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61.贅沢してるんだろ
「そうか。いいか?そのままうまく王子を引っ張り出せ」
パイライト王国王宮にて。
くすんだ金髪に濃褐色の瞳をした男が、国王陛下の前で膝を付いていた。
オルテガ・エピドート。
パイライト王国のエピドート伯爵家の次男である。
十歳の時にエピドート伯爵家の養子となったオルテガは、生まれてすぐに孤児院に捨てられていた。
オルテガは後で知ったのだが、その孤児院は王家が『使い捨ての駒』にするために経営している孤児院で、孤児たちは五歳になった頃からあらゆる訓練を施されていた。
オルテガのように見目が良い者や口達者な者は、詐欺や間諜の役目を。
運動神経の良い者は、暗殺の役目を。
そして、訓練を終えた者から貴族家の養子となり、隠れ蓑として貴族となるのだ。
役目を全うすれば生きていられるが、失敗すれば死が待っている。
そんな生活の中で、オルテガは生まれながらの貴族として脳天気に生きているエピドート伯爵家の嫡男のことが大嫌いだった。
何も知らず王家の指示で養子を迎えたエピドート伯爵家。
父も母も兄も、孤児だからといって決してオルテガを見下したりしない。
だがすでに心が荒んでいたオルテガは、素直に彼らの愛情を受け入れることが出来なかった。
十歳からの六年間、人を騙し、秘密を暴き、人の暗い部分ばかりを見続けた。
暗殺を請け負う同じ孤児院出身の仲間は何人も死んで行く。
十六歳になったオルテガに、新たな指令が来た。
オブシディアン王国のズルタナイト子爵家令嬢と婚約し、彼女を意のままに操れるようになれ。
オルテガに否という選択肢はない。
拒めば待っているのは、死だけだ。
パイライト王国王家にとって、オルテガたち孤児などいくらでも代えのきく道具でしかない。
自分の行いで、誰が傷付こうと、誰が泣くことになろうと、誰がそれこそ死のうと、オルテガはどうでも良かった。
今回の指令は、子爵令嬢の婚約者になり、彼女を自分に傾倒させること。
その先の指令待ちの状態だったのだが、先日子爵令嬢を使ってオブシディアン王国の第一王子をユークレース王国へ向かわせろという新たな指令が下った。
パイライト王国の国王が何を考えて何を目的にしているのか、オルテガには分からない。
そんなことは、どうでもいいのだ。
オルテガは、ただ指令通りに命令をこなせばいい。
命令に従わなかったり失敗すれば、死が訪れる。
(俺だって、少しくらい良い目をみてもいいじゃないか。王族なんて好き勝手に贅沢してるんだろ)
パイライト王国王宮にて。
くすんだ金髪に濃褐色の瞳をした男が、国王陛下の前で膝を付いていた。
オルテガ・エピドート。
パイライト王国のエピドート伯爵家の次男である。
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オルテガは後で知ったのだが、その孤児院は王家が『使い捨ての駒』にするために経営している孤児院で、孤児たちは五歳になった頃からあらゆる訓練を施されていた。
オルテガのように見目が良い者や口達者な者は、詐欺や間諜の役目を。
運動神経の良い者は、暗殺の役目を。
そして、訓練を終えた者から貴族家の養子となり、隠れ蓑として貴族となるのだ。
役目を全うすれば生きていられるが、失敗すれば死が待っている。
そんな生活の中で、オルテガは生まれながらの貴族として脳天気に生きているエピドート伯爵家の嫡男のことが大嫌いだった。
何も知らず王家の指示で養子を迎えたエピドート伯爵家。
父も母も兄も、孤児だからといって決してオルテガを見下したりしない。
だがすでに心が荒んでいたオルテガは、素直に彼らの愛情を受け入れることが出来なかった。
十歳からの六年間、人を騙し、秘密を暴き、人の暗い部分ばかりを見続けた。
暗殺を請け負う同じ孤児院出身の仲間は何人も死んで行く。
十六歳になったオルテガに、新たな指令が来た。
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その先の指令待ちの状態だったのだが、先日子爵令嬢を使ってオブシディアン王国の第一王子をユークレース王国へ向かわせろという新たな指令が下った。
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そんなことは、どうでもいいのだ。
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