悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな

文字の大きさ
17 / 37

馬鹿だとは思ったけど

しおりを挟む
「謝罪・・・だと?絵に描いたような傲慢さ。公爵家に生まれただけで、自分自身で何かを成したわけでもない、ただの令嬢のくせに」

 アスランの蔑むような発言に、クリス様から発せられる威圧感が増し、私の腕にしがみつくイザベリーナの震えが増した。

 確かに私は、公爵家に生まれただけで、私自身がこの地位を築いたわけではない。

 でも貴族というものは、それが全てなの。

 もちろん本人が優秀なら、下位貴族でも文官になれたり、騎士団に所属することもできる。

 でもね、少なくともこの国では下位貴族のご令嬢が王族や高位貴族に嫁ぐことは出来ないわ。

 どれだけ本人に王妃になれる能力があったとしてもね。

「アスラン、お前っ!」

「殿下、聞いたでしょう?きっとこんなふうに他のご令嬢をいじめているんですよ。彼女は助けを求めたくても怖くて言えないんです」

「・・・」

 正義感が強いのか、単なるアホなのかしらないけど、アスランはダンブル侯爵家から放逐されたいのかしら?

 いやまぁ、これはどこかに矯正のために放り込んだ方が良いと思うけど。

「いい加減に・・・」

「お姉様を侮辱するのはやめて下さい!」

 アーロン殿下がアスランを止めようとした時、私にしがみついていたイザベリーナが両手でアスランを突き飛ばした。

 もちろん体格差のあるアスランは、驚いてタタラを踏んだくらいだが。

 驚いたような顔で、イザベリーナを凝視している。

 私も驚きからイザベリーナをガン見してしまう。

「イザベリーナ?」

「ゆ、ゆるぜまぜんっ!おっ、おねえざまのごどをぞんなあぐじょみだいにぃ・・・グズッ」

 目からポロポロと涙は溢れてるし、いくら十歳とはいえ貴族令嬢として鼻声で話すのはいかがなものかと思うけど・・・

 私を思って言ってくれたのよね。

 イザベリーナの教育係の皆様、本当にありがとうございます!

 元々アーロン殿下のことは好きでもなんでもなかったし、婚約を円満に白紙撤回できた上に、イザベリーナは人の物を欲しがる我儘娘から本当に可愛い妹になった。

 感謝します!

 今度、何か差し入れでも持って行くべきね!

「イザベリーナ。ほら、泣かないの。可愛い顔が台無しよ」

「だっで、おねえざま・・・」

「アーロン殿下。後をお任せしてもよろしいかしら?イザベリーナを連れて帰りますわ。この状態では授業も受けらないでしょうし」

「あ、ああ」

「クリス様、今日はこれで失礼しますわ。本はお借りしますわね」

 アーロン殿下とクリス様に挨拶をして、イザベリーナを促す。

 クリス様が相当怒っているけど、私にはもうどうにもできないわ。

 せっかく謝罪したらクリス様に取りなそうと思ったのにね。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

キズモノ令嬢絶賛発情中♡~乙女ゲームのモブ、ヒロイン・悪役令嬢を押しのけ主役になりあがる

青の雀
恋愛
侯爵令嬢ミッシェル・アインシュタインには、れっきとした婚約者がいるにもかかわらず、ある日、突然、婚約破棄されてしまう そのショックで、発熱の上、寝込んでしまったのだが、その間に夢の中でこの世界は前世遊んでいた乙女ゲームの世界だときづいてしまう ただ、残念ながら、乙女ゲームのヒロインでもなく、悪役令嬢でもないセリフもなければ、端役でもない記憶の片隅にもとどめ置かれない完全なるモブとして転生したことに気づいてしまう 婚約者だった相手は、ヒロインに恋をし、それも攻略対象者でもないのに、勝手にヒロインに恋をして、そのためにミッシェルが邪魔になり、捨てたのだ 悲しみのあまり、ミッシェルは神に祈る「どうか、神様、モブでも女の幸せを下さい」 ミッシェルのカラダが一瞬、光に包まれ、以来、いつでもどこでも発情しっぱなしになり攻略対象者はミッシェルのフェロモンにイチコロになるという話になる予定 番外編は、前世記憶持ちの悪役令嬢とコラボしました

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ?

無味無臭(不定期更新)
恋愛
無能な悪役令嬢に変わってシナリオ通り進めていたがある日悪役令嬢にハブられたルル。 「いいんですか?その態度」

【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!

As-me.com
恋愛
 完結しました。 説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。  気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。  原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。  えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!  腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!  私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!  眼鏡は顔の一部です! ※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。 基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。 途中まで恋愛タグは迷子です。

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

処理中です...