虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

文字の大きさ
143 / 144
最終章

最終話:幸せになるために(中編)

しおりを挟む
 医師の診察を受け、私もイヴァン様も何も問題がないことが分かった。

 良かったわ。
あの黒い靄に包まれたから、何か悪影響があったらどうしようかと。

 神様も何も言ってなかったからあれだけど、あれってどう見ても良いものじゃない気がしたもの。

 私とイヴァン様が気を失っていたのは半日ほどで、それでも全く目覚めようとしないから、お父様もお母様もみんな心配したのだと言われたわ。

 あの白い世界、いたのは数十分だと思ったけど、きっと時間軸が違うのね。

「それで、あの、メルモン男爵令嬢は?」

「意味不明なことを喚き散らしていたが、レティーナたちが倒れてからは、まるで別人のように静かになったそうだ。発言はともかく、直接なにかをしたというわけではないから、一応メルモン男爵家で謹慎させている」

「レティーナ、何があったの?影の報告でも彼女に直接なにかをされたわけではないと聞いたけど」

 ああ、影がいたんだったわ。

「え、と・・・メルモン様が叫ばれて、その・・・気が遠くなって・・・」

 まさか、神様に呼ばれてましたなんて言えないわ。

 それに多分だけど、彼女が纏った黒い靄ってイレギュラーの持つ悪意なんじゃないかしら。

 だってレティーナが生きてるのが許せないなら、あの悪意で私を殺したかったのだろうから。

 でも、神様はイレギュラーと融合すると言った。

 もうレティーナに何があっても助けることは出来ない。

 そう言ったけど、それは同時にレティーナをイレギュラーの悪意が襲うことはないということでもある。

 もちろん、それ以外の・・・
王女としてのレティーナを嫌う人間もいるだろう。

 憎まれることが絶対ないとは言えない。
実際、元ピスタス侯爵家の人間はレティーナを憎んでいるだろう。

 だけど、それは私が自分で行ったことによる結果だもの。

 自分の行いの結果は、自分で受け止める。
 みんながしていることよ。
私だけがルールに反していた。

「そう。アストニア様は?何か覚えていらっしゃる?」

「・・・いや。何も」

 イヴァン様の表情が暗い。
もしかしてあの白い世界の後遺症とかが?

 だってあそこは長くはいられないと聞いたし、それにイヴァン様は無関係なのに私に引っ張られて行ったようなものだわ。

 どうしよう。
もう、神様には手を貸してもらえないし。

 いや、待って。
そもそも生きてる時には全く、手を貸してもらえないんだったわ。

 抱きついていたお母様から手を離し、イヴァン様に向き直る。

「イヴァン様?大丈夫ですか?気分が悪かったり・・・」

 ああ。もう、このクッション邪魔だわ。

 壁を成していたクッションを、ひとつふたつと退けようとすると、イヴァン様はその手をそっと押さえて微笑んだ。

「大丈夫だよ。でももう少しだけこのまま手を繋いでいよう?すみません、少しレティと二人きりにしてもらえませんか?」

しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

【完結】死に戻り伯爵の妻への懺悔

日比木 陽
恋愛
「セレスティア、今度こそ君を幸せに…―――」 自身の執着により、妻を不遇の死に追いやった後悔を抱える伯爵・ウィリアム。 妻の死を嘆き悲しんだその翌日、目覚めた先に若い頃――名実ともに夫婦だった頃――の妻がいて…――。 本編完結。 完結後、妻視点投稿中。 第15回恋愛小説大賞にエントリーしております。 ご投票頂けたら励みになります。 ムーンライトさんにも投稿しています。 (表紙:@roukoworks)

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

愛する人は、貴方だけ

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。 天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。 公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。 平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。 やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。

歴史から消された皇女〜2人の皇女の願いが叶うまで終われない〜

珠宮さくら
恋愛
ファバン大国の皇女として生まれた娘がいた。 1人は生まれる前から期待され、生まれた後も皇女として周りの思惑の中で過ごすことになり、もう1人は皇女として認められることなく、街で暮らしていた。 彼女たちの運命は、生まれる前から人々の祈りと感謝と願いによって縛られていたが、彼らの願いよりも、もっと強い願いをかけていたのは、その2人の皇女たちだった。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。

処理中です...