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悪役令嬢と精霊の森
ミチェランティス皇国の東側の位置に精霊の森というものがあって、そこに自然を司る精霊がいる、らしい。
見た人がいないから、あくまで推測だ。ただ、その森の奥までたどり着ける人が限られていることから、精霊の住処ではないかと魔法省の人は考えているらしい。
ミチェランティスには、そう言う場所がいくつか存在するそうだ。
それは北側の湖だったり、南側の砂漠地帯だったりと様々だが、精霊の力と関連してそうな場所だとライナス先生は言っていた。
私たちは現在、その森の入り口に立っている。
探索隊は、ライナス先生に私とシキ、そして魔法省のお偉方の4人だ。
今回の探索に協力する条件が、探索者をできる限り少なくすることだった。
私やシキが、もしも能力を発揮しなければならない事態になった時、それを知る人間は少なければ少ないほどいい。
だから、ライナス先生が信用できる人の同行を求めた。さすがに魔法省の人抜きでの探索は出来ない。
まさか、魔法省のトップが来るとは思わなかったが。ライナス先生って、何気にすごい人なのかも。
「さて、では森に入りますが、我々から離れないように」
魔法省のトップ、グリード・オーデンバム様が私たち・・・私とシキに注意した後に森へと足を踏み入れた。
ライナス先生が申し訳なさそうな顔で私たちを見るので、首を振る。
別に私もシキも、自分たちが最強だとか思い上がっているつもりはない。むしろ、未熟者だろう。
だから、魔法省のトップである人が、たかが学園の生徒である私たちを注意するのは当然のことだ。
森は、時折小鳥の囀りが聞こえたり、小動物の姿を見たりと、ごくごく普通の森のようだった。
それが、1時間ほど歩いた頃くらいから、囀りが消え、空気の澱みを感じるようになった。
「空気が・・・グリード、これは一体・・・」
「ライナス、生徒たちから離れるなよ。何かおかしい」
グリード様の警告に、ライナス先生が私たちに寄り添った。そして、グリード様に聞こえないように、小声で囁く。
「2人なら大丈夫と思いますが、気をつけて下さい。あと、何か感じたら教えてもらえますか」
私たちは無言でうなづいた。数歩前を、警戒しながら、グリード様が進んでいく。
確かに、どこかおかしい。警戒する私の右手を、シキの左手が捕らえた。
「?」
繋がれた手に、シキを見上げると、小声で「そばに」と告げられた。それだけで、例えようのない安心感が私を満たした。シキが隣にいてくれる。何が起きたとしても、大丈夫。
その安心感が、何かを捉えた。
「何かいます!グリード様の左前!」
思わず叫んだその声に振り返ったグリード様の左前で、黒い靄が形作ろうとしていたー
見た人がいないから、あくまで推測だ。ただ、その森の奥までたどり着ける人が限られていることから、精霊の住処ではないかと魔法省の人は考えているらしい。
ミチェランティスには、そう言う場所がいくつか存在するそうだ。
それは北側の湖だったり、南側の砂漠地帯だったりと様々だが、精霊の力と関連してそうな場所だとライナス先生は言っていた。
私たちは現在、その森の入り口に立っている。
探索隊は、ライナス先生に私とシキ、そして魔法省のお偉方の4人だ。
今回の探索に協力する条件が、探索者をできる限り少なくすることだった。
私やシキが、もしも能力を発揮しなければならない事態になった時、それを知る人間は少なければ少ないほどいい。
だから、ライナス先生が信用できる人の同行を求めた。さすがに魔法省の人抜きでの探索は出来ない。
まさか、魔法省のトップが来るとは思わなかったが。ライナス先生って、何気にすごい人なのかも。
「さて、では森に入りますが、我々から離れないように」
魔法省のトップ、グリード・オーデンバム様が私たち・・・私とシキに注意した後に森へと足を踏み入れた。
ライナス先生が申し訳なさそうな顔で私たちを見るので、首を振る。
別に私もシキも、自分たちが最強だとか思い上がっているつもりはない。むしろ、未熟者だろう。
だから、魔法省のトップである人が、たかが学園の生徒である私たちを注意するのは当然のことだ。
森は、時折小鳥の囀りが聞こえたり、小動物の姿を見たりと、ごくごく普通の森のようだった。
それが、1時間ほど歩いた頃くらいから、囀りが消え、空気の澱みを感じるようになった。
「空気が・・・グリード、これは一体・・・」
「ライナス、生徒たちから離れるなよ。何かおかしい」
グリード様の警告に、ライナス先生が私たちに寄り添った。そして、グリード様に聞こえないように、小声で囁く。
「2人なら大丈夫と思いますが、気をつけて下さい。あと、何か感じたら教えてもらえますか」
私たちは無言でうなづいた。数歩前を、警戒しながら、グリード様が進んでいく。
確かに、どこかおかしい。警戒する私の右手を、シキの左手が捕らえた。
「?」
繋がれた手に、シキを見上げると、小声で「そばに」と告げられた。それだけで、例えようのない安心感が私を満たした。シキが隣にいてくれる。何が起きたとしても、大丈夫。
その安心感が、何かを捉えた。
「何かいます!グリード様の左前!」
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