68 / 126
第五十四話
「お、お姉様は人の犯した罪についてどう思われますか?」
私にそう尋ねてきたのは、ジェレミーです。
彼はカリスタ伯爵家の養子になりましたから、私の弟ということになります。
新鮮、ですわ。
私は一人娘ですので、お姉様と呼ばれることなど当然ですがありませんでしたから。
ジェレミーは、とても聡い子です。
まぁ、ご両親と兄がああでしたから、大人になるしかなかったのかもしれません。
そんなジェレミーですが、最近は少しお父様やお母様、私に甘えてくれるようになりましたの。
可愛いですわ!
おずおずとお姉様と呼んでくれた時の感動といったら!
「人の罪?どうしたの?急に」
「一昨日、本屋に出かけた時に話しかけられて・・・」
ああ。我が家の護衛から、本屋でリップル子爵令息とテクノ伯爵令息からジェレミーが話しかけられていたと聞いたわ。
離れていたから会話の内容までは分からなかったけど、帰ってからジェレミーの元気がなかったとお母様がおっしゃっていたわ。
どうしたのと尋ねても、何でもないと言うから、強くは聞けなかったとお母様も心配していたわ。
「そうね。罪の内容にもよるけど、自分のしたことの責任はいつか巡り巡って取ることになると思うわ」
「・・・なら僕も、家族として両親や兄の罪の責任を取る日が来るのかな・・・」
「ジェレミー、それは違うわ。ブレンディ侯爵様や侯爵令息様の罪は、ご本人たちが償うの。ジェレミーがするべきなのは、カリスタ伯爵家の一員として、お父様やお母様、使用人や領民と打ち解けることよ。もちろん、私ともお願いね」
テクノ伯爵令息とリップル子爵令息、うちの可愛いジェレミーに何を言ったのかしら?
「お姉様・・・でも、僕だけが罪を償わないでカリスタ伯爵家を乗っ取ろうとしてるって・・・」
「まぁ!我が家が望んだ養子縁組なのに?私たちはジェレミーと家族になれて嬉しいのに、ジェレミーはそれを信じてくれないの?」
「ちがっ、違います!僕もっ、僕もお姉様たちのこと、大好きです!でもっ、でも、僕がブレンディ侯爵家を捨ててカリスタ伯爵家の養子になったのは事実だから・・・」
ごめんなさい、ジェレミー。
ジェレミーが私たちに寄り添おうと、努力してくれていることは分かっているの。
そして、家族を切り捨てたことに責任を感じていることも。
でもね、この先もきっとそんなふうにジェレミーを傷つける発言をする人間はいるわ。
ジェレミーは、カリスタ伯爵家を継ぐの。
罪ではないけど、ジェレミー自身が決めたことだから、ジェレミー自身が向き合わなければいけないのよ。
私にそう尋ねてきたのは、ジェレミーです。
彼はカリスタ伯爵家の養子になりましたから、私の弟ということになります。
新鮮、ですわ。
私は一人娘ですので、お姉様と呼ばれることなど当然ですがありませんでしたから。
ジェレミーは、とても聡い子です。
まぁ、ご両親と兄がああでしたから、大人になるしかなかったのかもしれません。
そんなジェレミーですが、最近は少しお父様やお母様、私に甘えてくれるようになりましたの。
可愛いですわ!
おずおずとお姉様と呼んでくれた時の感動といったら!
「人の罪?どうしたの?急に」
「一昨日、本屋に出かけた時に話しかけられて・・・」
ああ。我が家の護衛から、本屋でリップル子爵令息とテクノ伯爵令息からジェレミーが話しかけられていたと聞いたわ。
離れていたから会話の内容までは分からなかったけど、帰ってからジェレミーの元気がなかったとお母様がおっしゃっていたわ。
どうしたのと尋ねても、何でもないと言うから、強くは聞けなかったとお母様も心配していたわ。
「そうね。罪の内容にもよるけど、自分のしたことの責任はいつか巡り巡って取ることになると思うわ」
「・・・なら僕も、家族として両親や兄の罪の責任を取る日が来るのかな・・・」
「ジェレミー、それは違うわ。ブレンディ侯爵様や侯爵令息様の罪は、ご本人たちが償うの。ジェレミーがするべきなのは、カリスタ伯爵家の一員として、お父様やお母様、使用人や領民と打ち解けることよ。もちろん、私ともお願いね」
テクノ伯爵令息とリップル子爵令息、うちの可愛いジェレミーに何を言ったのかしら?
「お姉様・・・でも、僕だけが罪を償わないでカリスタ伯爵家を乗っ取ろうとしてるって・・・」
「まぁ!我が家が望んだ養子縁組なのに?私たちはジェレミーと家族になれて嬉しいのに、ジェレミーはそれを信じてくれないの?」
「ちがっ、違います!僕もっ、僕もお姉様たちのこと、大好きです!でもっ、でも、僕がブレンディ侯爵家を捨ててカリスタ伯爵家の養子になったのは事実だから・・・」
ごめんなさい、ジェレミー。
ジェレミーが私たちに寄り添おうと、努力してくれていることは分かっているの。
そして、家族を切り捨てたことに責任を感じていることも。
でもね、この先もきっとそんなふうにジェレミーを傷つける発言をする人間はいるわ。
ジェレミーは、カリスタ伯爵家を継ぐの。
罪ではないけど、ジェレミー自身が決めたことだから、ジェレミー自身が向き合わなければいけないのよ。
あなたにおすすめの小説
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。