決めたのはあなたでしょう?

みおな

文字の大きさ
41 / 82

どうなってるんだ《サイード視点》

「だから、アリスを出してくれと言っているだろう!」

 僕はジョージアナ伯爵家の門のところで、家令にした。

 僕は、スペンサー侯爵家の人間だぞ?
伯爵家の、しかも家令風情がいつまで待たせるつもりなんだ。
 しかも、門すら開けようとしない。
ジョージアナ伯爵家は使用人の教育すら出来てないのか?

「本日、スペンサー侯爵家様のご来訪はお聞きしておりません。現在、旦那様はいらっしゃいませんので、お招きするわけにはまいりません。お引き取り下さい」

「だから、伯爵たちではなく、アリスを呼んでくれ!」

「アリスお嬢様とスペンサー侯爵令息様との婚約は、解消されていると伺っております。よって、取り次ぐ必要なしと旦那様より申しつかっております」

 クッ!
本当にジョージアナ伯爵家の人間は、人間味が足りない。

 アリスもそうだったが、可愛げというものがないんだ。

 家令の胸元を掴もうと手を伸ばしたが、門が邪魔をして、一歩下がった家令には手が届かない。

「あまりしつこいようですと、スペンサー侯爵家にご連絡いたしますが?」

「くそっ!明日、また来る!アリスにそう伝えろ!」

 これ以上騒いだら、本当に父上に連絡される。

 そうでなくても、父上も母上も兄上も、愚かな者を見るような目で僕を見るんだ。

 僕はジョージアナ伯爵家を後にすると、ナターシャのゾナトフ男爵家へと足を向けた。

 ナターシャは、一昨日から学園に来ていなかった。
 風邪らしいが、大丈夫だろうか。
途中で、果物を買って男爵家に向かう。

 が。

 ゾナトフ男爵家に着いて、僕は唖然とした。

 門は開きっぱなしで、何なら玄関の扉も開いている。

 恐る恐る近づいてみるが、隙間から覗いても、その小さな屋敷内はシーンとしていた。

「ナターシャ?ゾナトフ男爵?」

「アンタ、そこの屋敷の知り合いか?」

 玄関から声をかけていると、突然後ろから声をかけられてビクリとする。

 振り返ると、柄の悪そうな男が三人立っていた。

「え、あ、いや、ただの・・・クラスメイトで・・・」

「チッ。あの女のイロかと思ったが違うのか。アンタ、知らないか?ここの娘がどっかのお偉い貴族様と付き合ってたらしいんだが」

「い、いや。僕はクラスで頼まれて代表でお見舞いに来ただけだから」

 何故か、僕がナターシャと付き合ってたことを知られたらマズい気がした。

 背中を冷や汗が流れるが、素知らぬふりを続ける。

「お見舞いだぁ?ふーん、まぁいい。アンタ、あの娘の行きそうなとこに心当たりは?」

「え?ナターシャいないの?」

 僕はポカンとした顔で、男たちを見た。
僕が本当に驚いたからか、男たちは僕が彼女の恋人だと疑うこともなく、その場から帰してくれた。

 ナターシャに渡す予定だった果物は男たちの手に渡ったが、僕は足早にそこを立ち去りながら、冷や汗を拭った。

 一体、どうなっているんだ!

感想 195

あなたにおすすめの小説

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。