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第百話〜最終話〜
私とアルバート様は、クレメンタイン王国に向かいました。
名目は、ドロシー王女殿下のお墓参りです。
彼女は一応王女という身分のまま嫁ぎましたから、王家の墓地に埋葬されました。
ああ。キラウェイ王国では、愛妾の方は亡くなると母国に送り返されるのです。
あの国、というか第二王子殿下の愛妾の方はほとんど亡くなられていますので、王家の墓地に埋葬していたらキリがありません。
そこに私とアルバート様が行くと知れば、元ブレンディ侯爵令息様は現れる、そうアルバート様もお父様も考えられたようです。
そして、それは間違いではありませんでした。
「何故っ!何故、ドロシー様が亡くならなければならなかったんだ!」
アルバート様付きの騎士たちに簡単に捕縛された彼は、膝をつかされた状態で私たちに叫びました。
彼は、私たちを害するつもりはなかったのかもしれません。
何故なら、彼の手にはドロシー王女殿下のお墓に供える花が握られていたから。
王家の墓地には、誰でも入れるわけではありません。
ましてや今の彼は平民。
墓地に入るために、私たちの誰かと接触しようと考えていたのかもしれません。
「ご病気よ。そう発表があったでしょう?」
「嘘だ!嘘だ!ドロシー様は俺がお仕えしていた時に風邪ひとつひかれたことはなかった!」
「慣れない国に嫁がれたのだから、気苦労もあったのでしょう」
「そもそも何故、キラウェイなどに嫁がれなければならなかったんだ!」
ドロシー王女殿下が愛妾となられたことは、我が国では公表されていません。
あくまでも側妃という形で、他国には公表されています。
第二王子殿下の愛妾の扱いについても、あくまでも噂ですわ。
あの国は閉鎖された国ですから、真実を知るのはキラウェイの王家の方々と王宮の人間だけです。
亡骸を引き取った家族が声を上げないのは、キラウェイに送るということが死を与えるということと理解した上で送っているから。
ある意味、毒杯を与えているのと同じなのです。
もちろん、よほどの運があれば生き延びれるでしょうが。
「それは王家の決定です」
「エリザベスっ!お前が・・・お前が全て受け入れていたらこんなことにならなかったのにっ!」
今回、元ブレンディ侯爵令息様のお相手は私がしております。
後ろに立つアルバート様から怒気を感じますわ。
もう少し我慢してくださいませね?
「それこそ何故、私が受け入れなければなりませんの?ご自分のなさったことを反省されたから、大人しく刑に従事されていたのではないのですか?」
「・・・そうだ。だけど・・・だけど!ずっと思ってた。エリザベス、何故だ?ずっと何も言わなかったじゃないか!それなのにどうして。もう二度と会うことはないんだろう?なら、教えてくれ」
そうですね。今回のことで彼は二度と外の世界に戻ることは出来ないでしょう。
「あの時もお話しましたけど、私と貴方の婚約は、ブレンディ侯爵家の立て直しのための政略的なものでした。それでも、最初はちゃんと向き合うつもりだったのですよ?それを切り捨てたのは貴方自身です。私が貴方が何をしようと何も言わなかったのは、全く興味がなかったからです。今回、わざわざここに来たのも、貴方への興味ではありません。わたしの大切な身内に危害が及ぶ可能性を潰すためですわ。私は、貴方が真面目に働こうと、脱走しようと、誰かと添い遂げようと、全く興味がございません」
私の拒絶とも言える言葉に、元ブレンディ侯爵令息のイーサン様はポカンと口を開けて呆けた後、力なく地面に座り込みました。
私はそのまま彼に背を向けて、アルバート様に寄り添いました。
ああ。貴方に興味はございませんけど、ひとつだけ感謝していますわ。
あなた方の愚行のおかげで、私は愛する人と共に生きることができるのですから。
***おしまい***
名目は、ドロシー王女殿下のお墓参りです。
彼女は一応王女という身分のまま嫁ぎましたから、王家の墓地に埋葬されました。
ああ。キラウェイ王国では、愛妾の方は亡くなると母国に送り返されるのです。
あの国、というか第二王子殿下の愛妾の方はほとんど亡くなられていますので、王家の墓地に埋葬していたらキリがありません。
そこに私とアルバート様が行くと知れば、元ブレンディ侯爵令息様は現れる、そうアルバート様もお父様も考えられたようです。
そして、それは間違いではありませんでした。
「何故っ!何故、ドロシー様が亡くならなければならなかったんだ!」
アルバート様付きの騎士たちに簡単に捕縛された彼は、膝をつかされた状態で私たちに叫びました。
彼は、私たちを害するつもりはなかったのかもしれません。
何故なら、彼の手にはドロシー王女殿下のお墓に供える花が握られていたから。
王家の墓地には、誰でも入れるわけではありません。
ましてや今の彼は平民。
墓地に入るために、私たちの誰かと接触しようと考えていたのかもしれません。
「ご病気よ。そう発表があったでしょう?」
「嘘だ!嘘だ!ドロシー様は俺がお仕えしていた時に風邪ひとつひかれたことはなかった!」
「慣れない国に嫁がれたのだから、気苦労もあったのでしょう」
「そもそも何故、キラウェイなどに嫁がれなければならなかったんだ!」
ドロシー王女殿下が愛妾となられたことは、我が国では公表されていません。
あくまでも側妃という形で、他国には公表されています。
第二王子殿下の愛妾の扱いについても、あくまでも噂ですわ。
あの国は閉鎖された国ですから、真実を知るのはキラウェイの王家の方々と王宮の人間だけです。
亡骸を引き取った家族が声を上げないのは、キラウェイに送るということが死を与えるということと理解した上で送っているから。
ある意味、毒杯を与えているのと同じなのです。
もちろん、よほどの運があれば生き延びれるでしょうが。
「それは王家の決定です」
「エリザベスっ!お前が・・・お前が全て受け入れていたらこんなことにならなかったのにっ!」
今回、元ブレンディ侯爵令息様のお相手は私がしております。
後ろに立つアルバート様から怒気を感じますわ。
もう少し我慢してくださいませね?
「それこそ何故、私が受け入れなければなりませんの?ご自分のなさったことを反省されたから、大人しく刑に従事されていたのではないのですか?」
「・・・そうだ。だけど・・・だけど!ずっと思ってた。エリザベス、何故だ?ずっと何も言わなかったじゃないか!それなのにどうして。もう二度と会うことはないんだろう?なら、教えてくれ」
そうですね。今回のことで彼は二度と外の世界に戻ることは出来ないでしょう。
「あの時もお話しましたけど、私と貴方の婚約は、ブレンディ侯爵家の立て直しのための政略的なものでした。それでも、最初はちゃんと向き合うつもりだったのですよ?それを切り捨てたのは貴方自身です。私が貴方が何をしようと何も言わなかったのは、全く興味がなかったからです。今回、わざわざここに来たのも、貴方への興味ではありません。わたしの大切な身内に危害が及ぶ可能性を潰すためですわ。私は、貴方が真面目に働こうと、脱走しようと、誰かと添い遂げようと、全く興味がございません」
私の拒絶とも言える言葉に、元ブレンディ侯爵令息のイーサン様はポカンと口を開けて呆けた後、力なく地面に座り込みました。
私はそのまま彼に背を向けて、アルバート様に寄り添いました。
ああ。貴方に興味はございませんけど、ひとつだけ感謝していますわ。
あなた方の愚行のおかげで、私は愛する人と共に生きることができるのですから。
***おしまい***
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