拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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何を企んでいますの?

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「お兄様、何を企んでいますの?」

 私は、単刀直入にお兄様に尋ねました。

 お兄様がわざわざデルモンド子息様を、私に近付けようとするわけがありません。

 一応これでも、家族に愛されている自覚はありますのよ。

 特にお兄様は、デルモンド子息様との婚約を結んだことをとても怒っていらっしゃったのですもの。

 まぁ、無理はありませんけど。
婚約者らしいことを何ひとつされませんでしたから。

 そのお兄様が、ユリウス様がいらっしゃるとはいえ、私に近付ける?

 あり得ませんわ。

 お兄様は、満面の笑みで答えて下さいました。

「さすがミリム。僕の考えはお見通しかい?ああ。やっぱりユリウスに会わせるんじゃなかったな。こんなに早く奪われるとは思わなかった」

「ヒルト。お前には感謝している。おかげでこんなに愛らしい上に聡明な妻を迎えることが出来た」

「チッ。当然だ。お前に改めて言われなくても・・・」

「お・に・い・さ・ま・!」

 すぐにそうやって話を逸らすんですから!

 確かにお兄様には感謝しておりますけど、それとこれとは話が別ですわ。

 お兄様は、両手を少しあげると「分かったから」と謝られました。

「基本的には、ラナリス様の話された通りだ。デルモンド侯爵は、期限付きで廃籍を言い渡した。この三ヶ月というのは、父上や母上のに対する温情だ。あんなのでも息子だからな。せめて自分の愚かさに気付いて子爵家や男爵家の婚約者を見つけて来たら、親としても少しは安心するだろう?」

「ですが、あの方が子爵家や男爵家に婚約者を求めるでしょうか?」

 確か、子爵家風情がとか言ってましたわよね?婚約破棄宣言の場で。

 階級意識の強い方でしたもの。
それは温情になりますの?

「だからあくまでも、侯爵夫妻に対する温情なのさ。そもそもあの馬鹿にそんな気を遣う必要性はない。デルモンド侯爵家はちゃんとした嫡男もいる。さっさと廃籍させたさ」

「余計に、ご夫婦の負担になりそうですわ。問題を起こすことが明確ではないですか」

 我が家・・・いえ、アデライン子爵家相手ならその問題も内々に潰せるでしょうが、他家となると・・・

「それが目的だ。アイツには二度と、実家に助けを求めることも出来ない状態になってもらう。それからアイツがミリムに言い寄って来る可能性もあるのは事実だ。その時はユリウス、必ず守れよ」

「それは当然だ」

「なら、いい。ラナリス様をミリムだと勘違いしているからな。グラナード辺境伯領までは来ないだろうが、王都でのパーティーで身染める可能性がある」

 あら。そういえば、パーティーは三ヶ月の期限内の予定ですけど、ラナリス様もセシリア様も今回お会いしましたし、パーティーの必要はないのでは?
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