虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

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一度目の人生

一度目の終わり

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「立ち止まっては駄目よ。ただ前だけを見て走るの。いいわね、アメリー」

 髪に火が移らないように、後ろで束ねてやる。
 しっかりと頭から布団を被せ、アメリーの顔を覗き込んだ。

「私もすぐに追うわ。だから、振り返らず、真っ直ぐに外を目指しなさい」

「奥様」

「さぁ!もたもたしてたら、ここで死んでしまうわ。行きましょう」

「はいッ・・・!」

 アメリーが走りだすのを確認して、椅子を玄関扉に向けて放り投げた。

 炎に包まれていた扉は、三脚目の椅子で崩壊し、その一瞬の、火が弱まった時にアメリーは玄関を走り抜けた。

 その様子に、私はホッと息を吐く。
あの様子だと酷い火傷は負わずに済んだだろう。

「・・・・・・ラナ、ごめんなさい。貴女は逃してあげられないの」

 私がそう言うと、廊下の奥から、ラナが姿を現した。

「奥様」

「椅子、一脚残ってて良かったわ」

 そう言って、椅子に座り込む。
もう、立っているのも苦痛だった。

「奥様・・・申し訳ございませんッ!私、私は・・・」

「家族を人質に取られたんじゃ、仕方ないわ。でも、出来ればアメリーだけは何か理由を付けてでも逃しておいて欲しかったけど。ねぇ。私ってそんなに恨まれるような女なのかしら?せっかくだし、説明してくれる?」

 ラナは、アメリーのベッド下に隠れていた。
 そして、布団を取りに入った私の腰の辺りを後ろからナイフで刺したのだ。

 夜着の上にガウンを羽織ったから、アメリーには気付かれなかった。

 この出血量では、多分脱出出来たとしても、おそらくは・・・

 だから、アメリーだけ逃した。
私はもう走れないし、ラナはここから逃がせても犯罪者として罪に問われる。

「・・・旦那様は、ラナナ様に贈るプレゼントの金額が増えていって・・・手を出してはならない所からお金を借りているそうです。そして、奥様がいなくなれば侯爵家のお金を使えるから、と」

「ハァ。旦那様はそこまで愚かな方だったのね。私が死んで、侯爵家のお金を食い潰して、それからどうするつもりなのかしら?ラナに全ての罪をなすりつけて、それをバートンや、ゼフお兄様が信じるとでも?」

「考えていらっしゃらないのだと思います。私が奥様を殺し、離れに火を放った。自分は使用人に妻を殺されたかわいそうな侯爵。そして、その悲しみをラナナ様が癒してくれた。そう世間には公表すると」

「本当に愚かな方なのね。ゼフお兄様なら、そんな旦那様の筋書きなんか打破されてしまうわよ」

 きっと、私の亡骸を見て「だからすぐに実家に戻れと言ったんだ」って怒るわね。

「奥様・・・奥様が生きてここを出られたら・・・妹たちが・・・申し訳ございません!」

「そう。妹さんたちは大丈夫なの?」

「はい・・・」

「今更だけど、相談して欲しかったわ。同じ結末になるとしてもね」

 もう、目を開けているのも辛くなって来た。
 そのまま気を失った私が最後に言葉にしたのは、ラナに火に焼かれる苦痛を味合わせてしまったことへの謝罪だった。
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