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第2章
何がどうなっている《サイード視点》
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僕の可愛い恋人、キャンディが正門で転んでいた。
そして、その横に婚約者であるヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢の姿を見つけた時、頭に血がのぼった。
「ヴィヴィ!何をしているっ!」
ヴィヴィを怒鳴りつけて、キャンディの隣に立つ。
「平民だからと蔑んで転ばすなど、なんと酷いことをするんだ。かわいそうに。せっかくの制服が汚れて」
キャンディに手を差し出し、立たせた後、ヴィヴィを追及しようと伸ばした手が、強く叩かれた。
驚いて目を見張ると、僕の手を弾いたのは、ラグヌス・フリーレ侯爵令息だった。
騎士団長の次男のラグヌスは、僕の側近候補で、単純だけど良いやつで・・・
「ぶつかって来ておいて、謝りもしないその女性に、文句も言わず手を差し伸べたヴァレリア嬢を冤罪で責めるなんて」
僕を非難する様に睨みつけて来るのは、ユサール・シュルファス公爵令息だ。
宰相の次男のユサールも僕の側近候補で、真面目で大人しいはずの彼は、今は僕を憎々しげに睨んでいる。
「自分より優秀なヴァレリア嬢に嫉妬してるの?見苦しいよ」
そんなことを言うのは、魔術師団長子息のブラン・ビゼット侯爵次男だ。
そして、ヴィヴィを抱きしめながら、僕を射抜くように睨んでいるのは、彼女の1歳年上の兄であるアゼル・ヴァレリア公爵令息。
何故、僕は彼らにこんな視線を向けられなければいけないんだ?
彼らとはそれなりに仲良くやれていたはずだ。それなのに何故だ?
「第2王子殿下。私は誓って彼女を転ばせたり蔑んだりしていませんわ」
背筋を伸ばし、僕を真っ直ぐに見つめるヴィヴィは、そう言うとチラリとキャンディに視線を向けた。
「お怪我がなかったみたいで良かったですわね」
「・・・は、はい」
「皆様。アゼルお兄様。入学式に遅れますわ。参りましょう?」
ヴィヴィがかたわらのアゼルを見上げると、にっこりと微笑む。
その、美しさにアゼルをはじめ全員が頬を赤く染め上げる。
「サイード殿下は、その女性をエスコートされるんだろう?ヴァレリア嬢は我々がエスコートさせていただく」
ユサールがそう言うと、ヴィヴィはお手本のような綺麗なカーテシーをした。
「それでは第2王子殿下、ごきげんよう」
僕の側近候補たちと、その婚約者のご令嬢たちはヴィヴィを取り囲むようにして、正門から立ち去って行く。
僕も、早く行かないと式に間に合わなくなる。それは分かっているのに、そこから動き出すことが出来なかった。
ヴィヴィは・・・
僕の婚約者であるヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢は、最後まで僕のことを第2王子殿下と呼んでいたー
そして、その横に婚約者であるヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢の姿を見つけた時、頭に血がのぼった。
「ヴィヴィ!何をしているっ!」
ヴィヴィを怒鳴りつけて、キャンディの隣に立つ。
「平民だからと蔑んで転ばすなど、なんと酷いことをするんだ。かわいそうに。せっかくの制服が汚れて」
キャンディに手を差し出し、立たせた後、ヴィヴィを追及しようと伸ばした手が、強く叩かれた。
驚いて目を見張ると、僕の手を弾いたのは、ラグヌス・フリーレ侯爵令息だった。
騎士団長の次男のラグヌスは、僕の側近候補で、単純だけど良いやつで・・・
「ぶつかって来ておいて、謝りもしないその女性に、文句も言わず手を差し伸べたヴァレリア嬢を冤罪で責めるなんて」
僕を非難する様に睨みつけて来るのは、ユサール・シュルファス公爵令息だ。
宰相の次男のユサールも僕の側近候補で、真面目で大人しいはずの彼は、今は僕を憎々しげに睨んでいる。
「自分より優秀なヴァレリア嬢に嫉妬してるの?見苦しいよ」
そんなことを言うのは、魔術師団長子息のブラン・ビゼット侯爵次男だ。
そして、ヴィヴィを抱きしめながら、僕を射抜くように睨んでいるのは、彼女の1歳年上の兄であるアゼル・ヴァレリア公爵令息。
何故、僕は彼らにこんな視線を向けられなければいけないんだ?
彼らとはそれなりに仲良くやれていたはずだ。それなのに何故だ?
「第2王子殿下。私は誓って彼女を転ばせたり蔑んだりしていませんわ」
背筋を伸ばし、僕を真っ直ぐに見つめるヴィヴィは、そう言うとチラリとキャンディに視線を向けた。
「お怪我がなかったみたいで良かったですわね」
「・・・は、はい」
「皆様。アゼルお兄様。入学式に遅れますわ。参りましょう?」
ヴィヴィがかたわらのアゼルを見上げると、にっこりと微笑む。
その、美しさにアゼルをはじめ全員が頬を赤く染め上げる。
「サイード殿下は、その女性をエスコートされるんだろう?ヴァレリア嬢は我々がエスコートさせていただく」
ユサールがそう言うと、ヴィヴィはお手本のような綺麗なカーテシーをした。
「それでは第2王子殿下、ごきげんよう」
僕の側近候補たちと、その婚約者のご令嬢たちはヴィヴィを取り囲むようにして、正門から立ち去って行く。
僕も、早く行かないと式に間に合わなくなる。それは分かっているのに、そこから動き出すことが出来なかった。
ヴィヴィは・・・
僕の婚約者であるヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢は、最後まで僕のことを第2王子殿下と呼んでいたー
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