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悪役令嬢は作戦を立てます
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ナナミ・ブルータス男爵令嬢からの呼び出し状は、私の視界を怒りで真っ赤に染めた。
『セリア・ラヴィアン、リリーナ・アイリッシュを返して欲しければ、誰にも言わずに1人で街外れのバートン家所有の廃屋へと来るように』
結論から言うと、私は『誰にも言わずに1人で』その場所に行くつもりはなかった。
私は、弱い生き物だ。1人で乗り込んでも、彼女たちを盾にとられたら、抵抗することは叶わない。
私は、間違えるわけにはいかないのだ。絶対に、彼女たちを無傷で取り戻さなければならない。
かつて、シキを傷つけられたように、彼女たちが傷つけられたら、私は身分も何も考えず、ナナミ・ブルータスを殺すだろう。そして、自分自身をも・・・
そんなことをしたら、我が公爵家は罪に問われてしまう。
お姉様とエドワード様の婚約は破棄になるだろう。もちろん、お兄様とリリアンヌ様の婚約も。
そんなことになるのは避けなくてはならない。
そして、なにより、私が死んだら・・・シキが悲しんでしまう。
前回までと同じように、彼をまた悲しませてしまう。
だから、私は、呼び出し状をみんなに見せることにした。
そう、みんなだ。
お父様にお母様、お兄様にお姉様、エドワード様に、リリアンヌ様、そして、国王陛下に王妃様にも。
私は、この一手を間違えるわけにはいかないのだ。なら、持てる全てのものを使って、彼女たちを助けなければならない。
秘密裏に集まった王宮の一角、陛下の執務室で私達は念入りに作戦を確認した。失敗するわけにはいかない。
バートン子爵に、廃屋になっている屋敷の見取り図を出してもらい、暗部の人間に下見に行ってもらう。
そう。今回、陛下は暗部と呼ばれる、いわゆる秘密裏に作戦行動を行う集団を貸してくれた。
騎士団のように表立って国を守るものだけでやっていけるほど、人は聖人君子ではない。悪どいことをするものもいる。表立って処罰できない場合もある。
そんな時、秘密裏に国に悪意を持つものを調べ、処罰する『暗部』の人間は、隠密行動に特化している。
「本当に、アイリス様が行くつもりなのですか?」
全ての段取りを頭に入れたあと、準備をする私に、リリアンヌ様が心配そうに聞いてくる。
リリアンヌ様の意見に、お兄様たちや陛下も同意見のようだ。
暗部の人間に任せておけば、別に私が行かなくても、セリア様たちを助けることはできる。
いくら人質がいようと、たかが13歳の少年たちが大人の、しかも諜報や暗殺に特化している人間に敵うわけがない。
だから、私が行く必要性はない。
だけど、私は行かない選択はしなかった。
彼らの元へ向かい、彼ら、いやあの女が何をしようとするのか見極めたかった。
今回、ナルシス王子が廃嫡されたことには、ナナミ・ブルータスに非はない。
だけど、彼女が『魅了』を使ったことにより、私は3度命を落とし、それによって今回、王子を避けることになった。
前回までのことは、他の人には関係ないこととはいえ、彼女のしていることは禁忌なのだ。
何を思ってそれをしているのか、私はそれを知りたいと思った。
そのためには、行かなければならない。そして、なにより、誰かの手ではなく、私自身で、大切な友人たちを救いたいー
『セリア・ラヴィアン、リリーナ・アイリッシュを返して欲しければ、誰にも言わずに1人で街外れのバートン家所有の廃屋へと来るように』
結論から言うと、私は『誰にも言わずに1人で』その場所に行くつもりはなかった。
私は、弱い生き物だ。1人で乗り込んでも、彼女たちを盾にとられたら、抵抗することは叶わない。
私は、間違えるわけにはいかないのだ。絶対に、彼女たちを無傷で取り戻さなければならない。
かつて、シキを傷つけられたように、彼女たちが傷つけられたら、私は身分も何も考えず、ナナミ・ブルータスを殺すだろう。そして、自分自身をも・・・
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だから、私は、呼び出し状をみんなに見せることにした。
そう、みんなだ。
お父様にお母様、お兄様にお姉様、エドワード様に、リリアンヌ様、そして、国王陛下に王妃様にも。
私は、この一手を間違えるわけにはいかないのだ。なら、持てる全てのものを使って、彼女たちを助けなければならない。
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バートン子爵に、廃屋になっている屋敷の見取り図を出してもらい、暗部の人間に下見に行ってもらう。
そう。今回、陛下は暗部と呼ばれる、いわゆる秘密裏に作戦行動を行う集団を貸してくれた。
騎士団のように表立って国を守るものだけでやっていけるほど、人は聖人君子ではない。悪どいことをするものもいる。表立って処罰できない場合もある。
そんな時、秘密裏に国に悪意を持つものを調べ、処罰する『暗部』の人間は、隠密行動に特化している。
「本当に、アイリス様が行くつもりなのですか?」
全ての段取りを頭に入れたあと、準備をする私に、リリアンヌ様が心配そうに聞いてくる。
リリアンヌ様の意見に、お兄様たちや陛下も同意見のようだ。
暗部の人間に任せておけば、別に私が行かなくても、セリア様たちを助けることはできる。
いくら人質がいようと、たかが13歳の少年たちが大人の、しかも諜報や暗殺に特化している人間に敵うわけがない。
だから、私が行く必要性はない。
だけど、私は行かない選択はしなかった。
彼らの元へ向かい、彼ら、いやあの女が何をしようとするのか見極めたかった。
今回、ナルシス王子が廃嫡されたことには、ナナミ・ブルータスに非はない。
だけど、彼女が『魅了』を使ったことにより、私は3度命を落とし、それによって今回、王子を避けることになった。
前回までのことは、他の人には関係ないこととはいえ、彼女のしていることは禁忌なのだ。
何を思ってそれをしているのか、私はそれを知りたいと思った。
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