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絶対許さないわ

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 パパのお膝の上でお茶を飲みながら、疑問を口にした。

「パパ。アークライン王国の王太子ってなんて名前?」

 歴史の勉強を始めたことで知ったのだけど、今ってローズリッテが生きてた時代と時間軸なのよ。

 つまりは、アークライン王国にはローズリッテがいない状態?
 それとも私がロゼになったから、ローズリッテが存在してる?

 もしかしたら全く別の人間が、フェルゼン公爵家の娘なのかもしれない。

 私を見捨てた父親にも、冤罪で処刑した婚約者にも、助けようとしなかった学友にも、全く興味はないけど、彼らが何もなかったように生きてるなんて許せないわ。

「ロゼ。どうしてそんなことを聞く?その人間に興味があるのか?」

「興味なんてない。だけど、その王太子の名がセドリックだったなら、死ぬほど嫌いなだけ」

「ロゼ様。現アークライン王国王太子の名はセドリック。現在、十六歳です」

 ノインが教えてくれた内容に、眉をしかめてしまう。

 やっぱりセドリック。
しかも十六歳って私を殺した直後くらいなの?

 聖女と婚約したのかしら?

「婚約者は?」

「トゥーン公爵家のご令嬢が婚約者です。ロゼ様、どうされました?本当に人間の王太子にご興味が?」

 ノインにまで不思議そうにされた。
まぁ、そう考えるわよね。

 実は私、過去にその男に殺されたんです、なんて言ったら、頭がおかしいと思われるかしら。

「ねぇ、パパ。私がもし過去にその人間に殺されたんですって言ったら・・・信じる?」

 五歳で、半分魔族の私が、セドリックに復讐しようとするなら、パパやノインの協力は絶対必要よね。

 だって、アークライン王国って、ここから遠いのよ。

 いくら中身が十六歳でも、外見は五歳だもの。ひとりでお出かけは許可されないわ。

 もう少し大人になってからなんて悠長に言ってたら、セドリックと聖女に子供が出来てしまう。

 さすがに・・・
罪のない子供が悲しむことはしたくない。

 なら、復讐を諦める?

 絶対、嫌よ。
だって冤罪で、反論すら許されずに殺されたのよ?

 何も悪いことなんかしてないわ。
聖女のことを好きになったのなら、普通に婚約解消を求めてくれたら良かったじゃない。

「ロゼ、どういうことだ?」

「私に、ロゼ・リヴァルスとして生まれる前の記憶があると言ったら、パパ信じてくれる?」

「ノイン。あり得るのか?」

「確か、聖力を持つ者が使う魔法に、そういうものがあると聞いたことがあります。禁魔法だったと記憶していますが」

 え?聖力を持つ者って、聖女よね?

 ええ?彼女が私を転生させたというの?
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