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わたくし自由に生きていいの?
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お祖父様とお話されていたお母様が、お部屋に訪ねて来られました。
わたくしはとりあえず伯父様の謝罪を受け入れ、お部屋で休んでおりましたの。
「私の可愛いお姫様。本当にジークハルトと婚約して構わないの?」
「お祖父様とお祖母様もお許しになったとお伺いしましたわ。それにたとえ国王陛下の姪といえど臣下ですもの。王命には従いますわ」
「私のお姫様。貴女が望むなら、ローゼンタール王国でなくて、他の国に行ってもかまわないのよ。私たちは貴女に自由に生きてもらいたくて、セオドア王国を出たの。まさかお兄様・・・いえ、国王陛下が王命で婚約を決めるとは思っていなかったわ。これでは、セオドア王国と同じではないの」
そうお母様に言われて、確かにその通りだと気付きましたわ。
セオドア王国の国王陛下が何を思って、わたくしをエリック殿下の婚約者になさったのかは分かりません。
生まれてすぐ決まりましたから、わたくし個人どうこうでなく、ローゼンタールの後ろ盾を求められたのかもしれませんね。
わたくしは貴族の娘に生まれたからには、家長の決められた通りに、政略結婚を受け入れるのが当然だと、そう思っておりました。
セオドアでの王子妃教育でそう教わりましたわ。
わたくしたちは美味しい食事を食べ、綺麗な服を着て、何不自由なく育っている代わりに、そういう義務が生じるのだと、幼い頃に王宮で受けた淑女教育でも言われました。
それなのに、お母様はわたくしに自由に生きろとおっしゃるの?
わたくしが望むなら、王命の婚約すらお断りするとおっしゃるの?
お母様にとって、お祖父様やお祖母様、伯父様は血を分けた家族なのに、わたくしのために矢面に立って下さろうとするの?
わたくしはどうしたいのかしら?
今まで・・・自由なんてなかったからよく分からないわ。
もちろん家族は、お父様もお母様もお兄様も、みんなわたくしを大切にして下さっていたけど、わたくしは王太子殿下の婚約者だったから。
その立場を理解した上で、行動しなければならなかったから。
「ごめんなさい、お母様。よく・・・分からないの。殿下のことは別に嫌いではないのです。嫌な夢も見ていないし、お会いしたばかりですもの。好意も嫌悪感も持っていませんわ。驚いただけです」
ジークハルト殿下には申し訳ありませんけど、さすがに会ったばかりで好意は抱いてはいませんわ。
身内ですから、嫌悪感もありませんが。
「私のお姫様。義務ではなく、尊敬や敬愛ではなく、誰かを心から好きになってちょうだい。家のことは気にしなくて良いの。ライアンもいるし、貴女には心から好きな相手に嫁いで欲しいのよ。もちろん、お嫁に行かなくても良いわ。私のそばにずっといてちょうだい」
わたくしはとりあえず伯父様の謝罪を受け入れ、お部屋で休んでおりましたの。
「私の可愛いお姫様。本当にジークハルトと婚約して構わないの?」
「お祖父様とお祖母様もお許しになったとお伺いしましたわ。それにたとえ国王陛下の姪といえど臣下ですもの。王命には従いますわ」
「私のお姫様。貴女が望むなら、ローゼンタール王国でなくて、他の国に行ってもかまわないのよ。私たちは貴女に自由に生きてもらいたくて、セオドア王国を出たの。まさかお兄様・・・いえ、国王陛下が王命で婚約を決めるとは思っていなかったわ。これでは、セオドア王国と同じではないの」
そうお母様に言われて、確かにその通りだと気付きましたわ。
セオドア王国の国王陛下が何を思って、わたくしをエリック殿下の婚約者になさったのかは分かりません。
生まれてすぐ決まりましたから、わたくし個人どうこうでなく、ローゼンタールの後ろ盾を求められたのかもしれませんね。
わたくしは貴族の娘に生まれたからには、家長の決められた通りに、政略結婚を受け入れるのが当然だと、そう思っておりました。
セオドアでの王子妃教育でそう教わりましたわ。
わたくしたちは美味しい食事を食べ、綺麗な服を着て、何不自由なく育っている代わりに、そういう義務が生じるのだと、幼い頃に王宮で受けた淑女教育でも言われました。
それなのに、お母様はわたくしに自由に生きろとおっしゃるの?
わたくしが望むなら、王命の婚約すらお断りするとおっしゃるの?
お母様にとって、お祖父様やお祖母様、伯父様は血を分けた家族なのに、わたくしのために矢面に立って下さろうとするの?
わたくしはどうしたいのかしら?
今まで・・・自由なんてなかったからよく分からないわ。
もちろん家族は、お父様もお母様もお兄様も、みんなわたくしを大切にして下さっていたけど、わたくしは王太子殿下の婚約者だったから。
その立場を理解した上で、行動しなければならなかったから。
「ごめんなさい、お母様。よく・・・分からないの。殿下のことは別に嫌いではないのです。嫌な夢も見ていないし、お会いしたばかりですもの。好意も嫌悪感も持っていませんわ。驚いただけです」
ジークハルト殿下には申し訳ありませんけど、さすがに会ったばかりで好意は抱いてはいませんわ。
身内ですから、嫌悪感もありませんが。
「私のお姫様。義務ではなく、尊敬や敬愛ではなく、誰かを心から好きになってちょうだい。家のことは気にしなくて良いの。ライアンもいるし、貴女には心から好きな相手に嫁いで欲しいのよ。もちろん、お嫁に行かなくても良いわ。私のそばにずっといてちょうだい」
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