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7.やっぱりそうだったみたいです
「・・・っ!」
護衛の任を解くという私の言葉は、私が考えていたよりもリュカに響いたようだった。
顔を真っ青にしたリュカに、アデラが冷たい視線を向ける。
妹の責めるような視線に、リュカは苦しそうに俯いた。
そんな護衛騎士の肩に、私はそっと触れた。
「リュカ。正直に答えて?あのね、私も薄々だけど気付いているの。だけど、私の勘違いでそんなことお父様たちにお話できないでしょう?だから、もしリュカが何か知っているのなら教えて欲しいの。私ね、ウィリアムさ・・・殿下には幸せになって欲しいの。私たちは生まれた時からの婚約者。政略結婚でもあるけれど、お互いを尊敬し合えない関係にはなりたくないの。それに、私も自分のために知りたいの」
リュカに語った言葉に嘘はない。
このままウィリアム殿下が誰かを想ったまま婚姻したくないし、ウィリアム殿下もそうだろう。
そのうちに、婚約解消の話が持ちかけられるかもしれない。
「お嬢様・・・」
「教えてちょうだい」
「あの日・・・お嬢様が忘れたというハンカチを取りに戻りました。中庭には片付けをしている使用人たちがいて、すぐにハンカチも見つけました。そして戻ろうとした時、建物の陰に隠れるように向かうメイドを見つけて・・・気になって後をこっそり追ってしまいました」
メイド?
王宮の侍女には、高位貴族のご令嬢が行儀見習いとして赴いている場合もある。
でも、メイドは下位貴族のご令嬢か平民の方だと聞く。
「メイドが向かう先には、王太子殿下がいらっしゃいました。そして、そのメイドを・・・まるで二人が恋人のように語り合うのを見て、俺は・・・」
リュカは、真っ白になるほど強く手を握りしめていた。
その手にそっと触れる。
多分、濁した部分は私が顔を曇らせるような行為をされていたのだと思う。
それを今ここで聞くつもりはない。
もちろん後でお父様たちには話してもらうけど。
ウィリアム殿下も、親の決めた婚約者と自分の愛する人との間で、苦しんでいらっしゃったのね。
だから、お茶会も・・・
「そう。嫌な話をさせてごめんなさい。その話、お父様たちの前でもう一度してくれる?私が先にお父様たちに話をしておくから、その後で。その時には、その濁した部分もお父様たちにはお話してちょうだい」
「お嬢様・・・ですが!」
「いいの。私と殿下は政略結婚相手。私がどう思おうと最終的にはお父様が決断なさるけど、私ね・・・自分で思ってたより冷静なの。だから、リュカが気にする必要はないのよ。それに、婚姻してからのことを考えると、お父様に判断を仰いだ方がいいと思うの」
そんなに愚かなことをなさるとは思わないけど、そこまで好きなお相手なら、もしものことがあるもの。
護衛の任を解くという私の言葉は、私が考えていたよりもリュカに響いたようだった。
顔を真っ青にしたリュカに、アデラが冷たい視線を向ける。
妹の責めるような視線に、リュカは苦しそうに俯いた。
そんな護衛騎士の肩に、私はそっと触れた。
「リュカ。正直に答えて?あのね、私も薄々だけど気付いているの。だけど、私の勘違いでそんなことお父様たちにお話できないでしょう?だから、もしリュカが何か知っているのなら教えて欲しいの。私ね、ウィリアムさ・・・殿下には幸せになって欲しいの。私たちは生まれた時からの婚約者。政略結婚でもあるけれど、お互いを尊敬し合えない関係にはなりたくないの。それに、私も自分のために知りたいの」
リュカに語った言葉に嘘はない。
このままウィリアム殿下が誰かを想ったまま婚姻したくないし、ウィリアム殿下もそうだろう。
そのうちに、婚約解消の話が持ちかけられるかもしれない。
「お嬢様・・・」
「教えてちょうだい」
「あの日・・・お嬢様が忘れたというハンカチを取りに戻りました。中庭には片付けをしている使用人たちがいて、すぐにハンカチも見つけました。そして戻ろうとした時、建物の陰に隠れるように向かうメイドを見つけて・・・気になって後をこっそり追ってしまいました」
メイド?
王宮の侍女には、高位貴族のご令嬢が行儀見習いとして赴いている場合もある。
でも、メイドは下位貴族のご令嬢か平民の方だと聞く。
「メイドが向かう先には、王太子殿下がいらっしゃいました。そして、そのメイドを・・・まるで二人が恋人のように語り合うのを見て、俺は・・・」
リュカは、真っ白になるほど強く手を握りしめていた。
その手にそっと触れる。
多分、濁した部分は私が顔を曇らせるような行為をされていたのだと思う。
それを今ここで聞くつもりはない。
もちろん後でお父様たちには話してもらうけど。
ウィリアム殿下も、親の決めた婚約者と自分の愛する人との間で、苦しんでいらっしゃったのね。
だから、お茶会も・・・
「そう。嫌な話をさせてごめんなさい。その話、お父様たちの前でもう一度してくれる?私が先にお父様たちに話をしておくから、その後で。その時には、その濁した部分もお父様たちにはお話してちょうだい」
「お嬢様・・・ですが!」
「いいの。私と殿下は政略結婚相手。私がどう思おうと最終的にはお父様が決断なさるけど、私ね・・・自分で思ってたより冷静なの。だから、リュカが気にする必要はないのよ。それに、婚姻してからのことを考えると、お父様に判断を仰いだ方がいいと思うの」
そんなに愚かなことをなさるとは思わないけど、そこまで好きなお相手なら、もしものことがあるもの。
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