのは、やむ得ないことだと思った。
「きゃっ・・・ま、マリ様」
「アニエスは僕のお嫁さんなのに。本当に君はみんなに愛されている。僕は嫉妬でどうにかなりそうだよ」
そのまま扉を開け、ベッドの上にアニエスを下ろす。
目を見開いたアニエスが、戸惑ったように僕を見ていた。
「マリ・・・ウス様?」
「誰にも奪われないように、このまま君を僕のものにしたい」
「・・・」
「だけど僕は、君を誰よりも幸せで、みんなに自慢できる王太子妃にしたい。だから、あと半年、我慢する」
王家に嫁ぐものは、結婚式まで清らかな乙女であるべき。
それは通例だけど、絶対ではない。
さすがに子を授かっていたり、他の男の手付きだと問題だが、結婚する相手との交渉はやむ得なしとされている。
元々は、初夜に王太子妃が生娘であった証拠を確認されていたが、僕の曾祖父が、その制度を撤廃した。
曾祖父の婚約者であった曾祖母は、とても美しく、近隣の王国からの求婚がものすごかったらしい。
婚約者を奪われたくない曾祖父は、婚前交渉に及んだのだそうだ。
その気持ちは、痛いほど分かる。
僕だって、アニエスを今すぐにでも僕のものにしたい。
だけど、制度は撤廃されたが、貴族たちの中にそういう考えの者が多いのも事実だ。
アニエスがそういう奴らに、悪く言われるのは許せない。
「たった半年です。マリ様」
「アニエス?」
「生まれた時から婚約していて、4歳の時に顔合わせをしましたよね。あれから11年です。わたくしがマリ様を好きだって告白してから2年たちました。指輪を贈って貰ったのは、1年前です。時間なんて、本当にあっという間に経ってしまいます」
アニエスは、僕のこんな醜い欲を、嫌だと思わないのだろうか。
僕のことを、嫌いになってしまわないだろうか。
「わたくしは、その・・・そういうことには疎いので、マリ様のお気持ちを理解できていないかもしれません。でも、ご自分の中に抱え込まないで、わたくしにお話下さい。わたくしたちは、夫婦になるのでしょう?」
「アニエス・・・」
僕の婚約者は、本当に賢い。
美しくて、聡明で、そして優しくて、僕にちゃんと向き合ってくれている。
それが嬉しくて、そっとアニエスの頬を撫でると、彼女はその頬を赤らめながら、わずかに目を伏せた。
「ただ・・・」
「どうしたの?アニエス」
「ただ、わたくしはその・・・未熟ですので、出来る限りでいいのですけれど・・・手加減してくださいませ」
目を伏せたアニエスが、あまりに可愛らしくて愛しくて、そのままその柔らかな唇に自分のソレを重ねてしまったのは、やむ得ないことだと思った。
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です>
【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】
今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
〈完結〉伯爵令嬢リンシアは勝手に幸せになることにした
ごろごろみかん。
恋愛
前世の記憶を取り戻した伯爵令嬢のリンシア。
自分の婚約者は、最近現れた聖女様につききっきりである。
そんなある日、彼女は見てしまう。
婚約者に詰め寄る聖女の姿を。
「いつになったら婚約破棄するの!?」
「もうすぐだよ。リンシアの有責で婚約は破棄される」
なんと、リンシアは聖女への嫌がらせ(やってない)で婚約破棄されるらしい。
それを目撃したリンシアは、決意する。
「婚約破棄される前に、こちらから破棄してしてさしあげるわ」
もう泣いていた過去の自分はいない。
前世の記憶を取り戻したリンシアは強い。吹っ切れた彼女は、魔法道具を作ったり、文官を目指したりと、勝手に幸せになることにした。
☆ご心配なく、婚約者様。の修正版です。詳しくは近況ボードをご確認くださいm(_ _)m
☆10万文字前後完結予定です
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定