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54.この人のこと信じられるんだわ
ユリシスが私室に軟禁されていた頃、ユークレース王国では、ティファの婚礼衣装が仕上がり、各国に招待状が送られ始めた。
ユークレース王国内の貴族には、婚約が発表され、まずは国内でのお披露目が開かれることになった。
「受け入れてもらえるでしょうか」
ティファは、ポツリと呟いた。
他国の令嬢だけなら、問題はない。
だがティファは、十一年も第一王子の婚約者だったわけだし、ティファ自身に問題があったわけではないが、王族との婚約を解消した令嬢だ。
もしかしたら・・・いや、もしかしなくてもルウには相応しくないと貴族たちから睨まれるかもしれない。
ルウやルウの家族は受け入れてくれたが、全ての人間が好意的でないことくらい、ティファだって理解している。
ルウの、王太子の婚約者の座を狙っている貴族家は多いだろう。
それを、突然やって来た他国の令嬢が攫うわけである。
睨まれても仕方ない。
「当たり前だ。俺は令嬢たちに好かれてないからな。自分が王太子妃に選ばれずに済むと安心するんじゃないか」
「そんなわけないですわ」
「ははっ。母上に聞けば分かるさ。俺ははっきり言って、あまり好意的な態度を取ってなかったからなぁ。好かれてないことは、自覚してるんだ」
ルウはそう言うが、ティファには信じられなかった。
表面に出していないだけで、心からルウを嫌ったりしないだろう。
だって、ルウは優しい。
ユリシスのような分かりやすい、誰にでも優しいわけではないが、ちゃんとティファのことを気遣ってくれる。
きっと、ユリシスのように他の令嬢の好意を受け取っておきながら「ティファは気にしすぎだよ」なんて言ったりしない。
「ルウ様の婚約者として、相応しくないと言われたくないですわ」
「第三者の言葉なんて気にしなくていいけど、ティファが気になるなら、実質的に排除しようか?」
「・・・ルウ様?ちょっと不穏ですわ。もし本当にルウ様が令嬢たちに好かれていないとしたら、そういうところですわよ」
不穏な言葉を黒い笑顔で言うルウに、ティファはやれやれとため息を吐く。
ティファだって公爵令嬢だ。
母ヴィオラの黒い笑顔を、間近で見て来た。
だから今さらその笑顔に引いたりしない。
あの笑顔は、自分の大切な者とそれ以外をはっきり区別している笑顔だ。
「何があっても、必ず俺が守る」
「・・・それは信じていますわ」
十一年隣にいたユリシスよりも、今は会ったばかりのルウのことが信じられる。
(私、この人のこと、信じられるんだわ)
ユークレース王国内の貴族には、婚約が発表され、まずは国内でのお披露目が開かれることになった。
「受け入れてもらえるでしょうか」
ティファは、ポツリと呟いた。
他国の令嬢だけなら、問題はない。
だがティファは、十一年も第一王子の婚約者だったわけだし、ティファ自身に問題があったわけではないが、王族との婚約を解消した令嬢だ。
もしかしたら・・・いや、もしかしなくてもルウには相応しくないと貴族たちから睨まれるかもしれない。
ルウやルウの家族は受け入れてくれたが、全ての人間が好意的でないことくらい、ティファだって理解している。
ルウの、王太子の婚約者の座を狙っている貴族家は多いだろう。
それを、突然やって来た他国の令嬢が攫うわけである。
睨まれても仕方ない。
「当たり前だ。俺は令嬢たちに好かれてないからな。自分が王太子妃に選ばれずに済むと安心するんじゃないか」
「そんなわけないですわ」
「ははっ。母上に聞けば分かるさ。俺ははっきり言って、あまり好意的な態度を取ってなかったからなぁ。好かれてないことは、自覚してるんだ」
ルウはそう言うが、ティファには信じられなかった。
表面に出していないだけで、心からルウを嫌ったりしないだろう。
だって、ルウは優しい。
ユリシスのような分かりやすい、誰にでも優しいわけではないが、ちゃんとティファのことを気遣ってくれる。
きっと、ユリシスのように他の令嬢の好意を受け取っておきながら「ティファは気にしすぎだよ」なんて言ったりしない。
「ルウ様の婚約者として、相応しくないと言われたくないですわ」
「第三者の言葉なんて気にしなくていいけど、ティファが気になるなら、実質的に排除しようか?」
「・・・ルウ様?ちょっと不穏ですわ。もし本当にルウ様が令嬢たちに好かれていないとしたら、そういうところですわよ」
不穏な言葉を黒い笑顔で言うルウに、ティファはやれやれとため息を吐く。
ティファだって公爵令嬢だ。
母ヴィオラの黒い笑顔を、間近で見て来た。
だから今さらその笑顔に引いたりしない。
あの笑顔は、自分の大切な者とそれ以外をはっきり区別している笑顔だ。
「何があっても、必ず俺が守る」
「・・・それは信じていますわ」
十一年隣にいたユリシスよりも、今は会ったばかりのルウのことが信じられる。
(私、この人のこと、信じられるんだわ)
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