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最終章
最終話:幸せになるために(後編)
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「見て、イヴァン!一面の花畑だわ!」
小高い丘の上から見下ろすそこは、真っ青な花が一面に広がっている。
学園を無事に卒業した私は、ファンブルク王家から籍を抜き、ただのレティーナとなった。
このことに関しては、最後までお父様とラウル兄様が反対していて、旅に出るのは良いが、籍はそのままにとしつこかった。
それでも、仮にも王女が婚約者と共に領地も持たずにウロウロしているというのは褒められた話ではない。
ラウル兄様の、そしてリクルの治世にほんの僅かでも影を落としたくなかった。
結局、籍を抜いて平民になっても、必ず一年に一回は会いに来るという条件で、私とイヴァン様は旅に出ることを許可された。
ああ。違う意味の籍は入れたわ。
教会に婚姻証明書を出した。
これで私たちは夫婦と認められたの。
王籍を抜いてなかったら、王女の降嫁先がどこの貴族か分からないことに苦言が出たかもしれないわ。
まぁお母様が、そんなことを言わせたままにはしないでしょうけど。
でも、残されるラウル兄様やリリアナお義姉様、リクルたちに憂いは残したくなかったのよ。
私たちが旅に出る時に、リリアナお義姉様は第二子を妊娠していた。
生まれる頃には一度戻る約束なの。
「本当だ。綺麗だな。降りてみようか」
イヴァン様が風の魔法を使って、丘から私と手を繋いで浮かび上がる。
結婚してから様は取るように言われたけど、脳内はやっぱり様がついてしまうの。
最近ようやく、様無しで呼ぶことに慣れたのよ。
あの白い世界から戻った後、しばらくしてイヴァン様が語ってくれたのは、予想外のことだった。
あの神様はイレギュラーの存在を知り、それが自分の中にあった『平等』を司る部分だと知って、私を守るためにはイレギュラーと融合するしかないと気付いた。
その時、それでも私を想う気持ちを消してしまいたくなくて、他の神様の助力を得て、私を想う部分を人としてこの世界に生み出したのだそう。
それが、イヴァン・アストニア。
魔法が使えない王宮に、いきなり現れたのも不思議じゃないわ。
だって神様の意思が働いているんだもの。
イヴァン様はあの白い世界で、神様と対面してそのことが脳内に伝わって来たのですって。
でも、発言することは出来なかった。
多分、神様が封じていたのね。
それを聞いて・・・
胸の奥が熱くなった。
あの神様は本当に、礼奈が好きだったのね。
イヴァン様を好きになった今なら分かる。
誰かを好きになるということは、理屈じゃないの。
理性や常識で抑えきれないものだってある。
人だから・・・人間だから抑えなきゃいけないところもあるわ。
ダウニー様のように、チェリーさんのように、好き勝手な行動をするのは正しくない。
でも私も、イヴァン様を奪われそうになったら、理性で抑え切れるか自信がないわ。
イヴァン様が花を一輪、私の髪に挿してくれる。
「ありがとう、イヴァン」
「この街で何か、お祝いになるものが見つかるかな。そろそろ生まれるだろ?」
「そうね。甥っ子かしら、姪っ子かしら。リクルがいるし、女の子だと嬉しいわ。それに・・・お父様やお母様に新しい孫が出来るお知らせもしなきゃ」
私が自分のお腹に手を当てると、イヴァン様・・・旦那様は目を見開いた。
「え?それって・・・まさか」
「ふふっ。しばらくはファンブルクに滞在することになりそう」
この子が生まれたら、今度は家族で旅をしよう。
私を抱き上げたイヴァンが、とても嬉しそうに微笑んだ。
神様。
私、幸せよ。
***fin***
小高い丘の上から見下ろすそこは、真っ青な花が一面に広がっている。
学園を無事に卒業した私は、ファンブルク王家から籍を抜き、ただのレティーナとなった。
このことに関しては、最後までお父様とラウル兄様が反対していて、旅に出るのは良いが、籍はそのままにとしつこかった。
それでも、仮にも王女が婚約者と共に領地も持たずにウロウロしているというのは褒められた話ではない。
ラウル兄様の、そしてリクルの治世にほんの僅かでも影を落としたくなかった。
結局、籍を抜いて平民になっても、必ず一年に一回は会いに来るという条件で、私とイヴァン様は旅に出ることを許可された。
ああ。違う意味の籍は入れたわ。
教会に婚姻証明書を出した。
これで私たちは夫婦と認められたの。
王籍を抜いてなかったら、王女の降嫁先がどこの貴族か分からないことに苦言が出たかもしれないわ。
まぁお母様が、そんなことを言わせたままにはしないでしょうけど。
でも、残されるラウル兄様やリリアナお義姉様、リクルたちに憂いは残したくなかったのよ。
私たちが旅に出る時に、リリアナお義姉様は第二子を妊娠していた。
生まれる頃には一度戻る約束なの。
「本当だ。綺麗だな。降りてみようか」
イヴァン様が風の魔法を使って、丘から私と手を繋いで浮かび上がる。
結婚してから様は取るように言われたけど、脳内はやっぱり様がついてしまうの。
最近ようやく、様無しで呼ぶことに慣れたのよ。
あの白い世界から戻った後、しばらくしてイヴァン様が語ってくれたのは、予想外のことだった。
あの神様はイレギュラーの存在を知り、それが自分の中にあった『平等』を司る部分だと知って、私を守るためにはイレギュラーと融合するしかないと気付いた。
その時、それでも私を想う気持ちを消してしまいたくなくて、他の神様の助力を得て、私を想う部分を人としてこの世界に生み出したのだそう。
それが、イヴァン・アストニア。
魔法が使えない王宮に、いきなり現れたのも不思議じゃないわ。
だって神様の意思が働いているんだもの。
イヴァン様はあの白い世界で、神様と対面してそのことが脳内に伝わって来たのですって。
でも、発言することは出来なかった。
多分、神様が封じていたのね。
それを聞いて・・・
胸の奥が熱くなった。
あの神様は本当に、礼奈が好きだったのね。
イヴァン様を好きになった今なら分かる。
誰かを好きになるということは、理屈じゃないの。
理性や常識で抑えきれないものだってある。
人だから・・・人間だから抑えなきゃいけないところもあるわ。
ダウニー様のように、チェリーさんのように、好き勝手な行動をするのは正しくない。
でも私も、イヴァン様を奪われそうになったら、理性で抑え切れるか自信がないわ。
イヴァン様が花を一輪、私の髪に挿してくれる。
「ありがとう、イヴァン」
「この街で何か、お祝いになるものが見つかるかな。そろそろ生まれるだろ?」
「そうね。甥っ子かしら、姪っ子かしら。リクルがいるし、女の子だと嬉しいわ。それに・・・お父様やお母様に新しい孫が出来るお知らせもしなきゃ」
私が自分のお腹に手を当てると、イヴァン様・・・旦那様は目を見開いた。
「え?それって・・・まさか」
「ふふっ。しばらくはファンブルクに滞在することになりそう」
この子が生まれたら、今度は家族で旅をしよう。
私を抱き上げたイヴァンが、とても嬉しそうに微笑んだ。
神様。
私、幸せよ。
***fin***
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