51 / 56
悪いのはパパじゃない
しおりを挟む
「それでパパとママは結ばれたんだね」
レイの言ってた乙女ゲームとママが婚約破棄されたことは関係ないと思うけど、その皇太子と結ばれてたら私は生まれてなかったわけだから、結果的に良かったのかな。
湖面のママが、綺麗なウエディングドレス姿から、赤ちゃんを抱く姿に変わった。
あれって、私?
「ロゼが生まれた時、ダリアは本当に喜んでいた。ロゼ、俺の記憶はここまでにしよう。この先のダリアをロゼには見せたくない。ロゼには笑顔のママだけを覚えていて欲しい」
パパは私を抱き上げると、湖から少し離れる。
この先のママ・・・
確か、ママは両親のところに行って・・・殺されたんだよね。
「パパ」
「何故あんな酷いことができるんだろうな。俺たち魔族を疎む気持ちは分かる。だが、魔王妃になったとはいえ、ダリアは娘なのに、その娘を殺すなど・・・」
パパの苦悩に満ちた声が悲しくて、私はパパの首にギュッとしがみついた。
「パパ。分かり合えない人はいるの。ローズリッテの父親もそうだった。娘は家を、自分の生活を繁栄させるための道具でしかない。そんな人間は少なからずいるの。ママが殺されちゃったことは、殺した人が悪いんであって、パパが悪いんじゃない」
だから、そんなに苦しまないで。
きっと、ママもそう言うと思う。
「ロゼ・・・ありがとうな。ロゼがいてくれて本当に良かった」
「私もパパの娘に生まれて良かったよ」
「次は、ローズリッテの母親を見るか?それとも、レイの見たいものを見るか?」
そういえば、レイは何が見たいんだろう。
「レイって、何が見たい?」
「・・・そうですね。正確にいうならば私はレイニーではないので、レイニーの親を見ても何とも思いませんし。サウロン様、前世の礼子の見たいものを見ることは可能ですか?」
「え、う、うーん、どうだろ。体はレイニーちゃんだけど、精神は礼子さん?なんだよね。ごめん、わかんないや。他に見たいものがないなら願ってみたらどうかな?」
困った様子のサウロン様にそう言われ、レイは少し考え込んだ。
「ロゼ様。どうするか少し考えますので、ロゼ様のご覧になりたいものを先に見ていただいてよろしいですか?」
「え、うん。それはいいけど」
そっか。レイニーの中には前世?の記憶もあるから、どちらの記憶も見れる可能性があるんだ。
「ローズリッテの母親の姿は初めて見るな」
「ローズリッテが幼い頃に病気で亡くなったの。とても優しい人だったよ」
ローズリッテにとって、母親の記憶は少ない。
出産後からほとんど寝たきりだったらしいから。
レイの言ってた乙女ゲームとママが婚約破棄されたことは関係ないと思うけど、その皇太子と結ばれてたら私は生まれてなかったわけだから、結果的に良かったのかな。
湖面のママが、綺麗なウエディングドレス姿から、赤ちゃんを抱く姿に変わった。
あれって、私?
「ロゼが生まれた時、ダリアは本当に喜んでいた。ロゼ、俺の記憶はここまでにしよう。この先のダリアをロゼには見せたくない。ロゼには笑顔のママだけを覚えていて欲しい」
パパは私を抱き上げると、湖から少し離れる。
この先のママ・・・
確か、ママは両親のところに行って・・・殺されたんだよね。
「パパ」
「何故あんな酷いことができるんだろうな。俺たち魔族を疎む気持ちは分かる。だが、魔王妃になったとはいえ、ダリアは娘なのに、その娘を殺すなど・・・」
パパの苦悩に満ちた声が悲しくて、私はパパの首にギュッとしがみついた。
「パパ。分かり合えない人はいるの。ローズリッテの父親もそうだった。娘は家を、自分の生活を繁栄させるための道具でしかない。そんな人間は少なからずいるの。ママが殺されちゃったことは、殺した人が悪いんであって、パパが悪いんじゃない」
だから、そんなに苦しまないで。
きっと、ママもそう言うと思う。
「ロゼ・・・ありがとうな。ロゼがいてくれて本当に良かった」
「私もパパの娘に生まれて良かったよ」
「次は、ローズリッテの母親を見るか?それとも、レイの見たいものを見るか?」
そういえば、レイは何が見たいんだろう。
「レイって、何が見たい?」
「・・・そうですね。正確にいうならば私はレイニーではないので、レイニーの親を見ても何とも思いませんし。サウロン様、前世の礼子の見たいものを見ることは可能ですか?」
「え、う、うーん、どうだろ。体はレイニーちゃんだけど、精神は礼子さん?なんだよね。ごめん、わかんないや。他に見たいものがないなら願ってみたらどうかな?」
困った様子のサウロン様にそう言われ、レイは少し考え込んだ。
「ロゼ様。どうするか少し考えますので、ロゼ様のご覧になりたいものを先に見ていただいてよろしいですか?」
「え、うん。それはいいけど」
そっか。レイニーの中には前世?の記憶もあるから、どちらの記憶も見れる可能性があるんだ。
「ローズリッテの母親の姿は初めて見るな」
「ローズリッテが幼い頃に病気で亡くなったの。とても優しい人だったよ」
ローズリッテにとって、母親の記憶は少ない。
出産後からほとんど寝たきりだったらしいから。
105
あなたにおすすめの小説
〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。
ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」
夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。
元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。
"カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない"
「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」
白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます!
☆恋愛→ファンタジーに変更しました
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる