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発明品
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ザギは、魔族の中でもちょっと変わり者。
研究とか発明とかが好きで、ほとんど部屋から出てこない。
たまに出て来たかと思えば、妙な発明品の試行をみんなに頼んでいる。
私がパパ魔王様の再婚話を知ったのも、この発明品のおかげで・・・
「離れた場所で話してることを聞くことができるの!何か色々条件がいるらしいけど、すごいよね!」
「ハァ。あの男はなんてものを作ってるんですか。一度きっちりと言い聞かせる必要がありそうですね」
すごい発明だと思うのに、メフィストは不満みたい。
「シアン。もしシアンが、パパに内緒の話をフラウにするとしよう。それをパパがこっそり聞いてたら、シアンは嫌じゃないか?」
「・・・いや、かも」
「そういうことだ。情報収集として役には立つこともあるだろうが、相手と場所を選ぶ必要がある」
そっか。
すごい発明だけど、知られたくないことも知られちゃうんだ。
「ごめんなさい」
「姫様が謝る必要はありませんよ。そもそも、ザギが姫様に試行を頼んだのでしょう?全く」
「そうだけど、パ・・・お父様のお話を聞こうとしたのは私だから」
ザギに、パパたちが私に内緒話してるよって言われて、それでどうしても聞きたくなって・・・
でも、聞かなきゃいいことだってあるんだ。
「ごめんなさい」
「シアン。パパは怒ってるんじゃないから・・・」
「うん。でも、ごめんなさい」
ちょっと顔が情けない表情になっちゃうけど、ちゃんと謝って部屋から出て行こうとする。
だけど、すぐにパパに捕まってしまった。
「シアン、そんな表情をするな」
「・・・」
「あー!陛下が姫様泣かしてる!」
いきなり、バーン!と扉が開いて、アマリアが執務室に入って来た。
後ろには、ラグムやナーガ、ザギの姿もある。
「貴方たちは!ちゃんとノックをしなさい!姫様が真似をしても叱れないでしょう」
「あー。メフィスト、うるさい!そんなことより、ザギから聞いたよ。陛下、再婚の話してたって?」
「わたくし、ちょっと陛下を見損ないましたわ」
「悪いが、俺もだ」
アマリアにナーガ、ラグムにまで否定的な視線を向けられて、パパは困ったような表情になった。
そうだよね。
パパのお嫁さんのことなのに、みんなにそんなふうに言われたら悲しいよね。
「お前らが、そこまで言うとはな」
「陛下。俺たちは、陛下が再婚することをどうこう言っているわけじゃない。むしろひとりでいるより、魔王妃様がいれば陛下の負担も減るだろうから、反対するつもりはない。だが、姫様の気持ちは?魔王妃様は、陛下の妻であると同時に姫様にとって母親になることを分からない陛下でもないだろうに」
ラグムの言葉に、パパはため息を吐いた。
研究とか発明とかが好きで、ほとんど部屋から出てこない。
たまに出て来たかと思えば、妙な発明品の試行をみんなに頼んでいる。
私がパパ魔王様の再婚話を知ったのも、この発明品のおかげで・・・
「離れた場所で話してることを聞くことができるの!何か色々条件がいるらしいけど、すごいよね!」
「ハァ。あの男はなんてものを作ってるんですか。一度きっちりと言い聞かせる必要がありそうですね」
すごい発明だと思うのに、メフィストは不満みたい。
「シアン。もしシアンが、パパに内緒の話をフラウにするとしよう。それをパパがこっそり聞いてたら、シアンは嫌じゃないか?」
「・・・いや、かも」
「そういうことだ。情報収集として役には立つこともあるだろうが、相手と場所を選ぶ必要がある」
そっか。
すごい発明だけど、知られたくないことも知られちゃうんだ。
「ごめんなさい」
「姫様が謝る必要はありませんよ。そもそも、ザギが姫様に試行を頼んだのでしょう?全く」
「そうだけど、パ・・・お父様のお話を聞こうとしたのは私だから」
ザギに、パパたちが私に内緒話してるよって言われて、それでどうしても聞きたくなって・・・
でも、聞かなきゃいいことだってあるんだ。
「ごめんなさい」
「シアン。パパは怒ってるんじゃないから・・・」
「うん。でも、ごめんなさい」
ちょっと顔が情けない表情になっちゃうけど、ちゃんと謝って部屋から出て行こうとする。
だけど、すぐにパパに捕まってしまった。
「シアン、そんな表情をするな」
「・・・」
「あー!陛下が姫様泣かしてる!」
いきなり、バーン!と扉が開いて、アマリアが執務室に入って来た。
後ろには、ラグムやナーガ、ザギの姿もある。
「貴方たちは!ちゃんとノックをしなさい!姫様が真似をしても叱れないでしょう」
「あー。メフィスト、うるさい!そんなことより、ザギから聞いたよ。陛下、再婚の話してたって?」
「わたくし、ちょっと陛下を見損ないましたわ」
「悪いが、俺もだ」
アマリアにナーガ、ラグムにまで否定的な視線を向けられて、パパは困ったような表情になった。
そうだよね。
パパのお嫁さんのことなのに、みんなにそんなふうに言われたら悲しいよね。
「お前らが、そこまで言うとはな」
「陛下。俺たちは、陛下が再婚することをどうこう言っているわけじゃない。むしろひとりでいるより、魔王妃様がいれば陛下の負担も減るだろうから、反対するつもりはない。だが、姫様の気持ちは?魔王妃様は、陛下の妻であると同時に姫様にとって母親になることを分からない陛下でもないだろうに」
ラグムの言葉に、パパはため息を吐いた。
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