どうぞお好きになさってください

みおな

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94.なのにどうして

 *不快な表現があります。読み飛ばしても問題はありません*


 脅しに屈した侍従は、闇商人から毒薬を入手して来た。

 そして、それをフールに渡した後は何が起こるのか不安と罪悪感に苛まれていた。

 だが一ヶ月たっても何も起こらず、罪悪感が薄れ始めた半年後。

 侍従は胸の奥が焼けるような、激しい痛みにその場でのたうち回った。

 恋人と共に家で過ごしていた。

 痛みを感じる直前に口にしたのは、恋人が淹れてくれた紅茶だった。

 痛みに苦しむ恋人の姿に、慌てた彼女が医者を呼ぼうと部屋を出ようとすると、扉からフールが現れた。

 苦しむ侍従を見てニヤニヤと笑ったフールは、医者を呼びに行くと言う侍従の恋人をその場に組み敷いた。

「恋人殺しか。人として最低だな。王族の俺の侍従を殺すとか極刑だ。人でないのなら、処刑の前に味わっておくか」

 ハンカチを彼女の口に押し込むと、そのまま服を剥ぎ取り自分の欲を満たすために蹂躙した。

 侍従はもがき苦しみながら、フールが自分の恋人をまるで使い捨てのおもちゃのように扱うのを見ているだけしか出来なかった。

 そしてフールは自分の欲を満たすと、侍従が飲んでいた紅茶のカップを手に取り、呆然としている侍従の恋人の口に流し込んだ。

 侍従と同じように苦しみ出す彼女と、目から光が消えかけている侍従を椅子に腰掛けたまま眺める。

 そう。フールは侍従の恋人に「この紅茶が飲みたいと言っていたから、淹れてやるといい。普段の礼だから内緒にしてくれよ」と紅茶を渡していた。

 茶葉には、手に入れた無味無臭の毒をたっぷりと含ませて。

 侍従とその恋人が息絶えるのを確認したフールは、安心して王宮に戻った。

 王宮は混乱の最中だった。

 それもそうだ。国王と王妃がもがき苦しみ、医師が手の施す間もなく息を引き取ったのだから。

 フールは侍従の家に行く前に、両親の部屋の水差しに毒を仕込んでいた。

 半年もの時間をかけて、両親や両親付きの侍女たちの動きを把握し、チャンスを伺っていたのだ。

 後で毒は摘出されるかもしれないが、実際に毒を手に入れたのは侍従である。

 そしてその侍従は恋人と共に死んでいる。

 国王と王妃が死ぬ場面を見れないのは残念だったが、国王の地位につくまでは周囲に疑われるわけにはいかない。

 そうして、フールは国王代理となった。

 国王と王妃の逝去のため、一年待って元々の婚約者と結婚し、正式に国王となった。

 婚約者のことは好きではなかったが、王妃として公務をさせるために我慢した。

 宰相と王妃に公務をさせながら、フールは自分の欲を叶える存在を手に入れ始めた。

 そう。オルテガたち、孤児である。

 自分の邪魔になる者を、孤児たちを使い情報を集めて暗殺も行わせた。

 全てがフールの望むように進んでいたはずだった。

「なのにどうして!」
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