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え?お知り合いですか?

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 翌日。
お兄様に呼ばれて向かった応接室にいらしたのは・・・

 おかしいわ。
お兄様、私に誰を紹介するおつもりなの?

「ミリム」

「失礼いたしました。アデライン子爵が娘、ミリムと申します」

 お兄様に促されて、慌ててカーテシーをします。

 その方は、整った顔に薄く笑みを浮かべていらっしゃいました。

 青みかかった銀髪に、金色の瞳。
 細いのにしなやかさを感じさせる体躯。

 しがない子爵令嬢の私でも、そのお顔は知っています。

 隣国である帝国の皇太子殿下、セルフィー・ルードリアン様。

「急に来訪してすまない、アデライン嬢。ヒルトにご令嬢の婚約がなくなったと聞いて、少々慌ててしまってね」

 何故、私の婚約がなくなったからって、隣国の皇太子殿下が慌てますの?

 ああ。ヒルトというのは、お兄様のお名前です。
 ヒルト・アデライン。
優秀かつ容姿端麗の五歳年上の兄です。

 お兄様。
帝国の皇太子殿下とお知り合いなんですの?

 お兄様は他国へ留学したことはありませんし、我が国に帝国の皇太子殿下が留学したという話も聞きません。

 でも、お兄様ならあり得ないことではないのかもしれません。

 未来の国王陛下になることがほぼ決定しているお兄様です。
 あの腹黒さを生かして、隣国はもちろん他国とも交流を始めているのかも。

「ははは。確かにヒルトは腹黒だ」

「え?え・・・」

「ミリム。そんなにお仕置きして欲しいのか?」

「・・・ごっ、ごめんなさいぃ!」

 昨日、指摘されたばかりなのに、また口に出していたようです。

 皇太子殿下は笑われ、お兄様は私を見てため息混じりにそう言われます。

 お仕置きは嫌ですわ。
私はされたことありませんけど、ラナリス様があんなに嫌がるんですもの。

 絶対に嫌です。

「ははっ。ヒルトが腹黒なのは事実なんだから、仕方ないさ。可愛い妹にそう言われて辛くても、お仕置きは駄目だろう」

「・・・そんなことを言うセルフィーには、紹介するのをやめることにしよう」  

「それが腹黒だと言うんだよ。まぁ、僕は君のそういうところを気に入ってるんだけどね」

 随分と、仲がよろしいみたいです。
お友達なのかしら?

 子爵家の子息が?
本当にお兄様、いつ知り合われましたの?

「ミリム。知っているだろうが、隣国ルードリアン帝国の皇太子殿下、セルフィー様だ。殿下とは、ラナリス様の婚約者候補選びの際に知り合った」

「え、あ、そうなのですね。ラナリス様の婚約者候補・・・」

「まぁ、姫君がすぐにヒルトに一目惚れしたから、僕らの出番はなくなったけどね」

 まさか他国の、しかも皇太子殿下が候補選びに参加されてるとは思いませんでした。

 だって、どちらもそれぞれの国の後継ではないですか。






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