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沼にハマって行ってるわ
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「は?何を・・・」
アレックスは自分の婚約者が何を言っているのか、理解出来なかった。
アレックスとメルティンは政略結婚を前提とした婚約者とはいえ、アレックスは自分がメルティンに好かれている自負はあった。
自分を愛おしそうに見るメルティン。
隣にいることが嬉しそうで、何かをプレゼントすれば宝物のように喜んでいたメルティン。
だが、今アレックスを見るメルティンの目は、道端の石を見ているような、何の感情も感じさせない。
「メル・・・ティン?」
「私とセルビア公爵令息様との婚約は、すでに解消されています。ですから、どなたと懇意になさっても結構ですが、嘘の情報を周囲に知らしめるのは感心しませんわ。アナ様がセルビア公爵令息様と交際なさるわけがありません」
メルティンは、はっきりとそう言い切り、アナに向かってにっこりと微笑みかける。
メルティンの様子に戸惑ったアレックスは、困ったように周囲を見渡しシシリーの姿を探す。
何か様子がおかしいと思ったものの、シシリーはその場に駆け寄った。
「メルティン様もぉ、カーラ様もぉ、信じたくないのは分かりますけどぉ、本当にメルティン様とダグラス様は、アナ様と交際されているんですぅ。私、こないだアナ様がダグラス様と抱き合ってたの見ましたし、アレックス様ともキスしてましたぁ!」
「それは、本当のことか?」
「あ!ライアン様ぁ!本当ですぅ」
現れたライアンに、シシリーは目を輝かす。
メルティンとカーラの対応のおかしさに戸惑ったものの、ライアンが現れたことでこのまま押し切れると判断したのだ。
ライアンは厳しい目を、アレックスとダグラスに向ける。
「リゾーラ嬢の言っていることは事実か?嘘偽りないと断言できるか?」
「ええ。殿下には申し訳ないと思いましたが、この気持ちに嘘はつけず・・・僕たちは愛し合っているのです」
「ダグラス・ロックベル。君もか?」
「俺も彼女と情を交わしました。彼女は、元平民だから、そういうことに関して奔放なのでしょう。俺たちの思いを受け入れてくれたんです」
ライアンの視線はキツくなる。
その様子に、シシリーは内心のニヤニヤが止まらない。
「ライアン様、かわいそう。あんな悪女に騙されて。でも、シシリーがライアン様の心の傷が癒えるまでずっとお側にいます」
シシリーは、ライアンの腕にしがみつくように抱きつこうとし・・・
知らぬ間に後ろに来ていたリリアナが、ライアンを後ろへと引き寄せたせいで、勢いのままその場に転んだ。
「勝手に触れないで下さいませ」
「・・・ッ!酷ぉい!ライアン様ぁ。私、いつもいつもリリアナ様にこんな風にいじめられていたんですぅ」
泣き真似を始めるシシリーに、離れた場所で見ていたルーナは笑いが止まらない。
とことん沼にハマってるのが面白くて仕方なかった。
アレックスは自分の婚約者が何を言っているのか、理解出来なかった。
アレックスとメルティンは政略結婚を前提とした婚約者とはいえ、アレックスは自分がメルティンに好かれている自負はあった。
自分を愛おしそうに見るメルティン。
隣にいることが嬉しそうで、何かをプレゼントすれば宝物のように喜んでいたメルティン。
だが、今アレックスを見るメルティンの目は、道端の石を見ているような、何の感情も感じさせない。
「メル・・・ティン?」
「私とセルビア公爵令息様との婚約は、すでに解消されています。ですから、どなたと懇意になさっても結構ですが、嘘の情報を周囲に知らしめるのは感心しませんわ。アナ様がセルビア公爵令息様と交際なさるわけがありません」
メルティンは、はっきりとそう言い切り、アナに向かってにっこりと微笑みかける。
メルティンの様子に戸惑ったアレックスは、困ったように周囲を見渡しシシリーの姿を探す。
何か様子がおかしいと思ったものの、シシリーはその場に駆け寄った。
「メルティン様もぉ、カーラ様もぉ、信じたくないのは分かりますけどぉ、本当にメルティン様とダグラス様は、アナ様と交際されているんですぅ。私、こないだアナ様がダグラス様と抱き合ってたの見ましたし、アレックス様ともキスしてましたぁ!」
「それは、本当のことか?」
「あ!ライアン様ぁ!本当ですぅ」
現れたライアンに、シシリーは目を輝かす。
メルティンとカーラの対応のおかしさに戸惑ったものの、ライアンが現れたことでこのまま押し切れると判断したのだ。
ライアンは厳しい目を、アレックスとダグラスに向ける。
「リゾーラ嬢の言っていることは事実か?嘘偽りないと断言できるか?」
「ええ。殿下には申し訳ないと思いましたが、この気持ちに嘘はつけず・・・僕たちは愛し合っているのです」
「ダグラス・ロックベル。君もか?」
「俺も彼女と情を交わしました。彼女は、元平民だから、そういうことに関して奔放なのでしょう。俺たちの思いを受け入れてくれたんです」
ライアンの視線はキツくなる。
その様子に、シシリーは内心のニヤニヤが止まらない。
「ライアン様、かわいそう。あんな悪女に騙されて。でも、シシリーがライアン様の心の傷が癒えるまでずっとお側にいます」
シシリーは、ライアンの腕にしがみつくように抱きつこうとし・・・
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「勝手に触れないで下さいませ」
「・・・ッ!酷ぉい!ライアン様ぁ。私、いつもいつもリリアナ様にこんな風にいじめられていたんですぅ」
泣き真似を始めるシシリーに、離れた場所で見ていたルーナは笑いが止まらない。
とことん沼にハマってるのが面白くて仕方なかった。
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