拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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みんなの予想

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「というわけで、辺境伯様と婚約することになりました」

 今日はラナリス様に、婚約の報告をするために王宮へと来ております。

 国王陛下には、お兄様が報告してくださるそうです。

 本来ならお父様がするのですけど。

 ラナリス様は、とても嬉しそうにお祝いを言ってくださいました。

「おめでとう、ミリム。辺境伯様なら安心ね。アレに、辺境伯様に勝てるところはカケラもないわ」

「お兄様もラナリス様も・・・デルモンド様は、ご自分から婚約破棄をおっしゃったんですもの。私に関わってくることはないと思いますわ。そもそも、私の顔もわかっているのかどうかも疑問ですわ」

 私がそう言うと、ラナリス様は鼻息荒く・・・

 ラナリス様。
 王女殿下がフン!と鼻息荒いのはいかがなものでしょうか?

 お兄様にバレたら叱られますわよ。

「顔が分かってないから、余計よ。ミリムを見たら、求婚してくると思うわ」

「?」

「大丈夫。辺境伯様なら、あんなの簡単に撃退できるから」

「はい?」

 ラナリス様のおっしゃることが分かりませんわ。

 デルモンド様は、ラナリス様を見て婚約破棄と宣言されましたのよ。

 ですから、私を見たからって求婚して来たりするわけないと思うんですが。

「結婚式はいつ?」

「え、ええ。あちらに行ってから、辺境伯様のご都合を伺って決めたいと思っています」 

「そうなのね。いつ行くの?」

「とにかく早く向かえとおっしゃるので、陛下の許可が取れ次第、すぐにでも向かう予定です」

 そうなのです。
 お兄様が、向こうで辺境伯夫人の教育も受けなければいけないのだから、すぐにでも向かうべきだとおっしゃって。

 もう、なんていうか、私が家にいるのが嫌なのかと思うくらい、嫁ぐことを勧めるのです。

「ヒルト様もミリムのことを心配されてるのよ。辺境伯領は王都から少し遠いけど、私も会いに行くわ。結婚は、私より先にミリムがすることになりそうね」

「そうですわね。あちらから色々と決まり次第、お手紙を出しますわ」

 セシリア様にもお話しなくては。
 この後、ジャグリング公爵家に向かう予定です。

 家庭教師を辞めなくてはいけませんもの。

 まぁ優秀なセシリア様ですから、私が教えることなどほとんどなく、話し相手みたいなものでしたけど。

「ミリム、幸せになってね」

「ありがとうございます、ラナリス様。お兄様のこと、よろしくお願いします」

 仲のいいふたりのことですから、心配はいらないでしょうけど。

 子爵令息から、王女殿下の婚約者となり、国王陛下になるお兄様。

 きっと、苦しいこともあると思います。

 お兄様は愚痴や不安を口にしない方ですから、ラナリス様の存在に支えられると思います。




 
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