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エレノアと惑わしの森
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「勿論知ってるし、今でも時々行くわよ?」
それはいとも簡単にそう返事をされた。エミリアとエドワードが前世持ちだという事は話さず、母親のエレノアに「惑わしの森ってご存知ですか?」と尋ねてみたら返って来た答えがこれだ。
「えっ! 今でも行けるんですか!?」
エミリアとエドワードが驚いているとエレノアは不思議そうに首を傾げた。
「でも惑わしの森に行きたいだなんて珍しいわね」
「お母様! わたくしそこに行きたいんです。連れて行って下さい」
「それは構わないけど……いきなりどうしたの?」
「イアンを! わたくし、イアンを助けなければなりませんの」
「んっ……と、ちょっと待って。話が見えないわ」
思わず勢いに任せてエレノアに懇願するエミリアに待ったをかけた。突然秘密の森に連れて行けだ、王太子を助けるだの言われても訳が分からないのも無理はない。
「イアンが床に伏しているのはご存知ですよね」
「ええ、詳しくは知らないけれどお父様からお聞きしているわ」
「実はエミリアを庇って毒矢に打たれたんだ。その毒が特殊な毒で」
「えっ……それって…………」
エレノアは何か思い当たる節があるのかエドワードの説明に暫し思案する。
「そう……それは確かに森に行く必要があるわね」
「そうなんです、ですからわたくし早く森に行きたいのです」
「エミリア待って。その前に母上、少し質問があるのですが……母上以外も森に入れるのですか?」
エドワードが疑問に思うのも当然だ。ゲームの中の惑わしの森はヒロインであり聖女のエレノアの為に作られたお助けシステムの一つだからだ。聖女を引退したエレノアが現在も森に行けるのも驚きだが、エミリアが連れて行ってと頼んだら簡単に了承された事にも疑問を持つ。
「あら、だって二人とも小さい時に一緒に行ってるじゃない」
「「えっ」」
「やだわ、覚えていない? たまにお弁当持ってピクニックに行ってたじゃない」
「……全然覚えてない。エミリアは?」
「わたくしも……」
「二人ともまだ幼かったものね~ふふっ、懐かしいわ」
恐らくまだ物心もつかず、前世の記憶も思い出していない頃の事なのだろう。全く記憶になさ過ぎて、どんなに思い出そうとしても何も出てこない。しかし惑わしの森という名から恐ろし気な所なのだと思っていたのだが、ピクニックに行くような雰囲気の場所なのだろうか。
「エドワードが底なし沼にハマりそうになったり、エミリアなんか人喰い花で花冠を作ろうとしたり……もう、やんちゃで大変だったわぁ」
「こらこらこら、なんて遊びさせてるんですかっ」
エドワードが突っ込んでいるが当のエレノアは全く気にも留めておらず、ほわほわと懐かしい昔話を語っている。エミリアはこんな風に天然全開な聖女を相手にしなければならなかった当時の悪役令嬢であった現王妃様は、さぞかし大変だったのだろうと思った。
(わたくし、本当に悪役令嬢じゃなくて良かったですわ)
肝心の惑わしの森には明日の朝から出掛ける事に決まり、エミリアは久し振りに我が家の自室にて眠りに就いた。これでイアンを助ける事が出来る筈……と少し気持ちが楽になったのだった。
それはいとも簡単にそう返事をされた。エミリアとエドワードが前世持ちだという事は話さず、母親のエレノアに「惑わしの森ってご存知ですか?」と尋ねてみたら返って来た答えがこれだ。
「えっ! 今でも行けるんですか!?」
エミリアとエドワードが驚いているとエレノアは不思議そうに首を傾げた。
「でも惑わしの森に行きたいだなんて珍しいわね」
「お母様! わたくしそこに行きたいんです。連れて行って下さい」
「それは構わないけど……いきなりどうしたの?」
「イアンを! わたくし、イアンを助けなければなりませんの」
「んっ……と、ちょっと待って。話が見えないわ」
思わず勢いに任せてエレノアに懇願するエミリアに待ったをかけた。突然秘密の森に連れて行けだ、王太子を助けるだの言われても訳が分からないのも無理はない。
「イアンが床に伏しているのはご存知ですよね」
「ええ、詳しくは知らないけれどお父様からお聞きしているわ」
「実はエミリアを庇って毒矢に打たれたんだ。その毒が特殊な毒で」
「えっ……それって…………」
エレノアは何か思い当たる節があるのかエドワードの説明に暫し思案する。
「そう……それは確かに森に行く必要があるわね」
「そうなんです、ですからわたくし早く森に行きたいのです」
「エミリア待って。その前に母上、少し質問があるのですが……母上以外も森に入れるのですか?」
エドワードが疑問に思うのも当然だ。ゲームの中の惑わしの森はヒロインであり聖女のエレノアの為に作られたお助けシステムの一つだからだ。聖女を引退したエレノアが現在も森に行けるのも驚きだが、エミリアが連れて行ってと頼んだら簡単に了承された事にも疑問を持つ。
「あら、だって二人とも小さい時に一緒に行ってるじゃない」
「「えっ」」
「やだわ、覚えていない? たまにお弁当持ってピクニックに行ってたじゃない」
「……全然覚えてない。エミリアは?」
「わたくしも……」
「二人ともまだ幼かったものね~ふふっ、懐かしいわ」
恐らくまだ物心もつかず、前世の記憶も思い出していない頃の事なのだろう。全く記憶になさ過ぎて、どんなに思い出そうとしても何も出てこない。しかし惑わしの森という名から恐ろし気な所なのだと思っていたのだが、ピクニックに行くような雰囲気の場所なのだろうか。
「エドワードが底なし沼にハマりそうになったり、エミリアなんか人喰い花で花冠を作ろうとしたり……もう、やんちゃで大変だったわぁ」
「こらこらこら、なんて遊びさせてるんですかっ」
エドワードが突っ込んでいるが当のエレノアは全く気にも留めておらず、ほわほわと懐かしい昔話を語っている。エミリアはこんな風に天然全開な聖女を相手にしなければならなかった当時の悪役令嬢であった現王妃様は、さぞかし大変だったのだろうと思った。
(わたくし、本当に悪役令嬢じゃなくて良かったですわ)
肝心の惑わしの森には明日の朝から出掛ける事に決まり、エミリアは久し振りに我が家の自室にて眠りに就いた。これでイアンを助ける事が出来る筈……と少し気持ちが楽になったのだった。
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