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守るべき存在《ソル視点》
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リアナ様がいなくなった。
教室に戻った俺は、リアナ様の姿がないことに、愕然とした。周囲に尋ねてみたが、いついなくなったのか分からないと言われた。
待っていてと言ったのに。
うなづいてくれたじゃないか。
急いでシオン様の元へと戻った。リアナ様がいないことを聞いたシオン様は、即座にカイに指示を出し、俺と共に王家へ戻る馬車に乗り込んだ。
「申し訳ありません」
「ソルが謝ることはない。僕が呼んだんだ。前にも言ったけど、ソルが悪いんじゃない。悪いのは、リアナに悪意を向ける人間だ。間違えてはいけないよ」
「でも俺は、護衛で、婚約者で・・・」
「それに、リアナが狙われることは分かっていた。父上から暗部を動かす許可も取ってある」
シオン様は、厳しい表情を崩さないまま、俺の肩を優しく叩いた。
「連れ去ったであろう犯人も目星が付いている。何人か事を起こしそうな奴らには、暗部の諜報をつけてあった。戻る頃には報告が来ているはずだ」
「それは・・・」
「可愛いリアナを囮にするつもりなどなかったよ。だが、リアナが狙われることは想像できていた。いつまでも守りきれるものではない。ソルとの婚姻の日までは警戒を怠るつもりはない」
シオン様の決意は、俺を真っ直ぐに貫いた。
シオン様の妃は、聖女であるフローラ・ダイアンサス様に決定した。
これは、聖女様が拒否しない限り王族側には拒否権はない。
聖女とはそれほどまでに、国に必要とされる存在なのだ。だから、その他の貴族には手を出せるものではない。
なら、自分の地位をもっと上げたいのなら?答えは簡単だ。王太子の妹である姫君を手に入れればいい。
いくら王家の決定事項といえど、手に入れてしまえば、婚約など覆すことができる。
リアナ様の婚姻は、シオン様が聖女様と婚姻された後になる。
つまりは、早くても来年の、シオン様の学園の卒業を待たなくてはならない。
聖女様はシオン様の1学年下だから、もしかしたら聖女様の卒業まで待つかもしれない。
あと1年・・・もしかしたら2年も、リアナ様を危険に晒さなくてはならないのか?
危険に晒されないように、警護すればするほど、相手は巧妙な手を使ってくる。
それに、リアナ様は大人しく守られていてくれない。
いつもいつも、こちらの想像を超える行動をする。
どれだけ、シオン様や聖女様がリアナ様を大切に思っているか、全然わかってない。
どれだけ、俺がリアナ様を大切に思っているか。
リアナ様は、全然わかっていない。
教室に戻った俺は、リアナ様の姿がないことに、愕然とした。周囲に尋ねてみたが、いついなくなったのか分からないと言われた。
待っていてと言ったのに。
うなづいてくれたじゃないか。
急いでシオン様の元へと戻った。リアナ様がいないことを聞いたシオン様は、即座にカイに指示を出し、俺と共に王家へ戻る馬車に乗り込んだ。
「申し訳ありません」
「ソルが謝ることはない。僕が呼んだんだ。前にも言ったけど、ソルが悪いんじゃない。悪いのは、リアナに悪意を向ける人間だ。間違えてはいけないよ」
「でも俺は、護衛で、婚約者で・・・」
「それに、リアナが狙われることは分かっていた。父上から暗部を動かす許可も取ってある」
シオン様は、厳しい表情を崩さないまま、俺の肩を優しく叩いた。
「連れ去ったであろう犯人も目星が付いている。何人か事を起こしそうな奴らには、暗部の諜報をつけてあった。戻る頃には報告が来ているはずだ」
「それは・・・」
「可愛いリアナを囮にするつもりなどなかったよ。だが、リアナが狙われることは想像できていた。いつまでも守りきれるものではない。ソルとの婚姻の日までは警戒を怠るつもりはない」
シオン様の決意は、俺を真っ直ぐに貫いた。
シオン様の妃は、聖女であるフローラ・ダイアンサス様に決定した。
これは、聖女様が拒否しない限り王族側には拒否権はない。
聖女とはそれほどまでに、国に必要とされる存在なのだ。だから、その他の貴族には手を出せるものではない。
なら、自分の地位をもっと上げたいのなら?答えは簡単だ。王太子の妹である姫君を手に入れればいい。
いくら王家の決定事項といえど、手に入れてしまえば、婚約など覆すことができる。
リアナ様の婚姻は、シオン様が聖女様と婚姻された後になる。
つまりは、早くても来年の、シオン様の学園の卒業を待たなくてはならない。
聖女様はシオン様の1学年下だから、もしかしたら聖女様の卒業まで待つかもしれない。
あと1年・・・もしかしたら2年も、リアナ様を危険に晒さなくてはならないのか?
危険に晒されないように、警護すればするほど、相手は巧妙な手を使ってくる。
それに、リアナ様は大人しく守られていてくれない。
いつもいつも、こちらの想像を超える行動をする。
どれだけ、シオン様や聖女様がリアナ様を大切に思っているか、全然わかってない。
どれだけ、俺がリアナ様を大切に思っているか。
リアナ様は、全然わかっていない。
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