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私のお金じゃなかった!

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『殿下の我儘にも困ったものだ。あの小さなご令嬢、姫様とか呼ばれてたけど、他国の姫君だったら・・・マズいことにならないと良いが・・・」

 ブツブツと護衛さんが呟いているのが聞こえた。

 なんか、かわいそう。

 私も、みんなをこんなふうに困らせないようにしなきゃ。

 うん。人のふり見て我がふり直せってやつよね。

 しかし、あの子供があの王太子の子供って言われて・・・ちょっと納得できるところがあるかも。

 あの王太子も、身勝手だったわ。

 アゼリアは平民で、準男爵って爵位を与えられたのも、魔力量の多いアゼリアを王太子の婚約者にするためだった。

 それも、立太子の儀のときに、アゼリアを盾にするためだったんだと思う。

 それでもアゼリアには、選択肢がなかった。

 育った孤児院のためにも、盾でもなんでもしようって思った。

 準男爵と王族なんて釣り合うわけがないんだから、立太子の儀が終わった時点で普通に解消してくれたら良かったのに。

 なんで、殺されなきゃならなかったんだろう。

 アゼリアが望んだ婚約じゃなかったのに。

 従うしかなかっただけなのに。

「シアン様?どうかされましたか?」

「ううん、なんでもない。護衛さん、大変だなって思っただけ」

 メフィストの問いに首を横に振る。

 パパ魔王様が私の頭を撫でる。

「シアン、ママの国はどうだった?」

「えーと、あの男の子以外はみんな親切だったよ。あとね、お買い物した」

 ザギが、収納袋から次々に買った品を出してくれる。

「すごい量だな。ザギ、あとで請求書をメフィストに回せ」

「イエッサー」

「かしこまりました、と言いなさい。全く、貴方は」

 メフィストがザギにお説教している間に、お土産を広げる。

「このハンカチはフラウでしょ。このスカーフはナーガ。こっちの髪飾りはアマリアで、ラグムには剣につける飾り紐。ザギには綺麗な石のピアス。メフィストには、新しい片眼鏡。パパには綺麗な石の指輪。それから・・・」

 最初は、ハンカチとか飾り紐とか、そんなにお値段の張らないものだったんだけど、あの子供と会う前に入った宝飾店が失敗だった。

 パパ魔王様やメフィストへのお土産に困った私に、ザギがオススメした宝飾店。

 確かに、ピン!と来るものを見つけることが出来たけど。

 よく考えたら、シアンはお金を持ってないのよ。

 まだお小遣いももらってないし。

 こ、これは、パパ魔王様の、というか魔国のお金を無駄遣いしてしまったということでは!

「ごめんなさい。いっぱいお買い物しちゃった・・・」
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