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悪いのはパパじゃない

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「それでパパとママは結ばれたんだね」

 レイの言ってた乙女ゲームとママが婚約破棄されたことは関係ないと思うけど、その皇太子と結ばれてたら私は生まれてなかったわけだから、結果的に良かったのかな。

 湖面のママが、綺麗なウエディングドレス姿から、赤ちゃんを抱く姿に変わった。

 あれって、私?

「ロゼが生まれた時、ダリアは本当に喜んでいた。ロゼ、俺の記憶はここまでにしよう。この先のダリアをロゼには見せたくない。ロゼには笑顔のママだけを覚えていて欲しい」

 パパは私を抱き上げると、湖から少し離れる。

 この先のママ・・・
確か、ママは両親のところに行って・・・殺されたんだよね。

「パパ」

「何故あんな酷いことができるんだろうな。俺たち魔族を疎む気持ちは分かる。だが、魔王妃になったとはいえ、ダリアは娘なのに、その娘を殺すなど・・・」

 パパの苦悩に満ちた声が悲しくて、私はパパの首にギュッとしがみついた。

「パパ。分かり合えない人はいるの。ローズリッテの父親もそうだった。娘は家を、自分の生活を繁栄させるための道具でしかない。そんな人間は少なからずいるの。ママが殺されちゃったことは、殺した人が悪いんであって、パパが悪いんじゃない」

 だから、そんなに苦しまないで。

 きっと、ママもそう言うと思う。

「ロゼ・・・ありがとうな。ロゼがいてくれて本当に良かった」

「私もパパの娘に生まれて良かったよ」

「次は、ローズリッテの母親を見るか?それとも、レイの見たいものを見るか?」

 そういえば、レイは何が見たいんだろう。

「レイって、何が見たい?」

「・・・そうですね。正確にいうならば私はレイニーではないので、レイニーの親を見ても何とも思いませんし。サウロン様、前世の礼子の見たいものを見ることは可能ですか?」

「え、う、うーん、どうだろ。体はレイニーちゃんだけど、精神は礼子さん?なんだよね。ごめん、わかんないや。他に見たいものがないなら願ってみたらどうかな?」

 困った様子のサウロン様にそう言われ、レイは少し考え込んだ。

「ロゼ様。どうするか少し考えますので、ロゼ様のご覧になりたいものを先に見ていただいてよろしいですか?」

「え、うん。それはいいけど」

 そっか。レイニーの中には前世?の記憶もあるから、どちらの記憶も見れる可能性があるんだ。

「ローズリッテの母親の姿は初めて見るな」

「ローズリッテが幼い頃に病気で亡くなったの。とても優しい人だったよ」

 ローズリッテにとって、母親の記憶は少ない。

 出産後からほとんど寝たきりだったらしいから。



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