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第五十話
「国王陛下と王妃殿下は、幽閉後ほとぼりが覚めた頃に毒杯だ。もっとも、本人たちには幽閉後に離宮行きと言ってあるがな」
陛下たちに、処刑という罰は与えられません。
クレメンタイン王国を滅ぼすのなら、そういう対処もできますけど、今後王弟殿下の中継ぎを経て、第一王子殿下に即位していただくのですから、あまり国を荒らしたくはないのです。
でも、毒杯を口に出さなかった気持ちは理解りますわ。
幽閉ですらゴネたのなら、毒杯なんて受け入れるわけがありませんもの。
本当に、あのお二人は国の頂点だという自覚がありませんわよね。
いえ。
権利に関しては貪欲に求められますから、義務だけ放棄されているということかしら。
そんな方が、国の頂点だなんて。
そのような浅はかなお考えの方だから、クシュリナ王国の王太子殿下を婿になどという不思議な発想になったのでしょうね。
「そして、ドロシー王女殿下だが、キラウェイ王国の第二王子の愛妾となる」
「・・・」
キラウェイ王国とは、ブレンディ侯爵子息様が送られる西の収容施設よりもまだ西にある小さな島国です。
我が国ともクシュリナ王国とも、国交はない国ですわ。
何故、国交がないのに知っているかというと・・・
キラウェイ王国は、一夫多妻制の国で、国王陛下には側妃様を含めて十二人、王太子殿下には七人ものお妃様がいることで有名だからです。
そして、第二王子殿下は王子妃様はお一人なのですが、これまでに二十人ほどの愛妾様がいたという噂なのです。
そう。
いたという過去形です。
私は面識もありませんが、噂でお聞きしたところによると、キラウェイ王国の第二王子殿下は嗜虐性の強い方らしく、相手が泣き喚くのを心から喜ぶような方だそうです。
唯一の救いなのは、愛妾として国に招き入れるのは、相手が望んだり今回のように自国に置いておけない人を引き取る形をとっているところでしょうか。
あの国の周囲の海は常に荒れていて、大きな船でないと国から出ることも入ることも叶わないそうですわ。
そんなところへ行かされるくらいなら、修道院の方が何倍もマシだと思うのですが、今まで人に傅かれる暮らしをしてきたドロシー王女殿下ですし、修道院は難しいかもしれませんね。
キラウェイの第二王子殿下に気に入られれば、国から出ることは叶いませんが、それなりの暮らしを送ることはできるでしょう。
別に私は、ブレンディ侯爵家の方々にもご子息にも、王女殿下にも、死んで欲しいと思ってはいませんから、その処罰に不満はありませんわ。
国王陛下と王妃殿下に関しては、権力者が責任を取るのは当然のことですから、仕方ありませんわよね。
陛下たちに、処刑という罰は与えられません。
クレメンタイン王国を滅ぼすのなら、そういう対処もできますけど、今後王弟殿下の中継ぎを経て、第一王子殿下に即位していただくのですから、あまり国を荒らしたくはないのです。
でも、毒杯を口に出さなかった気持ちは理解りますわ。
幽閉ですらゴネたのなら、毒杯なんて受け入れるわけがありませんもの。
本当に、あのお二人は国の頂点だという自覚がありませんわよね。
いえ。
権利に関しては貪欲に求められますから、義務だけ放棄されているということかしら。
そんな方が、国の頂点だなんて。
そのような浅はかなお考えの方だから、クシュリナ王国の王太子殿下を婿になどという不思議な発想になったのでしょうね。
「そして、ドロシー王女殿下だが、キラウェイ王国の第二王子の愛妾となる」
「・・・」
キラウェイ王国とは、ブレンディ侯爵子息様が送られる西の収容施設よりもまだ西にある小さな島国です。
我が国ともクシュリナ王国とも、国交はない国ですわ。
何故、国交がないのに知っているかというと・・・
キラウェイ王国は、一夫多妻制の国で、国王陛下には側妃様を含めて十二人、王太子殿下には七人ものお妃様がいることで有名だからです。
そして、第二王子殿下は王子妃様はお一人なのですが、これまでに二十人ほどの愛妾様がいたという噂なのです。
そう。
いたという過去形です。
私は面識もありませんが、噂でお聞きしたところによると、キラウェイ王国の第二王子殿下は嗜虐性の強い方らしく、相手が泣き喚くのを心から喜ぶような方だそうです。
唯一の救いなのは、愛妾として国に招き入れるのは、相手が望んだり今回のように自国に置いておけない人を引き取る形をとっているところでしょうか。
あの国の周囲の海は常に荒れていて、大きな船でないと国から出ることも入ることも叶わないそうですわ。
そんなところへ行かされるくらいなら、修道院の方が何倍もマシだと思うのですが、今まで人に傅かれる暮らしをしてきたドロシー王女殿下ですし、修道院は難しいかもしれませんね。
キラウェイの第二王子殿下に気に入られれば、国から出ることは叶いませんが、それなりの暮らしを送ることはできるでしょう。
別に私は、ブレンディ侯爵家の方々にもご子息にも、王女殿下にも、死んで欲しいと思ってはいませんから、その処罰に不満はありませんわ。
国王陛下と王妃殿下に関しては、権力者が責任を取るのは当然のことですから、仕方ありませんわよね。
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