転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、諭される②

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 命すら対価に・・・
そこまで私を思ってくれている人がいるの?

 神様に言われたことが、胸を締め付ける。

『我は・・・手を差し出してやることは出来なかった。神であっても出来ないことは多くある。あの者が、アイルのそばにいたおかげで、助けた命を取りこぼさずに済んだ』

「そんな人が・・・いたのですね。私は、どうして忘れてるのですか?」

『時の巻き戻しの弊害だ。だが、アイルに危害を加えた者とアイル以外は皆覚えている』

 巻き戻しの弊害。
それなら私は、その人のことを思い出すことが出来ないの?

 自分の魔力を引き換えに・・・そして命を対価にしようとまでしてくれる人のことを。

 ふと。あの銀髪に、碧眼の・・・シキ様の顔が脳裏に浮かんだ。

 あの方、家名をイレーヌ様がおっしゃっていたから貴族の方よね。
 王太子殿下や高位貴族の方々とも親そうだったし。

 そんな方が、対価を差し出してまで私を助けてくれるわけはないわよね。

 なのに。
あの方だったらいいのにと思ってしまう自分がいる。

「あの、その方が誰か教えては・・・」

『駄目だな。思い出すヒントはやれるが、思い出すのはアイル自身でなければならない』

「じゃあ、そのヒントを」

 思い出したい。
そんな対価を払ってまで、私を助けようとしてくれた人のことを。

『ふむ。その者は、常にアイル、お前のそばにいた。着替えの手伝いもしていたぞ』

「は?」

 着替えの手伝い?
え?じゃあ、その人は女性よね。
 着替えということは、侍女をしてくれてたということかしら?

『ん?男だぞ?』

「は?」

 男?え?着替えの手伝い?え?
どういうこと?

 目を丸くした私に、神様はクスクスと楽しそうに笑った。

『アイル。お前はそいつのことを好きだったようだぞ。そういう気持ちはな、時間が巻き戻されても消えないものなんだ。心の奥底にずっと残っているものなんだ。心当たりはないのか?』

「好き・・・」

 そう言われて、脳裏に浮かぶのは、ただ1人の人。

 銀髪碧眼で、スラリとした体躯。
低く、心地よい声。
 私より年上で、がよく似合って・・・

 私・・・
彼のことをよく知っているわ。

 転生してすぐは、どうして男の人が侍従なのって思ったけど。
 着替えを手伝う時もほんっと無表情で、私って女として魅力がないのかなって思うくらいだったけど。

 でも、いつだって私のことを守ってくれた。
 私が傷つくと、とても苦しそうに、その綺麗な顔を歪めるの。

 シキ・・・
いつだって貴方は私を、守ってくれているのね。





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