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断罪①

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「そうか」

 ライアンの冷たい視線や声色に、シシリーやアレックス、ダグラスは気付かない。

 シシリーに至っては、これでリリアナが悪役令嬢の役割を果たしてくれて、自分がヒロインとして認められたと感じていた。

 満面の笑みでアナとリリアナを見下し、ライアンに抱きつこうとする。

「衛兵!シシリー・リゾーラ及びアレックス・セルビア、ダグラス・ロックベルを拘束しろ」

「「「はっ!」」」

「ちょっ、ちょっと待って!どうしてライアン様?」

 シシリーはライアンに手を伸ばすものの、衛兵に遮られる。
 アレックスとダグラスも、衛兵に押さえつけられ、床に膝をついた。

「なっ!で、殿下っ!何故?」

「俺たちが何をしたというんですか!」

 喚くアレックスとダグラスに視線を向けたライアンは、扉に向かって話しかけた。

「ご子息たちに説明してあげてもらえますか?」

「は?え・・・?父上?」

 扉が開き入って来たのは、セルビア公爵とロックベル侯爵。そして、国王陛下だった。

 衛兵に押さえつけられたまま、現れた己たちの父親の姿に、唖然とした様子のアレックスとダグラスは、目を見はる。

 自分たちの父親が、まるで汚いものを見るような目で自分たちを見ていたからだ。

 一方、セルビア公爵とロックベル侯爵はというと・・・

 愚かだと、魅了魔法にかかっているとはいえ、あまりにも愚かだと、嫡男である息子を廃籍までする決意をした。

 だが、婚約者を蔑ろにしたばかりか、王族であるライアン殿下に嘘を述べるなど・・・

 そこまでだったのかと。
自分たちが行ってきた教育は一体何だったのかと。

 怒りを通り越して悲しさすら感じていた。

 おそらく先ほどのライアン殿下の問いかけは、最後の恩情だったのではないか。

 アレックスたちは、元婚約者たちの心遣いもあり、しばらく平民として働くことになる。

 そこで更生しなければ、魔獣退治の前線に送られる。

 ライアンにとって二人は、側近候補として長く共にいた仲間だ。

 王族として情だけで物事を判断するわけにはいかないライアンにとって、あの問いかけは最後の情けだったのだ。

 あそこで踏みとどまっていれば、一般の下級騎士として、一般の下級文官として、平民としての更生後に働けるように手を差し伸べるつもりだった。

 シシリーに関しては、彼女が発端であるため、見逃すことはできない。

 王族であるライアン。教会トップの子息のセドリック。宰相子息のアレックス。騎士団長子息のダグラス。そして次期公爵のランスロット。

 その全員が彼女のせいで、全てを駄目にしてしまった可能性があったのだ。

 

 
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