恋とはどんなものかしら

みおな

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治療と宮廷魔術士

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 筆頭宮廷魔術士である、オーウェン侯爵家当主の治療が始まって、5日ー

 私は、ようやくベッドから起き上がれるようになった。

 治療を始めた時は、魔力の流れを正す反動で、身体は悲鳴を上げ、ベッドから起き上がることさえ、出来なかったのだ。

 「ルーベンス嬢、本日の治療はここまでです」

 「・・・は、い。ありがとう、ございます」

 息も絶え絶えながら、オーウェン侯爵に頭を下げる。
 彼は忙しい中わざわざ、私が滞在している、王宮の客間まで訪れてくれているのだ。礼を尽くすのは当然である。

 「・・・息子たちと同い年とは思えませんね」

 オーウェン侯爵の息子、クラウスとクラウド。そういえば、前回の学園生活でも、ほとんど彼らとの接触はなかった。

 「そんなに私、子供っぽいですか?」

 子供っぽいも何も、10歳だからね、子供ですけどね。
 ただ、この世界、15歳でデビュタントを迎えると、成人と見做されるので、前世の記憶の中の世界よりは、早く大人扱いされるようにはなる。

 まぁ、侯爵が言ってるのは、おそらく逆の意味だろう。そりゃ、まぁ、普通の10歳よりは、精神的に大人ですよ?10歳も2回目だし。

 案の定、侯爵は違いますよ、とため息をついた。

 「うちの愚息どもは、宮廷魔術士の家系に生まれておきながら、ろくに魔力の勉強もせず、文句ばかり言っておりましてね。ルーベンス嬢の爪の垢でも飲ませたいものです」

 あらあら。お父様はどこも大変ですね。陛下も、前回はレインハルト様に手を焼いていたし。

 「私も、年相応の子供です。父に心配ばかりかけています。まだ、学園に通うまで3年もあるのですから、ご子息様方も、変わられるのではないでしょうか」

 「そういうところですよ。大人びた考え方をされる。ああ!それもそうですね。ルーベンス嬢はシオン王太子殿下の婚約者。シオン殿下は聡明な方ですから、ふさわしい方をお選びになったということですね」

 こ、ここでシオン様のことを言われると、恥ずかしい。

 顔を赤らめ、俯いた私を見て、侯爵は楽しそうに笑う。

 「うちは、男ばかりですが、娘も欲しいと思ってしまいますね。ああ、でも、よその男に奪われてしまいますが。『魔王』もかわいそうに」

 全然、かわいそうと思ってない顔ですね!しかも、お父様、侯爵にも『魔王』って呼ばれてるんですね!

 「さて、あまり無駄話で長居すると、殿下に睨まれてしまいますね。動けるようになったみたいですから、明日からは魔法陣のある王宮地下にて、治療を行いましょう」

 それでは、また明日、と部屋を出て行く侯爵に、再度、礼を述べて頭を下げる。

 私は、ひとりになった部屋で、ゆっくりと椅子の背もたれに体重をかけた。

 もう5日も、シオン様にも、お父様にもルティシアにも会っていない。

 治療初期は、反動が激しいから、その姿を見せない方がいいと言われていたのだ。
 確かに、昨日までは、ベッドから起き上がることもままならず、心配ばかりかけているお父様たちには、見せたくない姿だった。

 だけどー

 ちょっと寂しい。会いたいな。

 そんなことを考えながら、私は、椅子にもたれたまま、そっと目を閉じた。
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