悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな

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妹が欲しがるもの

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 イザベリーナの我儘は、大体が私の物を欲しがることから始まる。

「お姉様のドレスの方が綺麗」

「お姉様のしているリボンの方が可愛い」

「お姉様のお人形が可愛い」

 ここで前世のラノベなら、両親は可愛い妹ばかりを可愛がって「姉なんだから妹にあげなさい」となるんだけど、うちの両親は常識があった。

「そんなに欲しいのなら、エリザベートに自分のものと交換してもらえるか、お願いしてみなさい」

 私が嫌だと言ったら、イザベリーナは泣き喚いたけど、父も母も全く相手にしなかった。

 それはそうよね。
だって買う前にそれで良いのかって確認した上で買い与えてくれてるんだもの。

 別に私は、イザベリーナを嫌いなわけじゃない。

 前世では一人っ子だったし、前世の記憶があるから妹というより子供?って感じなのよね。

 だから欲しいと言われて、特別思い入れがあるものとかじゃなきゃ交換してあげた。

 でもね・・・
私は綺麗系が似合うけど、イザベリーナは可愛い系が似合うのよね。

 だから結局、交換じゃなくあげることになる。

 お父様もお母様も、無理しなくて良いって言うんだけど、あの泣き喚いてるのを見るのが鬱陶しくて。

 私が転生してくる前もそうだったみたい。

 私の中にはちゃんとエリザベートの記憶があるから。
 イザベリーナのしつこさが嫌だって思ってたみたい。

 でも今は、そのイザベリーナの欲しがりが役に立ちそうって思ってる。

 私の物を欲しがるイザベリーナ。
つまりは婚約者でおるアーロン殿下のことも・・・

「本当にイザベリーナは可愛いな」

「えへへ。アーロン様もかっこいいですぅ」

 庭園でイチャイチャしてる婚約者と妹を見て・・・

 私は思わずニヤリと笑いそうになり、慌てて顔を引き締めた。

 ラッキーとか思ってるのバレたら、面倒なことになっちゃうわ。

 私は二人がいるガゼボには向かわず、屋敷の中へと戻って行く。

 あとはイザベリーナが「お姉様の婚約者をちょうだい」って言ってくれて、あの我儘王子が「僕の婚約者にはお前などよりイザベリーナが相応しい」って言ってくれたら完璧なんだけど。

「あら、エリザベート?殿下が見えてたのではないの?」

 途中でお母様と会う。
私はにこやかに答えた。

「イザベリーナとお茶を楽しんでいるようでしたので、お声はかけずにおきましたの」

 お母様は私が、殿下との婚約を喜んでないことを知っている。

 元々のエリザベートは、見た目だけは王子様然としている殿下のことを、最初こそはキラキラした目で見ていたけど、態度が傲慢で我儘なものだから、すぐに毛嫌いし出したみたい。

 おかげで、私の塩対応も違和感なく受け入れられているんどけどね。


 
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