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18.私の出演料は高くつきましてよ
「酷いっ!突き飛ばすなんて」
キティの涙交じりの声が、会場に響く。
(あらあら。こんな場所で涙を見せるなんて、コンクパール男爵家では淑女教育はなさってないのかしら?それに、本当に突き飛ばされたのなら、周囲の方々がそんな目で貴女を見ていないと思うわ)
離れた場所のために、ティファからはキティが本当に突き飛ばされたのかどうかまでは分からなかった。
こういう場合、公爵令嬢であり王族の婚約者である自分が、場を治めに行く必要がある。
ティファは展開を予想してため息を吐いた。
大体ああいうタイプは『誰か』を悪人にして、自分を弱者として周囲に見せるのが上手い。
そして、この場合はユリシスの婚約者であるティファを悪人にする可能性が高い。
別にユリシスに嫌われようがかまわないし、友人や家族は信じてくれるだろうから、問題ないといえばないのだけど・・・
(これはチャンスなのでは?せっかくの友人たちに疑われたり、家族に迷惑がかかるのは避けたいけど、ユリシス殿下と距離を置けるかもしれないわ)
「止めに行って来ますわ」
「ティファ様!さっきから彼女、チラチラと周囲を見ていますわ。もしかしたら、ティファ様を探しているのかもしれません。ティファ様を悪く言うつもりかもしれませんわ」
ティファが騒ぎの方へ行こうとすると、シャリーが止める。
彼女は商会の経営に関わっているせいか、人の視線の動きや感情の動きに敏感だ。
そのシャリーの目の付け所は正しい。
「皆様が信じて下さるのなら、あの方々に疑われてもかまいませんわ」
「殿下と距離を置くきっかけになさるおつもりですのね。ですが、そのためにティファ様が誤解されたり責められたりするのは許容できませんわ。ここは、私が止めに参ります。相手の子爵令嬢は我が家の寄子ですからちょうどいいですわ」
ティファの考えをすぐに見抜き、レディーノが自分が行くと言い出した。
確かに関係のないティファが行くよりも、寄子の子爵家が当事者なら、レディーノが行くのが自然だろう。
しかしレディーノが行ったのでは、ティファの目的が達せられない。
「理解っております。ティファ様は、私が止めに入って少ししてからお二人と一緒に私を心配して来てくださいませ。その際、あの男爵令嬢が何を言っても、私が対応いたします。あんな三文芝居にティファ様が出演なさる必要はありませんわ」
「レディーノ様・・・分かりましたわ。お任せします」
ティファとしても、ユリシスと距離を取れるかどうかはっきりしないことのために、わざわざ立場を悪くするつもりはない。
(私の出演料は高くつきましてよ)
キティの涙交じりの声が、会場に響く。
(あらあら。こんな場所で涙を見せるなんて、コンクパール男爵家では淑女教育はなさってないのかしら?それに、本当に突き飛ばされたのなら、周囲の方々がそんな目で貴女を見ていないと思うわ)
離れた場所のために、ティファからはキティが本当に突き飛ばされたのかどうかまでは分からなかった。
こういう場合、公爵令嬢であり王族の婚約者である自分が、場を治めに行く必要がある。
ティファは展開を予想してため息を吐いた。
大体ああいうタイプは『誰か』を悪人にして、自分を弱者として周囲に見せるのが上手い。
そして、この場合はユリシスの婚約者であるティファを悪人にする可能性が高い。
別にユリシスに嫌われようがかまわないし、友人や家族は信じてくれるだろうから、問題ないといえばないのだけど・・・
(これはチャンスなのでは?せっかくの友人たちに疑われたり、家族に迷惑がかかるのは避けたいけど、ユリシス殿下と距離を置けるかもしれないわ)
「止めに行って来ますわ」
「ティファ様!さっきから彼女、チラチラと周囲を見ていますわ。もしかしたら、ティファ様を探しているのかもしれません。ティファ様を悪く言うつもりかもしれませんわ」
ティファが騒ぎの方へ行こうとすると、シャリーが止める。
彼女は商会の経営に関わっているせいか、人の視線の動きや感情の動きに敏感だ。
そのシャリーの目の付け所は正しい。
「皆様が信じて下さるのなら、あの方々に疑われてもかまいませんわ」
「殿下と距離を置くきっかけになさるおつもりですのね。ですが、そのためにティファ様が誤解されたり責められたりするのは許容できませんわ。ここは、私が止めに参ります。相手の子爵令嬢は我が家の寄子ですからちょうどいいですわ」
ティファの考えをすぐに見抜き、レディーノが自分が行くと言い出した。
確かに関係のないティファが行くよりも、寄子の子爵家が当事者なら、レディーノが行くのが自然だろう。
しかしレディーノが行ったのでは、ティファの目的が達せられない。
「理解っております。ティファ様は、私が止めに入って少ししてからお二人と一緒に私を心配して来てくださいませ。その際、あの男爵令嬢が何を言っても、私が対応いたします。あんな三文芝居にティファ様が出演なさる必要はありませんわ」
「レディーノ様・・・分かりましたわ。お任せします」
ティファとしても、ユリシスと距離を取れるかどうかはっきりしないことのために、わざわざ立場を悪くするつもりはない。
(私の出演料は高くつきましてよ)
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