悪役令嬢と転生ヒロイン

みおな

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登場

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 ティラー様がエリィさんの腕を取り、拘束する。

「ちょっ、ちょっと!痛いっ!エルネストっ、痛いってば!」

「え、エルネスト?エリィが痛がって・・・」

「お前は本当に愚かだったのだな」

「え?ち、父上?」

 エリィさんの豹変に戸惑いながらも、ティラー様を制止する声を上げる王子は、国王陛下の登場に目を丸くした。

 国王陛下の後ろから、教皇閣下、宰相、騎士団長、マディソン公爵と続く。

 王族警護の騎士が、ティラー様の手からエリィさんの拘束を受け継いだ。

「父上?何故、ここに・・・」

「お前がそこの聖女を騙る平民に、のぼせ上がっている報告は受けていた。だが、己でその間違いに気付いたならと思っていたのだが、やはり無理だったようだ」

「教皇である私が認定もしていない娘を、何故聖女などと思った?そんな愚か者が私の跡を継ごうなどと思うな」

「父上っ!で、ですが、父上の息子は僕一人で・・・」

 王子と教皇子息は、父親から蔑まれた目で見られ、自分の立場が危ういことに慌て出している。

 一方、騎士団長子息と宰相子息の方は父親に肩を叩かれ、労わられていた。

「エルネスト。ご苦労だった」

「ラティエラの隣に立つに相応しくあるためです」

「・・・お前は、本当にブレんな」

 騎士団長側は、なんだか微笑ましい会話をしている。
 宰相側はというと・・・

「良かったな。縁が出来て」

「・・・」

「そんなに嬉しかったのか。そうか。癒してもらえたのか」

 いや。宰相様?
あなたの息子、一言も発してませんけど?

 え?嬉しかったって、表情カケラも変わってませんけど?

 超無表情を読み解かれても、びっくりなんですけど。
 親だから?親だから分かるの?

 ヴァイオレット様は、父親であるマディソン公爵に抱きしめられている。

 あー。本当にヴァイオレット様は、父親に愛されてるのね。

 良かった。王子との婚約解消も迅速に対応してくれたみたいだし。

「マディソン公爵。色々と手を尽くしていただき、ありがとうございました」

「ウィザード伯爵令嬢。初におめにかかる。いつもヴァイオレットと仲良くして下さり、ありがとう。君がいたから、ヴァイオレットはあのような言いがかりにも耐えることが出来た」

「いえ、私の方こそ、いつもヴァイオレット様にはお世話になっています。あの・・・宰相様って読心術とか使えるんです?ハベリア様の無表情具合を読み解いてますけれど」

 ご挨拶ついでに、こっそりと疑問をぶつけることにした。

 だって他の人・・・国王陛下?いや、聞けないでしょ。
 騎士団長は面識ないし。

 教皇閣下は面識あるけど、今は息子のことで忙しそうだし。
 まさか当人の宰相様に聞くのも。

 私の問いに、マディソン公爵とヴァイオレット様は顔を見合わせ、笑い出した。
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