決めたのはあなたでしょう?

みおな

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報告②《ジョージアナ伯爵視点》

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「殿下、その精霊王様とおっしゃるのは?」

 不敬かもしれないが、私はもうアリスに政略結婚をさせるつもりはない。

 アリスが幸せになるためなら、爵位はお返しして、領地は王家の管轄にお戻しするつもりだ。

 現在の王家は第一王子殿下も第二王子殿下も優秀で、王家に領地をお返ししたとしても、領民に苦労をかけることはない。

 スペンサー侯爵家から、蚕産業の譲渡も受けている。
 王家なら、上手く活かせてくれるだろう。

 しかし、精霊王様とおっしゃるのは、人外ではないのか?
 そのような方の寵愛を受けて、アリスは困っているのではないだろうか。

「遠い昔、サザンスィート王国に嫁いだ美しき女王陛下が精霊女王だそうだよ。本来は、サザンスィートの王家のみに伝わる伝承なんだ。でも、ジョージアナ嬢が寵愛を受けたということで、王太子殿下であるジュリアン殿が知らせてくれた」

「その、アリスは・・・」

「とりあえず、お友達からと約束されたそうだよ。精霊王様にとってジョージアナ嬢は特別な存在だそうだ。何と言ったかな、そうだ、番だ。精霊を見ることができる人間は稀にいるそうだ。ジュリアン殿も見えると言っていた。その声を聞くことができる者もいるらしい。だが、その身に触れることができるのは、王の番のみなのだと。それが、ジョージアナ嬢らしい」

 そのようなことを言われても、可愛いアリスが望まないのなら、たとえ唯一の存在だと言われても、お断りだ。

「精霊王様とは仲良くされてるようだよ。お名前で呼んでるらしいし。それに、ジョージアナ嬢が伯爵家を継ぐと伝えたら、婿に行くとまでおっしゃられたらしくてね。ご令嬢もそこまで自分を思ってくれるならと、婚約を前提に仲良くされているようだ」

「アリスの望みならば、私はかまいませんが・・・」

「分かってるよ。マリンティアの大切な友人であるご令嬢だ。いくら国の為になることでも、無理強いするつもりはない。そんなことをしたら、サザンスィートからも絶縁されそうだしね」

 第一王子殿下の言葉に、息を吐く。
殿下の言葉を鵜呑みにするつもりはない。
 だが、頭の切れる殿下のことだ。
無理強いすれば、我々が国を捨ててでも退ける事は理解っているだろう。

「それで、伯爵の方は何用かあったのか?」

 殿下のお話が段落したところで、ずっと黙って話を聞かれていた陛下が、口を開かれた。

 そうだ。アリスが戻って来るまでに、アレをどうにかしておかねば。

「スペンサー侯爵令息が交際していたゾナトフ男爵令嬢ですが、借金を踏み倒して行方をくらませた模様です」

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