転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな

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ヒロインの攻略対象

聖女と従兄弟と皇太子《レイモンド視点》

 セシルがアリス・ビスクランド嬢を抱きしめて離さないのを見て、ため息が出た。
 昨日のうちにエルンスト・ケルドラード皇太子殿下に話しておいて良かった。

 エルンスト殿下は、どうやら聖女に興味があるらしい。
 ケルドラード皇国には魔法がないから、フォレスト王国の魔法を学びたくて留学して来られたんだ。

 僕はいずれは王籍を抜けるけど、今はまだ王族だから、アリス嬢が闇の聖女だということも聞いている。
 この国でもトップクラスしか知らない情報だ。

 光の聖女でさえ、稀にしか現れないのに、闇の聖女なんて超希少だ。

 当代、その2人が揃っている。
彼女たちがいれば、フォレスト王国は安泰だろうと父上も言っていた。

 その聖女をケルドラード皇国に奪われたくないというのもあるが、アリス嬢に手を出したら、絶対セシルが暴走する。
 間違いなくケルドラード皇国と戦争になる。

 アリス・ビスクランド嬢は、僕の従兄弟の最愛の人だ。
 5歳の時に婚約してから6年。従兄弟の溺愛は加速する一方だ。

 周囲に誰がいても、抱きしめるし、膝の上に座らせるし、甘やかすだけ甘やかしている。

 セシルの父上は僕の父上の弟、つまり王弟だ。なので、国王陛下である父上も王妃の母上もアリス嬢のことは知っていて、自分の娘のように可愛がっている。

 それはサードニクス公爵家でも、ビスクランド伯爵家でも同じようだ。
 アリス嬢の兄であるルイス殿は、僕の姉上である王太女殿下と婚約している。

 つまりは、僕とも義兄妹の関係になるということだ。

 大切な、従兄弟の妻になる義妹に気苦労をかけないためにも、エルンスト殿下には絶対にアリス嬢には近づかないようにお願いしてある。

 セシルがキレると、アリス嬢が迷惑を被るからな。
 セシルの機嫌を回復するために、どれだけ恥ずかしい思いをさせられるか。考えるだけでも不憫だ。
 それでも、きっと彼女はセシルのことが好きだから構わないと言うんだろうけど。

 まぁ、セシルの気持ちも分かる。
僕もリーシャのことが大好きだから。彼女に他の男が話しかけるとムカムカする。

 僕は気が弱くて、ずっと親友のハロルドの言いなりだった。
 ハロルドは、僕と正反対で気が強くて自信家で、彼に頼まれると僕は断ることが出来なかった。

 そんなハロルドが、5歳の時にアリス嬢に一目惚れした。
 即座に公爵に頼んで婚約を申し込んだらしいけど、断られたそうだ。そして、アリス嬢はセシルとの婚約を結んだ。

 ハロルドが文句を言いたいと、セシルが貸し切った薔薇園に入りたいと言い出した時も、僕は断れなかった。

 だけど、アリス嬢を悪しき様に罵るハロルドに、アリス嬢がハッキリと嫌いだと言い放つのを聞いて、僕は思ったんだ。

 ダメなものはダメだと、言わなきゃいけないんだ、と。
 僕は王族なんだから、自分の言動が招く結果に責任を持たなきゃいけないんだ、と。

 ハロルドも公爵に随分と叱られたらしい。もちろん、僕も父上にこっ酷く叱られた。

 婚約者になったリーシャに、あの頃の話をしたら、リーシャにまで叱られてしまった。

 僕を変えてくれたのは、リーシャとそれからアリス嬢だと思う。

 だからー
エルンスト殿下には波風を立てて欲しくないんだ。

 

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