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15歳

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「お父様とお母様に大切なお話があります」

 お部屋でくつろがれていたお父様たちの元へ向かった。
 本当は、こんな時間にお話したくなかったけれど、事情が事情だ。許してもらおう。

「どうしたの?シエルちゃん」

「大切な話とはなんだい?」

「ええと、突然で申し訳ないのですが・・・」

 さすがに言いにくい。
いや。女は度胸だ。

「結婚します」

「は?」

「え?」

「「結婚?」」

 お父様もお母様も驚きのあまり、ポカン!としている。
 そりゃそうよね。全くそんなそぶりもなかったのに、婚約をすっ飛ばして結婚だものね。

「し、シエル?誰とだい?」

「いきなり結婚って・・・え?まさか、子供が?」

「違います、お母様。まだキスすらしてません」

 妊娠したから結婚するのだと思われたら、さすがに相手がかわいそうだ。
 キスどころか、まだプロポーズもされてないし。

 指輪は作ってたみたいだけど、私相手じゃなかったなんて言われたら、どうしよう。

「相手は、ノワールです」

「の、え?精霊王様かい?」

「どうしてそんな話になったの?」

 そうですよね。
5年間、それなりに交流はしていましたけど、それっぽい雰囲気はありませんでしたものね。

「実は、私がマズルの中にいた魔王を倒したことで、精霊の国に魔族が攻め入っているそうなんです。でも、精霊の国には、精霊の伴侶でないと入れないそうで」

「もしかして、そのために結婚するのかい?」

「当人・・・というか精霊王様は?それに結婚って、どうやるの?」

 私はポケットから漆黒の指輪を取り出した。

「それは?」

「アポステリオリ・・・無魔法の精霊王がどうやらノワールに内緒で、彼のところから取って来たみたいなんです。この指輪に私が血をささげると、2つに分かれてそれぞれの指に宿るらしくて」

「当人は?」

「魔族と戦っているみたいです。もちろんこの指輪を私がしても、ノワールから拒絶されるかもしれません。この指輪からはノワールの力を感じるから、ノワールが作ったと私は思ってますけど、誰のために作ったのかは分かりませんし」

 ノワールとならと思ったけど、ノワールもそうとは限らない。

 それなりに良い関係だとは思うけど、恋愛関係かというと、ちょっと微妙なのよね。
 ノワールは、私を主人として接するから、彼の気持ちはわからない。

 まぁ、魔族を倒すためだと諦めてもらうしかないよね。

 ノワールのことだから、それならそれで義務として大切にしてくれるとは思う。

 その場合は、別居としてここで暮らすのもアリかな。



 

 



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