2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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完璧に〜セオドア王国王妃視点〜

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「まだアリスティアは見つからないの?」

「申し訳ございません。まだ知らせは届いておりません」

 侍女の応えに、テーブルの上の紅茶を投げつけたい気持ちをグッと抑える。

 我慢よ。
完璧な王妃である私が、侍女にあたったなどという醜聞は許されないわ。

 大切な息子であるエリックには、婚約者がいた。

 イングリス公爵家の娘、アリスティア。白い髪と銀の瞳をした彼女を王命で婚約者にしたのは夫である国王陛下。

 アリスティアの母親テレサは、大国ローゼンタール王国の国王陛下の妹で、アリスティアは王姪。

 ローゼンタール王国との縁のために、夫は婚約を結ばせた。

 母親のテレサは銀髪だけど、アリスティアの白髪は祖母だか曾祖母譲りだそう。

 少々気持ち悪いけど、それでもアリスティアは子供ながら整った容姿をしていた。

 容姿はどうしようもないけど、幼いうちからキチンと教育すれば、可愛いエリックの役にたつ様になるわ。

 そう思って、物心ついた頃から淑女教育に王子妃教育と進めてきた。

 すべてはエリックのため。
あの子が難しいことを覚える必要はない。

 隣に立つ栄誉を与えられたんだもの。婚約者であるアリスティアがすべてを支えれば良い。

 どれだけ厳しくしても、アリスティアが泣き言を言うことはなかった。

 王宮での教育に関しては、公爵家では一切語らないことを、最初にキツく言い聞かせたから、イングリス公爵からも夫人のテレサからも何も苦情は来ない。

 子供らしさなど、エリックの婚約者には必要ない。

 それなのに、学園に入学しようという時エリックと共に市井に出かけ、髪にべっとりと塗料を付けて帰って来た。

 肩のあたりでバッサリと切るしかなかった髪。

 完璧な王太子妃にしようと、教育してきた私の努力を無駄にしたアリスティアをキツく叱った。

 思わず扇で叩きそうになって、必死で耐えたわ。

 怪我なんかさせたら、公爵家になんて言われるか。

 よほど私に叱られたのが堪えたのか、翌日からアリスティアが王宮に来なくなった。

 一応イングリス公爵家から「体調を崩して寝込んでいる」と報せはあったけど。

 体調不良だなんて。
熱があろうと、休むなんてとんでもないわ。

 出てきたらもっとキツく指導しなきゃ。

 そう思っていたのに、ある日アリスティアではなくイングリス公爵と公爵夫人のテレサ、そして公爵子息が現れた。

 エリックが男爵令嬢と不貞?
優秀なあの子が、そんなことするわけないわ。

 そう叫んだ私を無視するように、宰相までもが婚約の白紙撤回の書類を夫に差し出している。

 もし不貞ぎ事実だとしても、そんなの目を瞑りなさいよ!
 エリックの婚約者でいられることを、もっと感謝するべきなのよ!

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