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みおな

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47.やり直しは効かん

「は?南の商会ですか?」

 学園が再び始まっての視察に、ユリシスは首を傾げた。

 休暇中の公務はあったが、学園がある間は基本的には日帰りの公務しかなく、片道三日もかかるような視察を入れられることがなかったからだ。

 国王は頷いた。

「ああ。実は、カイルとビオラの婚約を決めることにした。今まで、中々本人がその気にならず先延ばしにしていたが、来年はカイルも学園卒業だ。ようやく頷いたのでな」

「カイルとビオラが・・・」

「もちろんというのもアレだが、政略結婚だ。カイルの相手は、ベスビアナイト公爵令嬢。ビオラの相手はサーペンティン伯爵家の令息だ。それで、南の商会の視察を兼ねて二人への祝いの品を見繕って来て欲しい」

 なるほど、とユリシスは納得した。

 側妃マーガレットの子である二人は、ずっと正妃システィーナの子であるユリシスが立太子するのが当たり前だと、いつも数歩引いた態度でユリシスに接していた。

 ユリシスと同い年のカイルに婚約者が決まっていなかったのも、カイルを王太子にと担ぎ出す人間が現れないようにと、側妃側が待ったをかけていたからだ。

 だが、学園を卒業すれば成人と認められるため、ほとんどの令嬢が婚約している。

 ベスビアナイト公爵令嬢は嫡女で、公爵家を継ぐことが決まっている。

 サーペンティン伯爵家には、ティファの友人である姉がいるが、令息は嫡男だったはずだ。

 王女が降嫁するには伯爵家は身分が低いが、あの家は商会としての力を持っている。

 降嫁先として、最善だったのだろう。

 二人の婚約祝いを見繕うことに、何の不満もない。

 普通の兄弟妹の関係ではなかったが、ユリシスにとっては二人は大切な弟妹だ。

「分かりました。行って参ります」

「ああ。戻ったら、正式発表を行う。ユリシス、頼んだぞ」

「はい」

 その時、ユリシスは父である国王の、その視線に込められた思いに気付かなかった。

 戻った時、ユリシスは自分が何を失ったのかを知ることになる。

 すでに、国王とアメトリン公爵との間で、ユリシスとティファの婚約は解消されている。

 ユリシスは婚約者を失ったことになり、これから新たな婚約者を選び直さなければならない。

 だが、ユリシスの学園での言動を、同年代のご令嬢方は知っている。

 完璧と言われているアメトリン公爵令嬢でさえ、あのようにを取られたのだ。

 いくら政略といえど、あのような真似をする婚約者などごめんである。

 高位貴族の令嬢たちは、ユリシスとの婚約を望まない。

 望むのは、王族の支度金を狙う下位貴族家くらいだ。

(お前の迂闊さを咎めなかった我々の罪でもあるが、やり直しは効かん)
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