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悪役令嬢は告白されるそうです
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部屋にこもって5日ー
私は、椅子に座ってぼんやりと窓の外を眺めていた。
食事は侍女に運んで貰った。着替えはドレスじゃなければ、自分で着ることもできる。
お父様もお母様も、お兄様もお姉様も、みんな心配して声をかけてくれた。私は、また家族に酷いことをしている。頭では分かっているのに、どうしてもみんなの前に出れない。
泣き叫んでしまいそうで。私が泣いたら、シキが責められてしまうかもしれない。
だけど、普通にみんなの前で笑うことができそうにない。
私は、シキと婚約するべきじゃなかったのだ。私と婚約したせいで、シキは死んでしまうところだった。
ナルシス王子と婚約するくらいなら、自殺するとでも言えば、お父様もお兄様もきっと婚約を回避しようとしてくれたはず。
シキは、もう起き上がれるようになったかしら・・・
食事はちゃんと取ってるかしら。ちゃんと眠れてるかしら。
シキ、もう16歳になったのよね。お誕生日おめでとうって言いたかったな。一緒にケーキ食べて、プレゼント渡して・・・
1人でいると、シキのことばかり考えてしまう。シキのことを考えると、涙が止まらなくなってしまう。
こんなのおかしい。前回まであんなにナルシス王子のこと好きだったはずなのに。死ぬくらい、婚約破棄が辛かったはずなのに。
コンコンー
扉がノックされる音に、顔を上げる。お兄様か、お姉様かな。
「お嬢様」
「し・・き・・・」
「ドアを開けてください」
「だ、ダメ!」
急いでドアノブを押さえる。部屋に鍵は付いていない。でも、お父様もお兄様も、無理矢理入って来るようなことはしない。
シキも入って来たりしないはずだけど、真っ赤に泣き腫れた顔をシキに見られたくない。
「お嬢様・・・俺に顔を見せて下さい」
「や、やだ!」
「お嬢・・・アイリス様、俺は、貴女の婚約者ですよね?俺のお願いきいて下さい」
シキ、ずるい。そんな言い方されたら、開けないわけにいかないじゃない。
躊躇いながら、ほんの少し、ドアを開ける。その隙間に、包帯を巻いた手が差し込まれた。
5日ぶりに見たシキに、気がつくとキツく抱きしめられていた。
「シキ?」
「お嬢様。アイリス様・・・どうか、俺の側にずっといて下さい」
「でも、私は・・・」
私は、ナルシス王子から逃げるために、シキを利用した。
今、シキをどれだけ好きだとしても、その事実は消えない。
「お嬢様、俺は・・・俺はアイリス様が好き・・・です」
「!」
思わず、シキの顔を見ようとしたけど、シキは全然手を緩めてくれない。
「し、シキ。顔、見せて」
「ダメです」
「何で?」
「絶対ダメです」
シキは離してくれないみたいだ。私は諦めて、シキの背中に手を回す。
「シキ」
「はい」
「お誕生日、おめでとう」
「ありがとうございます。ブローチ、一生大切にします」
私たちの抱擁を見たお兄様が、シキを引き離そうと、私の部屋に向かってこようとするのを、お姉様が引き止めてくれていたこと知るのは、少し後のことである。
私は、椅子に座ってぼんやりと窓の外を眺めていた。
食事は侍女に運んで貰った。着替えはドレスじゃなければ、自分で着ることもできる。
お父様もお母様も、お兄様もお姉様も、みんな心配して声をかけてくれた。私は、また家族に酷いことをしている。頭では分かっているのに、どうしてもみんなの前に出れない。
泣き叫んでしまいそうで。私が泣いたら、シキが責められてしまうかもしれない。
だけど、普通にみんなの前で笑うことができそうにない。
私は、シキと婚約するべきじゃなかったのだ。私と婚約したせいで、シキは死んでしまうところだった。
ナルシス王子と婚約するくらいなら、自殺するとでも言えば、お父様もお兄様もきっと婚約を回避しようとしてくれたはず。
シキは、もう起き上がれるようになったかしら・・・
食事はちゃんと取ってるかしら。ちゃんと眠れてるかしら。
シキ、もう16歳になったのよね。お誕生日おめでとうって言いたかったな。一緒にケーキ食べて、プレゼント渡して・・・
1人でいると、シキのことばかり考えてしまう。シキのことを考えると、涙が止まらなくなってしまう。
こんなのおかしい。前回まであんなにナルシス王子のこと好きだったはずなのに。死ぬくらい、婚約破棄が辛かったはずなのに。
コンコンー
扉がノックされる音に、顔を上げる。お兄様か、お姉様かな。
「お嬢様」
「し・・き・・・」
「ドアを開けてください」
「だ、ダメ!」
急いでドアノブを押さえる。部屋に鍵は付いていない。でも、お父様もお兄様も、無理矢理入って来るようなことはしない。
シキも入って来たりしないはずだけど、真っ赤に泣き腫れた顔をシキに見られたくない。
「お嬢様・・・俺に顔を見せて下さい」
「や、やだ!」
「お嬢・・・アイリス様、俺は、貴女の婚約者ですよね?俺のお願いきいて下さい」
シキ、ずるい。そんな言い方されたら、開けないわけにいかないじゃない。
躊躇いながら、ほんの少し、ドアを開ける。その隙間に、包帯を巻いた手が差し込まれた。
5日ぶりに見たシキに、気がつくとキツく抱きしめられていた。
「シキ?」
「お嬢様。アイリス様・・・どうか、俺の側にずっといて下さい」
「でも、私は・・・」
私は、ナルシス王子から逃げるために、シキを利用した。
今、シキをどれだけ好きだとしても、その事実は消えない。
「お嬢様、俺は・・・俺はアイリス様が好き・・・です」
「!」
思わず、シキの顔を見ようとしたけど、シキは全然手を緩めてくれない。
「し、シキ。顔、見せて」
「ダメです」
「何で?」
「絶対ダメです」
シキは離してくれないみたいだ。私は諦めて、シキの背中に手を回す。
「シキ」
「はい」
「お誕生日、おめでとう」
「ありがとうございます。ブローチ、一生大切にします」
私たちの抱擁を見たお兄様が、シキを引き離そうと、私の部屋に向かってこようとするのを、お姉様が引き止めてくれていたこと知るのは、少し後のことである。
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